冬キャンプの魅力は?
冬キャンプは夏キャンプと違い、キャンプ場が混雑せず、人気のキャンプサイトが予約しやすく、ゆっくりキャンプが楽しめます。
また、乾燥している冬は天体観測に最適。澄み渡った夜空で満点の星を観測できます。
そして、冬はあたたかなキャンプ飯や熱燗やホットワインなど、暑い季節ではできないキャンプレシピが楽しめます。
ただし、自然の驚異は侮ることなかれ!寒い季節はそれに対応したキャンプ道具が必要です。その寒さ対策をきちんとしておけば、初心者でも冬キャンプの魅力にどっぷりはまりますよ。
冬キャンプの5つの必需品
冬キャンプの一番のネックは寒さです。そのためにも、以下5つのアイテムを必需品として、しっかり寒さ対策をしましょう。
▼冬キャンプで対策すべきこと
1. 服装
2. テント
3. 寝床
4. あるとなお良し!温め系ギア
ここからは、それぞれどのようなアイテムを選び、寒さ対策をしてばいいかを説明します。
冬キャンプ必需品その1.あたたかい服装
服装は着込めば温かくなるかもしれませんが、動きにくくなってはキャンプでのパフォーマンスが落ちてしまいます。
重要なのは「服のレイヤリング(重ね着)」です。その重ね着方法を間違えると、同じものを使用しても体感温度が異なることがあります。
気温によって異なりますが、上半身・下半身で下記のようなレイヤリングがおすすめです。
【上半身のレイヤリング】
1. ベースレイヤー(ウール素材の下着が理想、綿は避ける)
2. ミドルレイヤーその1(フリースorソフトシェル)
3. ミドルレイヤーその2(インナーダウン)
4. アウター(風を通さないもの)
【下半身のレイヤリング】
- タイツ
- フリースorダウンパンツ
- レインパンツ
分厚いものを1枚…よりも、何枚か重ね着をすることが、昼夜の気温の変化が激しい冬キャンプには向いています。気温の変化で汗をかかないように、暑くなったら脱げるレイヤリングをしましょう。
私はあまり着込むことが苦手なので、下記のように最小限で重ね着をして、寒い冬を過ごしています。
【筆者のレイヤリング例】
■ ベースレイヤー(Smartwoolのベース)
■ ミドルレイヤー(ノースフェイスのフリース)
■ アウター(Polerの寝袋素材ポンチョ)
レイヤリングは素材も重要です。
とにかく、体の体温で温かくなるものを下に着て、風を通さないものをアウターに持っていきましょう。
服装のほかにも、小物で寒さ対策もできます。首、手首、足首の「3首」は太い血管があり、そこを温めると全身が温まりやすくなるため、その部分はきっちり防寒しましょう。
▼寒さ防止のレイヤリングの詳細はこちらの記事でも紹介しております!
冬キャンプ必需品その2.冬用テント
テントは「2シーズン用」「4シーズン用」など季節別に分かれているブランドも多く、それを基準に購入することができます。
ただし、3シーズン(春夏秋)用のテントでも、テントにスカートを付けて外気を防いだり、薪ストーブやポータブル電源、電気毛布や電気ヒーターを使用しながら寒さ対策をすれば、冬でも3シーズンのものが使用できます。
冬キャンプはテントの外で過ごす時間よりもテント内で過ごす時間が増えるため、テント内の住居スペースは広めのものがおすすめ。
筆者が愛用しているコディアックのキャンバステントは、素材がコットンで保温力が高く、住居スペースも立って移動でき広々。冬でも大活躍しています。
コットン素材やコットンとポリエステルの混合「ポリコットン(TC)」素材は、結露ができにくい特性もあり冬キャンプのテント素材におすすめです。
【冬キャンプ向けのテント素材】
- コットン
- ポリコットン(TC)
上記の素材は、温かく結露がしにくい
また、テント内で薪ストーブなどを使用したい場合は、火の粉が飛んでも穴が空きにくい難燃性素材(これもやはりコットンやTC)を選ぶと良いかと思います。
▼冬キャンプのテント選びはこちらもどうぞ!
