ロープはキャンプのさまざまなシーンで役立つ優れものです。テントやタープをペグにつないだり、ランタンをぶら下げたり、ロープで物干しを作ってみたり、いろいろな用途に使えます。でも、いざロープを結ぶとなると結び方がわからず「適当に結んだら途中でゆるんでしまった」「かたく結びすぎてほどくのに苦労してしまった」なんて経験をしたことがある方も多いはず。そこでこの記事では、ロープの結び方やおすすめの紐の種類などを徹底解説します!
 

【ロープの結び方】基本を覚えておけば超便利!

結び方を含めたロープの扱いのことを「ロープワーク」と呼びます。このロープワークに「難しそう」「玄人がやるイメージ」といった印象を抱いている方も多いはずですが、実はとても簡単なんです。

結ぶのもほどくのも簡単なのに、しっかりと強度が高い結び方は、さまざまなシーンで役立つロープワークです。結び方を覚えるまでに練習は必要ですが、覚えてしまえばキャンプだけでなく、日常生活や災害時などさまざまな場面で使えます。

たくさんあるロープワークの中でも、覚えておけば絶対に役立つ基本の結び方を7つご紹介します。

もやい結び(ボーライン・ノット)

画像1: 筆者撮影

筆者撮影

「もやい結び(ボーライン・ノット)」は、素早く結べてほどきやすい上に強度も高いことから、「キング・オブ・ノット(結びの王様)」とも呼ばれています。

「舫う(もやう)」とは、「船を結びつけておく」という意味で、もやい結びはその名のとおり、船を舫えるほど強固な結び方です。

テントやタープの張り綱を木に結ぶときや、木と木の間に物干し用のロープやハンモックをつなぐとき、トラックに積んだ荷物を固定するときなどさまざまなシーンで使えます。

 

結び方

まずはロープの結び目を作りたい場所で、輪を作ります。

画像2: 筆者撮影

筆者撮影

次に、輪にもう一方のロープの端(写真の赤い部分)を通します。

画像3: 筆者撮影

筆者撮影

輪に通した端(写真の赤い部分)をロープの下をくぐらせてから、もう一度輪に入れます。

画像: 筆者撮影 矢印の方向に赤い部分を通す

筆者撮影 矢印の方向に赤い部分を通す

画像: 筆者撮影 赤い部分を通した後はこんな形に

筆者撮影 赤い部分を通した後はこんな形に

最後に、両端を引っ張って締めれば完成です。

画像4: 筆者撮影

筆者撮影

ロープの端(写真の赤い部分)が短いとほどけやすいので、実際には写真の10倍くらいの長さを残しましょう。

画像5: 筆者撮影

筆者撮影

▼もやい結びについてはこちらの記事でも紹介しています!

もやい結びとは?【動画で解説】キャンプで使えるロープワークを分かりやすく紹介

自在結び(トートライン・ヒッチ)

私がキャンプや日常でよく使うのが「自在結び(トートライン・ヒッチ)」です。結び目を移動できるので、ロープのテンションを自由自在に変えられ、自在金具がなくても簡単に調整ができます。

自在金具なしでテントやタープの張り網をペグとつなぐときや、木と木の間に物干しロープを張るときなど、キャンプをはじめとするアウトドアでとても役立つ結び方です。

実は、自在結びができる人は意外と少ないのですが、覚えてしまえば簡単な結び方なので、ぜひマスターしておきましょう!

結び方

最初に、ペグや木などにロープをかけます。短いほうのロープの端を持ち、長い方のロープに上からかけて、ペグや木の方向に2回巻きつけましょう。

画像: 筆者撮影 矢印の方向に向かって2回巻きつける

筆者撮影 矢印の方向に向かって2回巻きつける

端を引っ張ってロープを締めたら、巻き付けた方向とは反対側に向かって伸ばします。

画像: 筆者撮影 矢印の方向にロープの端を伸ばす

筆者撮影 矢印の方向にロープの端を伸ばす

ロープの端を、長いほうのロープの上にかけて小さな輪を作ったら、ロープの端を下側から輪の中に通します。

画像: 筆者撮影 矢印の方向から輪の中にロープの端を通す

筆者撮影 矢印の方向から輪の中にロープの端を通す

画像: 筆者撮影 輪の中に通した後はこんな形に

筆者撮影 輪の中に通した後はこんな形に

通したロープの端を正面(写真の赤矢印の方向)に引っ張って、締めれば完成です。左右(写真の青矢印の方向)にスライドさせることで、テンションが調整できます。

画像6: 筆者撮影

筆者撮影

▼自在結びについてはこちらの記事でも紹介しています!

