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ルーフボックスがあればキャンプは間違いなく快適に…しかしなかなかお高いのが問題!
「ルーフボックス」は言わずもがな、自動車の屋根の上に取り付けるボックスのことで、マイカーの積載量を大幅にアップしてくれる利便性の高いアイテムです。
容量はかなりコンパクトなものでも200リットル以上はあり、画像のような大型のものだと500リットルを超えるものもあります。
国産車の場合、ミニバンやSUVであっても、トランクルームの容量自体500リットルを越えることはほとんどありませんから、そこに追加されるルーフボックスの効果は相当なものと言えます。
それだけ便利なルーフボックスですが、元々ルーフレールのついている車に、さらにキャリアベースを取り付けないとそもそもセットができない(一般的なルーフボックスの場合)、というハードルの高さに加え、本体自体がかなり高額なこともあり、簡単には手が出しにくいアイテムでもあります。
中はバッチリだが、外装がボロボロだ…よし、DIYで復活!
筆者の場合、大型車に乗っていることと、荷物の増える冬はソロが多いことから、そこまでルーフボックスは必要ではなかったのですが、車両入替の際にうっかりキャリアベースをオプションで取り付けてしまい、ちょうど友人が「古いスーリーのルーフボックスならあげるよ」というので、今回初めて取り付けることにした…というのが経緯です。
まあ、あって困るものではありませんしね。
スーリーはルーフボックスの中でも「一段上」の香りがする北欧のハイブランド。
お値段的にも高級テントが買えるレベルなので、喜び勇んで取りに行ったわけですが…。
見ての通り、ルーフボックスは外装の状態が最悪でした。
表面にラミネート加工をしているのだと思いますが、それが剥離してしまい、空気が入ってプカプカになっている状態。そこに水が入ってしまったと思しき部分もあって、塗装も変色しています。
しかもラミネートフィルムがまだ密着している箇所もあって、結構なまだら模様です。
正直、この外装のまま新車に乗せるのはキツイ。
ただし、内部の状態は極めて良かったので、ともかく持って帰ってきてDIYを慣行することにしました。
大物DIYは塗装&作業ができる場所選びがとっても重要!
DIYといっても、筆者の場合、それまでプラモデルのエアブラシ塗装ぐらいしかやったことがなく、これだけの大物をどこで作業したらよいのか? その点にかなり頭を悩ませました。
作業の中心となるのは2点。
- 機械(サンダー)による研磨 ⇒ かなりの騒音
- スプレー塗装 ⇒ かなりの異臭
と、「自宅の敷地なら気にしなくていいだろう」とは決して言えない内容のもので、しかもそれをヘタすると数日に分けてやらなくてはいけません。
住まいは郊外の住宅街ですが、ご近所トラブルは断固避けないといけません。
調べていくと、「塗装や自動車のカスタムを自分でやるためのスペースを貸してくれる工場」があることが分かり、いくつか電話で当たってみて、レンタルピット サンエース(横浜市)にお願いすることにしました。
かなり柔軟にこちらの要望を汲んでくれたのが一番の決め手でした。
お値段的には、塗装ブースであれば1時間あたり2,200円(税込み)が基本料金となり、そのほか預かりなどで追加費用が発生する仕組みです。
なお、ホームセンターなどでも工作スペースの貸出しをしているところはありましたが、「持ち込み品を、しかも塗装する」というところまでOKなお店は残念ながら少なくとも筆者の近所にはありませんでした。
この辺は地域によって事情も異なるでしょうし、ベストな方法を模索してみましょう。
塗料など消耗品は購入し、工具はホームセンターでレンタルする方が安い!
道具に関しても筆者は何も持っていませんので、ネットで情報を漁りながら集めました。
塗料関連などの消耗品は後程、作業工程と合わせて記載していきますが、問題は工具です。
ペラペラに剥がれかかったラミネートフィルムを剥がすのは紙ヤスリです。
当然手作業でやれる規模ではないので、専用の機械が必要になってきます。
いわゆる「サンダー」と呼ばれる機械ですが、これはプロ用のものですから、なかなか持っている友人知人などもいませんし、大枚払って購入しても、他に使い道がほとんどありません。
調べてみたところ、こうした工具はケイヨーデーツー等のホームセンターにレンタルサービスがあることがわかりました。
ケイヨーデーツーのサンダーは、2泊3日でわずか600円という破格のレンタル料金。
とても便利なので、活用してみるとDIYが捗りますよ。
実際の作業工程はたったの半日! マットブラックで蘇ったぞ!