冬キャンプ必需品その3.寝袋(シュラフ)
冬キャンプの最重要ギアのひとつが寝袋。寝床が寒いと眠ることができません。テント内が寒くとも寝床が温かければぐっすり眠れます。
まず、寝床のなかでも最も重要なのが寝袋(シュラフ)。
寝袋は形や素材によってさまざまありますが、寒さ対策に重要なのがブランドで記載されている「快適温度」です。※商品に記載されている「最低温度/限界温度」で判断しない方が無難です。
ブランドによって記載方法は多少異なりますが、初心者は向かうキャンプ場付近の最低気温を事前に調べて、「快適温度」が最低気温に合うものを目安にして選びましょう。
夏と冬とは最低気温が全く異なるので、寝袋はシーズン毎に変えるのがおすすめ。最低でも夏用と冬用の2パターンを持っているとよいです。
寝袋の違いは絶大です!私も最近、冬用の寝袋を新調しましたが、今までと全く温かさが異なり、冬でも寝るときはヌクヌクでぐっすりです。
また、寝袋の素材には、ダウン・コットン・化繊がありますが、一般的にダウンの方が保温性が高いとされています。その分、お値段はダウンが最も高く、メンテナンスや保管時の扱い方が、コットンや化繊の寝袋に比べて少し大変・・ということもあります。
「まずはあまりお金をかけずに冬キャンプデビューしたい」という方には、コットンか化繊の寝袋で快適温度が冬キャンプに耐えうる設定になっているものを選ぶのも良いでしょう。
一方で、同じ快適温度だとダウンシュラフの方が収納時サイズが小さくなるので、できるだけ荷物を減らしたい人にはダウンの方が向いています。
ダウンシュラフ | コットン・化繊シュラフ | |
価格 | 高い | 比較的安い |
収納時サイズ | コンパクト | かなり大きい |
保温性 | 高い | そこそこ |
メンテナンス・保管方法 | 少し難しい | 簡単 |
また、ダウン素材の寝袋で寝る場合は、薄着で寝る方が温かく、私の知り合いは冬でもほぼ裸状態で寝る人もいます。
寒いと厚着で寝たくなりますが、体温で寝袋内は温まるため、冬でも厚着はせずに寝袋に入りましょう。そのほうが、寝汗による冷えを防げるほか、眠るときも動きやすく楽です。
▼冬キャンプの寝袋選びはこちらの記事では詳しく説明しております
冬キャンプ必需品その4.マット
寝袋とともに重要なのが、寝袋の下に敷くマットです。
このマットもシーズンによって使い分けて、冬キャンプでは断熱性を表す数値「R値」が高いモノを選びましょう。
私は現在R値6のものを使用していますが、断熱性が高いマットは自分の体温だけで電気マットを敷いているように温かくなり、冬でも快適に寝ることができます。
また、コット(簡易ベッド)があると地面からの寒さを防止するのに役立ちます。私は寒い季節は、「コット+R値の高いマット+冬用シェラフ」で寒さ対策をしています。
冬キャンプ必需品その5.ガスストーブや湯たんぽなどの温め系ギア
暖をとるギアとしては「焚火」を真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、焚き火よりも簡単に火が付き扱いやすい「コンパクトなガスファイヤーピット」は初心者向き。
また、地味ですが、眠るときは湯たんぽがあると足元の冷えを防止してくれます。
▼2021年最新!おすすめ湯たんぽはこちら
電源がなくとも使えるUSB電源電気毛布や、石油ストーブ・薪ストーブが冬あると寒さ防止になります。
▼薪ストーブ・石油ストーブ・電気毛布などの温め系ギアはこちら
ただし、テント内で石油ストーブやガスストーブを利用する場合は、換気に気を付け、1つ以上の一酸化炭素チェッカーをテント内に設置しましょう。
▼一酸化炭素チェッカーの詳細はこちら
冬キャンプの必需品チェックリスト
冬キャンプで寒さ対策を怠ると、低体温症などを引き起こす危険性もあるので、寒さ対策は必須です。ぜひお出かけ前に、忘れ物がないかチェックしてみてください。
初心者が知っておくべき冬キャンプ4つの注意点
次に、冬キャンプで必ず知っておいてほしい注意点を4つ紹介します。初心者の方はとくに気を付けるべきポイントですので、しっかりと確認しましょう。
1.カセットガスやライターが使えない
キャンプ場で調理をするとき、ガスコンロが点火しなかったら大変ですよね。調理どころかお湯も沸かせません。しかし、実は冬場には「カセットガスやライターが使えない」という減少がよく起こります。
OD缶・CB缶といったガス缶は、寒いと点火できません。缶の温度が下がるとガスが気化できないためです。またガス式のライターも、ガス缶と同様に使えなくなる場合があります。
そこで冬場は、冬用のパワーガスや寒冷地用のOD缶、CB缶を持参しましょう。冬用のガスには、気温が低くても気体になりやすいプロパンガスが含まれており、プロパンガスの比率が高いと、冬でも安定して使えます。
また、ライターが使えなくなった場合に備えて、マッチを持っていくことをおすすめします。
何月ごろから冬用のガス缶に変えるべきかが悩ましいポイントですが、目安としては最低気温が10度以下になる時期からは、冬用ガス缶がおすすめです。
2.一酸化炭素中毒に気を付ける
テントによっては、テント内で石油ストーブやガスストーブ、薪ストーブなどの暖房器具、カセットガスの使用を想定している設計のものもあります。
しかし、暖房器具類の使用が想定されたテントであっても、ストーブやカセットガスを使用する場合は、一酸化炭素中毒に注意しましょう。
一酸化炭素は、無味無臭で気がつきにくい上に、毒性が高いです。テント内の酸素濃度が低下し、不完全燃焼を起こすと一酸化炭素が増加します。
初期症状は、頭痛やめまい、吐き気などで、重症化すると命にも関わる危険な症状です。特に就寝中は症状に気づかない場合も多いので、「定期的に換気する」「就寝時は必ず消す」などの安全対策が必要です。
また、警報音で危険を知らせてくれる一酸化炭素チェッカーも必ず使用しましょう。
▼おすすめの一酸化炭素チェッカーはこちらの記事をチェック!