自在結びの結び方は?初心者でも簡単な基本のロープワークを解説

巻き結び(クローブ・ヒッチ)

画像7: 筆者撮影

筆者撮影

木や棒に、手早くロープを結びたいときには「巻き結び(クローブ・ヒッチ)」がおすすめです。

簡単に結べるのにとても強固で、ランタンをぶら下げるとき、をまとめて運ぶとき、犬のリードをつなげたいときなど、多くのシーンで活用できます。

結び方

ロープの端を持ち、木や棒にロープを巻き付けるようにします。このとき、ロープは上から下に巻きつけるようにして、交差したところを手で押さえましょう。

画像: 筆者撮影 2本のロープの上下関係に注意!

筆者撮影 2本のロープの上下関係に注意!

交差したところを手で押さえたまま、ロープの端をもう一巻きします。このときも、上から下に向かって巻きつけるようにしてください。

画像: 筆者撮影 端(赤い部分)を持ち、矢印の方向に向かって巻きつける

筆者撮影 端(赤い部分)を持ち、矢印の方向に向かって巻きつける

ロープの端(写真の赤い部分)を、下から上に向かって、木や棒に巻き付いているロープの中に通します。

画像: 筆者撮影 端(赤い部分)を、矢印の方向に向かって通す

筆者撮影 端(赤い部分)を、矢印の方向に向かって通す

ロープの両端を引っ張って締めたら完成です。

画像: 筆者撮影 矢印の方向にそれぞれ引っ張る

筆者撮影 矢印の方向にそれぞれ引っ張る

画像: 筆者撮影 完成形はこんな形

筆者撮影 完成形はこんな形

かます結び

画像8: 筆者撮影

筆者撮影

「かます結び」は、キャンプだけでなく日常生活でもよく使う結び方です。ダンボールや新聞紙、雑誌などをまとめたいときにかます結びを使えば、簡単に結べて素早くほどけます。

強度が高く自然にほどけてしまう心配がないので、重たい荷物をまとめるときにも重宝します。

次でご紹介する「キの字結び(キの字縛り)」の結び止めにも使用するので、キの字結びとセットで覚えておきましょう。

結び方

まとめたい荷物に、ロープを何回か巻きつけます。

画像9: 筆者撮影

筆者撮影

短いほうの端は上の写真のように残しておき、長いほうを巻きつけるのがポイントです。たるみがないように、しっかりと巻きつけましょう。

ロープを巻き終わったら、残しておいた短いほうの端で輪(写真の黄色部分)を作ります。

画像10: 筆者撮影

筆者撮影

長いほうの端(写真の赤色部分)を、先ほど作った輪の上(写真の黄色部分)から、巻き付けているロープと荷物の間に通します。

画像: 筆者撮影 赤色の部分をすべてのロープの下にくぐらせる

筆者撮影 赤色の部分をすべてのロープの下にくぐらせる

そのまま端(写真の赤色部分)を、下から輪(写真の黄色部分)に通します。

画像: 筆者撮影 黄色の輪の部分にロープの端(赤色部分)を通す

筆者撮影 黄色の輪の部分にロープの端(赤色部分)を通す

荷物の角部分でロープの両端を引っ張って、結び目を締めれば完成です。

画像11: 筆者撮影

筆者撮影

キの字結び(キの字縛り)

画像12: 筆者撮影

筆者撮影

前で紹介した「かます結び」とセットで覚えておきたいのが「キの字結び(キの字縛り)」です。キの字結びは名前の通り、ロープの上下2か所をキの字型に縛る方法で、キの字結びで荷物をまとめてから、かます結びでロープを結ぶ形で使います。

キの字結びでは大きさが違う荷物もまとめやすいので、つぶしたダンボールなどをまとめたいときに便利です。

日常生活で使うときには、ビニール紐を使うことも多いですが、今回はわかりやすいように、ロープを使用しました。

結び方

初めに、荷物の長さの三分の一のあたりの位置で、荷物の下からロープを通します。このとき、片方の端は長めに残しましょう。

画像13: 筆者撮影

筆者撮影

荷物の前面にロープを持ってきて、中央でロープを交差させます。このときしっかりと引っ張って、たるみをとるのがポイントです。

画像14: 筆者撮影

筆者撮影 

上側のロープを、荷物の上部に伸ばしたら、上から三分の一あたりでロープを横向きに折ります。

画像: 筆者撮影 荷物の上から三分の一あたりでロープを横向きに折る

筆者撮影 荷物の上から三分の一あたりでロープを横向きに折る

ロープをそのまま荷物の後ろ側へと回し、ひと巻きして前面に持ってきます。

画像: 筆者撮影 ロープを荷物の後ろ側に回してひと巻きした様子

筆者撮影 ロープを荷物の後ろ側に回してひと巻きした様子

ひと巻きして前面にもってきたロープの端を、横向きに折ったロープの下にくぐらせてから、上方向に引っ張ります。下の写真のように、荷物の中央でロープが交差するようにしましょう。