それでは実際の作業を見ていきましょう。
何しろ有料のブースなので、スピードをとにかく優先させた感じですが、それでも半日かかりました。
仕上がりはまあまあ…ですが、使用には十分耐える感じになりました。
①まずは本体を固定する
立ったままでも作業がしやすいように、腰程度の高さにルーフボックスを固定します。
今回はサンエースさんのご厚意でいわゆる「ウマ」をお借りしまして、そこに乗せることにしました。
ご家庭の場合、いきなりここで困ることになると思います。使っていないアウトドア用テーブルなどを使えば良い感じかもしれませんね。
ルーフボックスに重量があるので、バランスさえ安定すれば、簡単には落ちたり動いたりはしません。
②手やスクレイパーでラミネートフィルムをすべて剥がす
表面のラミネートフィルムは全部剥がします。
いきなりサンダーを使うのではなく、まずは手やスクレイパーを使って出来る限り剥がしてしまいます。
実はスクレイパーは思い至らなかったのですが、サンエースさんからお借りしました(サービスです)。
なお、細かい傷などもついてしまいますが、あまり気にせず、とにかく「全部剥がす」を優先します。
③サンダーで全面にヤスリ掛け、足付けをする
塗装をする際は、ツルツルの部分だと塗料が乗らないので、「足付け」という作業をします。
これは表面にヤスリがけを行い、意識的にザラザラとしたキズをつけることを指します。このキズに塗料が食い込んで、簡単には剥がれなくなるというわけです。
今回は80番、120番、240番と番手の小さい(目の粗い)紙ヤスリを用意しましたが、結論、80番だけでよかった気がします。
サンダーで紙ヤスリを全面にかけていきます。80番⇒120番⇒240番と番手は段々上げていきます。
振動もなかなかあり、何時間手がもつのか不安になります。
ヤスリがけは足付けの意図ももちろんあるのですが、手で剥がせなかったラミネートフィルムはこれで少しずつ削っていくしかない、という理由もありますね。
難しいことはありませんが、とにかく根気及び手の震えとの勝負です。
ここで手を抜いてしまうと、塗料が乗らず、大変なことになります。
2時間ほどヤスリがけを行い、ようやく表面の足付けが完了しました。
画像だと分かりにくいのですが、実は成型カラー自体がブラックなんですね。
④表面を良く洗い、水気を拭き取る
ヤスリ掛けが終わったら休む間もなく、ルーフボックスの表面についている紙ヤスリの粉塵、これを綺麗に洗い流します。
たっぷりの流水で洗えばOKですが、合わせて脱脂の目的で、中性洗剤を使って洗浄しましょう。台所用洗剤とスポンジを使います。
綺麗に洗い流したら、太陽光と風で乾燥させつつ、ウエスでよく拭き取りもしましょう。
この辺の作業ですが、なんのかんの重たいルーフボックスを外に持って行ったりするのが大変で、30分ぐらいかかった気がしますね。
⑤新聞紙とマスキングテープでマスキングを行う
実は今回、ボックスの下半分の塗装はしないことにしています。
なので、ボックスを開いて古新聞を挟み込み、下半分は露出しないようにします。
これによって塗料の飛散を防ぐことができます。
また、開閉時に保持するハンドル部分も塗装をしないので、ここはマスキングテープを貼ります。
マスキングテープは塗料の侵入が意外と多いので、しっかりと押さえつけて密着させましょう。
マスキング作業は10分かからないぐらいで簡単でした。
⑥さらに脱脂を行い、下地処理をする
続いて下地作りです。
まずは脱脂を徹底的にやります。
そのための道具が、シリコンオフスプレー。
塗って、拭き取れば、その部分の脂分を強力に除去してくれる優れものです。
これは1本あればルーフボックスひとつ程度なら十分おつりが来るぐらい、容量もタップリ。
吹きかけてはウエスで拭き取り、を、2回ぐらい繰り返します。
この作業も10分かかりません。
⑦塗料を定着させる「プライマー」を塗布し、下地処理は完成!
