薪ストーブ使用時の注意点 誤った煙突保護の情報で「発火事故」が増加
薪ストーブをテントに入れて使う際、煙突ガードが必要となるのは多くの薪ストーブユーザーが知るところです。薪ストーブメーカーで販売している煙突ガードだけでは完全に断熱できないことが多く、テントと接触する部分を熱から守るためユーザー自身が加工を施すことは必須です。
この煙突保護加工において、サーモバンテージを煙突に巻くという手法があります。これは間違い、誤った使い方ですがかなり広まっておりまして、Amazonの商品販売ページでも煙突の保護という名目で販売されています。
サーモバンテージの本来の用途は、車やバイクの排気管を断熱して排気温度を高く保つという目的で使われています。バイクの場合は副次的な効果として、マフラーが足に当たる部分の火傷防止にもなります。最初に使った方はこの副次的な効果を狙ったものと思われます。
煙突に巻くと断熱効果はありますが、煙突の放熱もできなくなってしまいます。放熱ができないと暖房効果は薄れますし、本来は空気中で自然に放熱して冷えるはずの煙突がずっと熱いままになってしまいます。
また、耐熱性には優れますが熱伝導はしますので、サーモバンテージ自体は燃えませんがバンテージと接触しているテントの布は燃え焦げます。
可燃性のテントや幕よけに連続して熱が加わり続けることにより、それほど高温じゃなくても炭化して燃えてしまう低温発火現象の発生の危険があるほか、煙突の熱がテント内に出ないことであまり室温が上がらず、燃料を入れすぎて火力を上げすぎてしまうことも考えられます。
繰り返しになりますが、サーモバンテージの本来の用途は排気温度を高く保つためのもので、断熱を目的としたものではありません。ネット記事やYouTubeでも紹介されていますが、安全マージンの幅が狭く少し扱いを間違うと事故に至る危険なものです。この方法を採用してテント発火に至る事例が多数あり、今回の記事に取り上げさせていただきました。
サーモバンテージを使うと必ず発火し絶対に使えないというわけではなく、煙突ガードの上から巻くのであればそれほど高温にもならないので断熱効果も期待できます。
ただし多くの煙突ガードは、それ自体が放熱して温度を下げるよう設計されております。サーモバンテージを巻いて煙突ガードを保温することにより、本来の商品機能からは外れてしまうということは意識してください。あえて断熱材にサーモバンテージを選択するメリットはあまり無いと言えます。
筆者の場合ですが、断熱性が高いフェルトタイプのスパッタシートを煙突ガードに密着しない程度にゆるく巻きます。ゆるく巻くのは放熱させつつ熱伝導させないためで、これは密着して張り付くサーモバンテージではできません。テント側にも同様のスパッタシートを切ったものを、クリップで挟み断熱しています。
この方法ですとテントに伝わる熱はほぼ無く、薪ストーブの火力を上げても断熱したテント部分は全く熱を感じず何時間でも触っていられる状態になります。
クリップや煙突ガードの取り付けネジなど、予期しない金属部品から熱伝導するパターンもありますので使用中はこまめに確認しましょう。
楽しく安全に薪ストーブキャンプを楽しもう
新しい魅力的な製品がどんどん増えてきて、今年は薪ストーブをやってみようかな!と思われる方も多いのではないでしょうか。
薪ストーブを初めて使う際は、いきなりテントには入れずしばらく外で使ってみましょう。可能でしたら煙突ガードや断熱方法もテント内に入れる設計のまま、外で組んで使うことが望ましいです。火力を上げた時の断熱が十分か不十分かなど、実際に使うことで身を持って体験できます。
使ってみた結果、テントに入れるのが怖ければ風よけで囲った屋外で使うというのも良いと思いますよ。決して無理せず、正しい情報収集につとめて安全に冬キャンプを楽しんでください!
薪ストーブの設置については、こちらの記事などを参考にして頂き、楽しく安全に使う努力を怠らないようお願いいたします!