薪にしてはいけない木は?薪の正しい選び方を紹介

2025.06.12 更新

薪にしてはいけない木は?薪の正しい選び方を紹介

兎山 花

兎山 花

キャンプやBBQなどのアウトドアで、薪は欠かせないアイテムのひとつですよね。市販の薪を購入するほか、フィールドで薪を集めるケースも少なくないはず。でも実は、燃やすと健康被害を引き起こす危険なものや、環境に悪影響を及ぼすものなど「薪にしてはいけない木」も存在します。この記事では、薪にしてはいけない木の種類や、薪の正しい選び方を詳しく解説します。安全で快適な焚き火タイムを楽しむために、ぜひ参考にしてくださいね。

薪にしてはいけない木は?

123RF キョウチクトウ

薪にしてはいけない木には、人の健康や自然環境に悪影響を与えるものがあります。毒性を持つ木や、煙に有害物質が含まれる木は、薪として使うべきではありません。

ここでは、代表的な「燃やしてはいけない危険な木」をご紹介します。

キョウチクトウは絶対に薪にしてはいけない

キョウチクトウ(夾竹桃)は薪にしてはいけない木の代表格です。

葉や枝、幹、根に至るまで全体に猛毒を含んでおり、燃やすと人体に有害な煙を発生させます。

キョウチクトウを薪にしてはいけない理由

  • 全体に強い毒性を持ち、とくに「オレアンドリン」という有毒成分を含む
  • 煙に含まれる毒で、呼吸困難や意識障害を引き起こす
  • 乾燥しても毒性が消えない
  • 燃やした灰にも有害成分が残る
  • 実際に中毒事故や死亡事故の報告がある

たとえば、過去にはキョウチクトウの枝を串として使い、バーベキュー中に食中毒を起こした事例が報告されています。さらに、焚き火で使用した煙を吸っただけで倒れた人もいるという記録も。

キョウチクトウは伐採や処分の際にも細心の注意が必要な植物でありながら、見た目だけでは危険性が判断しにくいのが特徴です。

一般家庭の庭木として植えられていることも多いため、花や葉の特徴を覚えたうえで、絶対に薪としては使用しないようにしましょう。

ヤマウルシは絶対に薪にしてはいけない

ヤマウルシも薪にしてはいけない、危険な木の一つです。

皮膚に触れるとかぶれるおそれがあることで知られていますが、燃やすとさらに深刻な健康被害を引き起こします。

ヤマウルシを薪にしてはいけない理由

  • 樹液に強いアレルゲン成分「ウルシオール」を含む
  • 煙に触れるだけで皮膚炎や呼吸器障害を引き起こす可能性がある
  • 枯れても毒性が残るため、乾燥させても危険

たとえば、山から集めた薪にヤマウルシが混ざっていた場合、焚き火中に発生した煙を浴びて全身にかゆみや湿疹を起こすケースがあります。

前で紹介したキョウチクトウに比べれば毒性は低いですが、場合によっては病院での治療が必要になることも。

なお、ヤマウルシの新芽は山菜の「コシアブラ」に似ています。素人目には見分け方が難しいので、不安がある場合は専門家に相談するか、安全が確認された薪を使うようにしましょう。

焚き火で燃やすのは避けた方がいいもの

123RF

薪以外にも、焚き火の燃料として使える素材にはさまざまなものがありますが、素材によっては自然や体に悪影響を及ぼすおそれもあります。

また、キャンプ場やBBQ場などでは、安全面だけでなく、周囲や環境への配慮も必要です。

ここでは、身近にありながら「焚き火で燃やすべきではない」代表的なものを紹介します。それぞれに潜むリスクを知り、自分も周囲も、安心して過ごせる時間をつくっていきましょう。

