焚き火マイスター、猪野正哉(いのまさや)氏の著書「焚き火の本」の出版を記念して、豪華対談が実現。アウトドア情報誌「fam_mag」の編集長である槻真悟(けやきしんご)編集長とともに、焚き火やキャンプをテーマにお話いただきました。プライベートでも仲が良いというお二人の対談。一体どんな会話が繰り広げられたのでしょうか?アウトドアファン必見の記事です!

猪野 正哉氏
焚き火マイスター/日本焚き火協会会長/アウトドアプランナー。ライターやモデルとして各方面で活躍中。フジテレビ「石橋、薪を焚べる」の焚き火監修や、自身が運営するたき火ヴィレッジ<いの>の運営管理を行っている。

槻 真悟氏
グッズ&ライフスタイル誌「fam_mag」の編集長。ファッション系モノ誌、カルチャー誌、スニーカー誌など、さまざまな紙媒体の編集に携わる。「おぎやはぎのハピキャン(メ~テレ)」の監修者でもある。
▼猪野さんの著書「焚き火の本」

猪野正哉(いのまさや)さんのモデルとしての才能×焚き火のハウツーがギュッと詰め込まれた一冊

編集部撮影

けやき編集長
久々にお会いしたんですが、猪野さんって、ゆるい空気感を持っていますよね。

猪野さん
いや!それはお互い様でしょ!!

けやき編集長
ぼく、いろんな本を作っているので、(編集者目線の)独特な角度から質問していきたいと思います。

猪野さん
答えたくないときは、答えなくていいの?(笑)

けやき編集長
いいです、いいです。

けやき編集長
編集者の目線で話をすると、装丁からいいなと。本が開きやすい。真ん中までガッツリ開けるようになっている。これ、レシピ本とかに使われるとじ方ですよね?
カバーも、写真の色調や質感にこだわったのか、あえてPP加工がされていなかったり。

編集部撮影

けやき編集長
この本の良さって、ビジュアルや猪野さん自身のモデルとしての才能だけでなく、美しい焚き火のハウツーもしっかり詰め込まれているところじゃないですか。

猪野さん
それ、そのまま書いてもらっていいですか?(笑)

けやき編集長
これ、猪野さんのこだわりって反映されているんですか?

猪野さん
表紙は、ぼくの第一希望が通ってます。

けやき編集長
そうなんですね!
挿絵の竹田嘉文さんは、いろんなベストセラー本や名著の挿絵を手掛けている人。写真の矢島慎一さんは、アウトドア界で有名なカメラマンさん。すごい人たちですよね。

編集部撮影
他の出版社から出た本なのに、べた褒めする槻編集長

けやき編集長
カバーを取ったらイラストが散りばめられていて、書名(焚き火の本)の文字レイアウトも変わっていて。
スタッフを見ても装丁を見てもぶっちゃけお金がかかっているし、作り込まれているな~と、本の外側を見て感じました。

けやき編集長
で、この本に、猪野さんはどのくらいコミットしているのかな?って聞きたかったんですけど。

猪野さん
ぼくは文章に追われ追われで…。でも、レイアウトが上がってきた時点でいいなと思いました。

けやき編集長
あ、本当に書いたんですね……!あまりにも良い本なので、ゴーストライターがいるのかと(笑)。

猪野さん
ちょっと!(笑)
猪野正哉(いのまさや)さんらしさ全開! 「気負ったところでバレるから、それなら最初から自然体で」と書き進めた本

編集部撮影

けやき編集長
この本の写真には、気取ったスタイリングが入ってるわけでもなく、すごく自然体な猪野さんだなという印象を受けました。
この本を作るにあたって、気負ったことってあったんですか?

猪野さん
気負ったところで、どっかでバレちゃうから、それだったら最初から自然体でと思っていました。

けやき編集長
全体を通して猪野さんテイストのエッセイのようですよね。かた苦しい言い回しは少なくて、ハウツー本では出てこないゆるい表現もたくさんあって。教科書のようで教科書じゃない。猪野さんらしさが随所に表れていていいなと。

けやき編集長
あと第二章には“焚き火台選びはシューズ選びに似ている”とカッコよく書かれているんですけども、結びの一文では一転して”毎回借りて過ごすのも手軽でいいかも”って書いてある。このいい加減さも猪野さんテイストですね。

猪野さん
これ完全に文字合わせです。

編集部撮影
猪野テイストを褒められすぎて照れる猪野さん

けやき編集長
だとしても、こういうところに「猪野さんのテイストが入っていていいな」と感じます。

けやき編集長
いつも(猪野さん本人の)「筆が遅い」っていうじゃないですか。今回はどうだったんですか?

猪野さん
今回は早かった。7月の受付段階でまだ出来上がってなかったから、そこから1日10ページ以上書かないといけなくて。レイアウトがどんどん上がってきて、その日の気分で書けるところから書いていました。
面白かったのが、最後に書いたのが「はじめに」だったこと。ちょっと書いてみては「あ、違う」の繰り返しで、結局最後に書くことに。
猪野正哉(いのまさや)さんのキャンプブームの中、焚き火のルールやマナーに関して思うこと

編集部撮影

猪野さん
最近、当たり前のことができない人がよく目につくでしょ。ぼく、ルールとかマナーとか言うの、すごいイヤなんですよ。当たり前のことをしていれば必要ないはずだから。

けやき編集長
本当にそうですね。キャンプ人口が860万人くらいと言われていますが(オートキャンプ白書2020資料より)、まだまだ増えていくと思いますか?

猪野さん
キャンプ人口は増えていくと思います。ただ、このままだと焚き火ができないキャンプ場が増えていくんじゃないかな?

けやき編集長
そうですね。今も、そういうキャンプ場もありますもんね。焚き火はサイトでは禁止。決まった場所でしてくださいみたいなね。

編集部撮影

猪野さん
これまでの経験から、火の怖さも実感しています。
例えば、焚き火ヴィレッジ<いの>で撮影があった後、最後まで消火しないでスタッフさんたちが帰っても、僕はその後2~3時間あの場所にいるんです。完全に消火するまで見届けないと、何があるかわからないし。
火の怖さを知っているからこそ、その場に残る。本当は超帰りたいですけど(笑)。

けやき編集長
そういうとき、一人で熾火見ながら、何か考えるんですか?

猪野さん
「この時間いやだな」くらいしか、考えてない(笑)。どんどん心配性になってると思う。やっぱり、他に燃え移ったら怖いので。