ワークマンからフルタングナイフが新登場
全体的にシャープな印象のデザインに仕上げておりますが、フルタングで丈夫な構造になっているのはもちろんのこと、サイズ感や形状・・・日本製なのに比較的安価なナイフに仕上げられたと思っています。
フルタングナイフができるまで
2022年2月にワークマンがキャンプ用品に本格参入して、ベーシックドームテントやフュージョンダウンシュラフなどを発表しておりましたが、その後の春頃に次期主力となるキャンプ用品の開発案などを話し合う機会を頂いておりました。
そこでこのフルタング構造のキャンプ用ナイフを提案させていただいて、ワークマンで取り組んでいただけることになりました。
このナイフをワークマンで作って欲しいと思った一番の理由は、やはりコストパフォーマンス。
とても大きな生産流通販売を持っているワークマンで作ることができたら、気軽にお小遣いの範囲内でも本格的なキャンプ用ナイフを使って楽しんでもらえるんじゃないかと思って提案しました。
ただ、いくら低価格に販売できる可能性があったとしても、今すでに手頃な価格で信頼性が高いものをそのまま参考にして価格だけをより下げたものを目指すというのはあまり面白くありません。
例えばモーラナイフのヘビーデューティー。
筆者がメインでずっと使ってきたナイフですが、刃厚が3.2mmあってとてもタフな作りをしたナイフです。
モーラナイフの場合は、ナロータングと言われる構造でハンドルの中に埋まって固定されている金属の形が刃の部分よりも細くなっています。
ワークマンのナイフのように鋼材が一体化した形でハンドルまで来ているものをフルタングと言いいます。
構造だけで言えばもちろんフルタングの方が丈夫と言われておりますが、モーラナイフはフルタングではないもののそれでも非常に丈夫で全然壊れません。
モーラのヘビーデューティーは価格こそ安いナイフですが、簡単に参考にできるような代物ではないんじゃないかな。
技術と歴史によって作られた素晴らしいナイフだと思うので、おすすめのナイフではあるんですが、ワークマンでナイフを作るなら違うコンセプトで開発して、「気軽に買える本格ナイフの新しい選択肢」として出していきたいと思いました。
理想の構造は
まず考えたのが、薪割りなどのハードな仕様にも耐えてくれる「フルタング構造のシースナイフ」であること。
ハンドル部分やシースの材質にもこだわって、その上で価格は三千円台までに抑えることができたら、初めて買うナイフを探すような方でも選んで検討してもらえるのでは?
そのように思い、目標価格を含めてワークマンへ相談をしました。
こういった刃物は、海外生産を含めて検討すれば実はもっと安く作ることもできたんじゃないかと思いますが、今回のナイフ作りはワークマンにとっても初めての試みでした。
開発協力させていただいた筆者も、色々なナイフを使ってみた経験からどんなものがどのくらいの値段で作れたらいいなというような意見は言えますが、決して刃物の専門家ではありません。
その体勢で実際に良いナイフを作ろうと思ったら信頼性の高い刃物が作れるプロとタッグを組んでやるのが一番だということで、今回のワークマンのナイフを作ってくださったのは岐阜県関市にある刃物会社の職人さんたち。
関でフルタングナイフを1から開発して、よくこの値段で仕上げてくださったなと思います。
何せ今回は三千円台の国産フルタングという厳しい達成目標があり、その中でプロの人たちに助けてもらって開発されたナイフです。
実際ワークマンでこういった刃物を作ると、もちろん大量生産によってコストを抑える効果はあると思いますが、それにも限界があるのでかなり頑張って作ってくれたと思います。