ガス缶やライター、スプレー缶は爆発の危険あり

ガス缶や使い捨てライター、スプレー缶を焚き火で燃やすのは非常に危険です。

内部に圧力がかかっているため、高温になると破裂し、大きな爆発や火災を引き起こします。

燃やすつもりはなくとも、焚き火の近くに置いていたことによって、思わぬ事故や怪我を引き起こすケースは少なくありません。絶対に火に近づけないように注意しましょう。

ダンボールや紙製のパッケージには有害な成分が含まれる

ダンボールや紙製パッケージは、一見よく燃えそうに見えますが、表面に印刷やコーティングがされていることが多く、煙に有害な成分が発生することがあります。

有害性は低い場合でも、強い煙やにおいを発生させるケースが多く、周囲の迷惑にもなるため燃料としての使用は控えましょう。

接着剤を含むベニヤ板は有毒ガスが発生する

ベニヤ板や合板などの室内用加工木材には、接着剤にホルムアルデヒドが使われていることがあります。

燃やすと有害ガスが発生し、吸い込むことで健康に悪影響を及ぼすリスクがあるため、燃やさないようにしましょう。 

防腐処理された廃材は薬剤が染み込んでいる

屋外用の廃材、ウッドデッキ、ベンチ、杭などの木材は、一見乾燥していて燃えやすく見えますが、腐敗を防ぐために強力な薬剤が染み込んでいます。

これらを燃やすと有害物質が煙や灰に混じるため、焚き火には使わないようにしましょう。

防腐処理された廃材は見た目で判断できません。また、防腐処理以外にも有害な物質が含まれているおそれがあるため、廃材などは薪として使わないようにしてください。

ゴミも燃やしてはいけない

キャンプで発生したゴミを焚き火で燃やすのはマナー違反です。とくに食品パッケージやプラスチックゴミを燃やすと、黒煙や有毒ガスが発生する恐れがあります。

見た目には小さな紙くずでも、インクやコーティング剤が含まれており、煙に強い刺激臭が混じるケースが多いです。

また、ゴミを焼却する行為は「廃棄物処理法違反」として法律上の罰則対象になります。キャンプや庭での焚き火であっても例外ではなく、焚き火しているついでにゴミを燃やすのはやめましょう。

焚き火で完全に燃焼しない木

筆者撮影

見た目はよく燃えそうに見えても、実際には焚き火に向かない木もあります。

燃焼が不完全だと煙ばかり出て炎が上がらなかったり、火が途中で消えてしまったりするほか、燃え残りや大量のすすは道具の劣化、健康への悪影響にもつながります。

ここでは、焚き火で完全燃焼しない、具体的な木材の特徴を紹介します。

切ってすぐの生木、乾燥が不十分な木

水分をたっぷり含んだ木は、火をつけてもジュウジュウと音がするばかりで、きちんと燃えてくれません。

切ってすぐの枝や伐採したばかりの幹は内部に水分が多く、とくに太い丸太は、表面が乾いて見えても中が湿っている可能性が高いです。

焚き火の火力が弱くなるだけでなく、薪の中で水蒸気が爆発的に膨張し、パチンと火の粉を飛ばす危険もあります。

「少し湿っているくらい大丈夫だろう」と思っても、実際に使ってみると煙ばかり出て、まったく燃えない……なんてケースは少なくありません。快適で安全な焚き火を楽しむためにも、十分に乾燥した木を選びましょう。

表面に塗料や薬剤が付着した木材

表面に塗料が残っている木材は、燃やすと黒煙や刺激臭を出しやすく、完全に燃えきらないことがあります。

とくに棚の解体材やDIYで使われた木材などは、目には見えない処理がされていることも

表面のニスやペンキが燃えると、黒煙や刺激臭を発生させるだけでなく、鍋や煙突にススがついたりします。さらに有害成分が煙に混ざることもあるため、焚き火には向いていません。

安全に焚き火を楽しむなら、木材の塗装や加工の有無がわからないものは避けるのが賢明です。

建築現場で使用されていた角材などの加工木材

建築用の角材は耐久性を高めるために、非常に硬く加工されています。そのため焚き火に入れても表面だけが黒く焦げて、じわじわと煙を出すだけで終わってしまうこともあります。

さらに、工場での加工時に薬剤処理や樹脂接着がされている場合もあります。燃やすと有害な物質を発生させるおそれもあるため、加工木材は薪にしないようにしましょう。

薪以外で燃やしても大丈夫な予備燃料

筆者撮影

焚き火をしていると薪が足りなくなることがあります。そんな時のためにも、薪の代わりに使える予備燃料を知っておくと安心です。

扱いやすく持ち運びもしやすい代用品をうまく活用すれば、快適な焚き火を最後まで楽しめますよ。

木質ペレット

123RF

木質ペレットは、木材の端材や間伐材などを粉砕・圧縮して、小さな粒状にした燃料です。

乾燥しているため着火しやすく、初心者でも扱いやすいのが特徴。さらに「持ち運びが便利」「保管がしやすい」「風が強い日や湿気が多い状況でも使いやすい」といったメリットもあります。

また、間伐材を再利用したエコ燃料として注目されており、自然に配慮したアウトドアを実践したい人にもぴったりです。

燃焼時間は短めですが、火起こしの補助や朝の焚き火に少量使うなど、補助的な用途で活躍します。

落ち葉・小枝・松ぼっくり

筆者撮影

現地で拾える落ち葉や細い枝は予備燃料として使えます。とくに乾いた落ち葉はよく燃え、焚き火の火起こしに適しています。

また、松ぼっくりは内部に樹脂を含んでいるため着火しやすく、短時間で強い火力を生み出す便利な燃料です。

小枝は火力を安定させるつなぎ役として機能し、持続時間を延ばす効果があります。ただし、濡れていたり腐っている素材は煙が多く出るため避けてください。

自然から得られる素材をうまく活用すれば、荷物を減らしながら快適に焚き火を楽しめますよ。

危険な木を知って、安全に焚き火を楽しもう

123RF

薪にしてはいけない木の特徴や燃えにくい木材、予備燃料の選び方についてご紹介しました。

健康や環境を守るためには、正しい知識を持つことが欠かせません。とくに、毒性のある木や有害な物質を含む素材を誤って燃やすと、大きな健康被害につながるおそれもあります。

今回の記事を参考に安心して使える燃料を選び、安全で快適な焚き火を楽しんでください。

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