足付け、脱脂、と、進めてきた下地処理もこれでおしまいです。
本来プラ樹脂はそのままだと塗料が乗りにくいので、定着させるためのプライマーを塗布します。
今回選んだのは、ネット上でも評判のよいマルチミッチャクプライマーです。
これも1本あれば十分な感じでした(ただ、今回塗らなかった底面まで塗るには少し足りない感じはありました)。
これはスプレー塗装の要領で塗るだけでOKです。
透明の被膜でルーフボックスが覆われ、下地処理は完成です。
塗布自体は5分もかかりませんが、この後30分は乾燥させないといけません。ここでようやく休憩、という感じです。
なお今回は「黒地に黒塗装」だったので気にしていませんが、濃い下地色に淡い色を塗装する場合、「サーフェイサー」という淡いグレー(もしくは白など)のスプレーをさらに吹いておく必要があります。
⑧本塗装はトップコート不要でムラも出にくい「艶消しブラック」がベスト!
さて、下地が出来上がったらいよいよ本塗装に進みます。
本塗装は、自動車用のラッカースプレーの使用が鉄則です。
今回はこちら、アサヒペンの高耐久ラッカースプレーを使用しています。
タレにくく、きれいに仕上がる。
日光や雨に強く、美しいツヤに仕上がる。(ツヤ消し色は除く)
超速乾タイプ(夏期 20~30分 冬期 40~60分)
トルエン・キシレン・フタル酸系可塑剤を含まない
使用後容易に廃棄できるガス抜きキャップ付きです。
用途:(屋内外区分:屋内外用)●電気器具、家具、機械器具、自転車、屋内外の鉄製品、木製品に。
(標準)塗り回数:2回塗り
(標準)塗り面積:300ml/0.6~1.2㎡ (タタミ0.4~0.7枚分)
乾燥時間:夏期/20~30分 冬期/40~60分 ●塗り重ね時間の目安:...
カラーとしては「艶消しブラック」を選択しました。
時間があれば、本当は車体と同じような綺麗な赤を吹きたかったのですが、赤の場合、下地処理がさらに一手間必要(サーフェイサーの塗布)です。しかも塗装後「トップコート」というクリアーを吹いてあげねばならず、時間的な厳しさから断念しました。
また、いわゆるツヤあり塗装は塗りムラなどが生じやすく、ここまで大きいものを初心者が塗装する場合、かなり難易度が上がることもあります。
なので、間違いの出にくい「艶消しブラック」にしたというわけです。
スプレーを吹くコツとしては、左⇒右のように腕を一方向に動かし、スプレー中は決して止めないこと。また、15~20㎝の距離を一定に保つようにし、吹き付け量を安定させることです。
近すぎると液ダレが生じ、遠すぎるとスプレー塗料が空中で凝固し、ザラザラの塗膜になります。
同じところを繰り返し塗布するのも液ダレの原因になるので、広い範囲を繰り返し塗装するイメージでいきましょう。
気になるような場所も後から直すぐらいの感覚で、とにかく「広く塗っていく。それを重ねる」ようにしましょう。
こちらが塗装完了状態です。
重ね塗りを繰り返し、結局スプレー3本を使い切りました。底面まで塗ったら5本は必要でしたかね。
垂れない程度には厚塗りするのがよいと思います。
実はこの本塗装作業だけで言えば15分もかかっていない気がします。
この日はこれで完了。サンエースさんにお願いし、このままの状態で一晩乾燥させます。
結局トータル4時間弱、その大半は「ヤスリ掛け」でした…。
車に取り付けてみれば愛着もひとしおな、DIYルーフボックス!
できあがったDIYルーフボックスがこちらです。
塗装翌日にサンエースの社長さんのご協力の下取り付けを行い、そのまま帰宅しました。
こうして見ると、「艶消しブラックだからまあなんとか誤魔化せているなあ」という感じではあるのですが、一方でこの色であれば、どんなボディカラーとも合うので違和感はあまりないですね。
総材料費は塗料など多めに買ったこともあり、レンタル機材含め1万円弱程度。その他塗装ブースに8,000円ほどかかりました。
業者に頼むと5万円以上はするようなので、少なくとも半額以下にはできたかなと。
なにより「自分で手がけた」というのが意外なほど楽しく、愛着が湧いてくる作業です。
実はルーフボックスDIYはチャレンジしてみると面白い作業かもしれませんよ。