3.低体温症に気を付ける
冬キャンプで気を付けたいのが低体温症です。
体の深部が35度以下になると、激しい震えや、判断力の低下などが起こります。そのまま放置し症状が悪化すると、命の危険もあります。
特に就寝時は体温が下がる上に、地面からの冷気を直接受けるため注意が必要です。厚手のマットやコットに加え、冬用のシュラフを使用しましょう。
またダウンシュラフは濡れると保温性が低下するため、撥水性のあるものや、シュラフカバーを利用するのもおすすめです。
さらに、保温性、防風性のある服装を心がけ、汗をかいたら汗冷えを起こす前に着替えるのもポイント。あたたかい飲み物を飲んだり、あたたかい食べ物を食べたりして、体の芯からあたためるのも効果的です。
そのほか、冬キャンプをあたたかく過ごすための小技を紹介します。
- 焚火の前では上着の前ファスナーは閉めずに、開けた方があたたかい
- 焚火の前では防寒性の高い靴ではなくサンダルの方があたたかい
- 熱は頭から抜けていくので帽子は必需品
- コット(簡易ベッド)の下にモノを置いた方が地面から寒さを防げる
また寒さが厳しいときは無理せずキャンプを中止したり、コテージ泊やバンガロー泊に切り替えたりすることも大切です。
4.テントの凍結に気を付ける
テントが凍ると、テントの機能性が低下し安全性が確保できなくなります。冬場は結露や雨が凍ってしまうこともあるため、あらかじめテントに防水スプレーをふることをおすすめします。
テントのファスナーは凍ると開閉できなくなる恐れもあるので、いざというときテントを破って脱出できるようにナイフをテント内で保管しておくと安心です。
またテントに雪が積もった場合、定期的に積もった雪を落とさないとテント倒壊の危険性も。降雪が予想される場合は、雪かき用のスコップを持参しましょう。就寝中に雪が積もってスコップを紛失してしまうケースもあるため、スコップは必ずテント内部で保管してくださいね。
初心者向け「冬のキャンプ場選び」のポイント
初心者の方は、キャンプ場選びにもポイントがあります。
まずは下記のようなキャンプ場で「冬キャンプデビュー」をすると良いかもしれません。
【冬キャンプデビューのキャンプ場選びのコツ】
- 最低気温が暖かいエリア(関東圏では千葉の南の方は東京都内よりも暖かいですよ)
- 電源付きサイトがあるキャンプ場(初心者の冬キャンプでは絶対に電源付きがおすすめ)
- コテージがあるキャンプ場(寒さに弱い方はまずはコテージから始めるのもおすすめ)
冬キャンプにぴったりなご飯は?
キャンプといえばBBQですが、寒い冬のキャンプでは温かいキャンプ飯がおすすめ!
筆者はスープ缶にいろいろな素材を付け加えて温かいスープを手軽に作ることが多いですが、すき焼きやおでんなど夏は作りづらい熱々のメニューが冬はチャレンジできます。
また、夏と違って、冬は「野菜を水で洗う」など水を使う作業が億劫になりがち。家で食材を洗って、切っておいて、キャンプ場では「混ぜるだけ」や「入れるだけ」で作れるようにしておくと、冷たい水に触れず料理時間が短縮できますよ。
おすすめのレシピは以下の記事で紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
▼冬キャンプにぴったりのキャンプ鍋レシピ
▼身も心も温まるならやっぱりおでん!
▼ぽかぽか温まるホットスイーツレシピ
▼アルマイト鍋で作れる簡単料理
▼冬キャンプが盛り上がる「キャンプすき焼き」
▼キャンプでチーズフォンデュ
無理せず冬キャンプを楽しもう!
寒さ対策に新しいギアを買い足すのもありですが、初心者の人は電源付きサイトで、家で使っている電気毛布、電気ストーブ、こたつなどを持って寒さ対策をしながらキャンプを楽しむのもひとつの方法です。
冬はキャンプのオフシーズンではありません!日本は四季があり、四季折々の自然を堪能できます。ただし、寒さ対策にやりすぎはありません。準備をしっかりして無理せず冬キャンプを楽しみましょう。
冬キャンプにチャレンジする前に、こちらの記事をご覧ください!