画像: 筆者撮影 ロープをくぐらせて荷物の中央で交差させる

筆者撮影 ロープをくぐらせて荷物の中央で交差させる

画像: 筆者撮影 ここまでの手順を終えると、ロープはこんな状態に

筆者撮影 ここまでの手順を終えると、ロープはこんな状態に

ロープがズレないように注意しながら、荷物を裏返します。

画像: 筆者撮影 裏返した様子

筆者撮影 裏返した様子

上に伸びているロープを、荷物に巻き付いているロープの下に通してください。

画像: 筆者撮影 上に伸びているロープを、荷物に巻き付いているロープの下に通す

筆者撮影 上に伸びているロープを、荷物に巻き付いているロープの下に通す

続いて、ロープを一周するような形でひと巻きします。

画像: 筆者撮影 ロープを一周するようにひと巻きする

筆者撮影 ロープを一周するようにひと巻きする

下方向に引っ張って締めたら、荷物に巻き付いているもう一本のロープにも、同じようにロープを通します。

画像: 筆者撮影 同じやり方で、上から伸びているロープを荷物に巻き付いているロープにひと巻きする

筆者撮影 同じやり方で、上から伸びているロープを荷物に巻き付いているロープにひと巻きする

荷物の下の角でかます結びをすれば完成です。

画像: 筆者撮影 かます結びをすればロープがほどけてしまう心配もなし!

筆者撮影 かます結びをすればロープがほどけてしまう心配もなし!

よろい結び(ハーネス・ノット)

画像15: 筆者撮影

筆者撮影

キャンプでランタンやタオル、調理器具などの小物を吊るしたいことってありますよね。そんなときにおすすめなのが「よろい結び(ハーネス・ノット)」です。 

よろい結びは、ロープの途中にいくつもの輪を作れるので、輪に物をぶら下げたり、カラビナをぶら下げて荷物を吊り下げたりできます。ほどくのも簡単なので、キャンプはもちろん、アウトドアシーンや日常生活で便利な結び方ですよ。

結び方

まずは、輪を作りたいところでロープをねじり、輪を作ります。

画像16: 筆者撮影

筆者撮影

ロープが交差している部分を指で押さえながら、上側のロープに輪を重ねます。このとき、ロープが下、輪が上になるようにしましょう。

画像: 筆者撮影 赤色の部分を矢印の方向に重ねる

筆者撮影 赤色の部分を矢印の方向に重ねる

輪の上部(写真の黄色部分)を引っ張り、ロープの下に通してから、輪の下部(写真の赤い部分)にくぐらせます。

画像: 筆者撮影 黄色部分を矢印の方向に引っ張り、赤い部分の上に来るようにくぐらせる

筆者撮影 黄色部分を矢印の方向に引っ張り、赤い部分の上に来るようにくぐらせる

3方向(写真の矢印方向)に引っ張って、結び目をしめたら完成です。

画像: 筆者撮影 矢印の3方向に引っ張る。

筆者撮影 矢印の3方向に引っ張る。

これを繰り返して、必要な数の輪を作りましょう。物を吊るすときは、輪の部分(写真の黄色部分)に吊るします。

二重止め結び(エバンス・ノット)

画像: 筆者撮影 実際に使うロープはもっと長い

筆者撮影 実際に使うロープはもっと長い 

キャンプ場でペグが足りないときや、ペグが刺さりにくい場所で役立つのが「二重止め結び(エバンス・ノット)」です。

ペグがなくても二重止め結びを知っていれば、重い石がペグの代わりになります。ロープで輪を作り、できた輪に石を入れて結び目を引っ張って締めるだけと簡単なので、覚えておいて損はない結び方ですよ!

結び方

初めに、ロープの端(写真の赤い部分)を、親指で固定するようにして手に持ちます。

画像17: 筆者撮影

筆者撮影

ロープの長いほうを、下から上に向かって手に巻き付けます。

画像: 筆者撮影 ロープが交差している部分は、長いほうのロープが上に来るようにする

筆者撮影 ロープが交差している部分は、長いほうのロープが上に来るようにする

さらに親指のほうに向かって、3回ロープを巻きつけます。

画像18: 筆者撮影

筆者撮影

ロープから手を抜きながら、巻き付けたなかで一番親指に近いロープ(写真の赤いロープ)を、すべての輪の中(写真の黄色ロープ)に通します。

画像: 筆者撮影 赤で色づけている部分を、黄色で色づけている部分に通す。合計で3つの輪の中に通す形になる

筆者撮影 赤で色づけている部分を、黄色で色づけている部分に通す。合計で3つの輪の中に通す形になる

画像: 筆者撮影 手を抜くとこんな感じに

筆者撮影 手を抜くとこんな感じに

ロープの端を引っ張って締めたら完成です。

画像19: 筆者撮影

筆者撮影

ペグとして使うときには、輪の中に石などを入れてロープを締めます。

画像: 筆者撮影 青いロープを引っ張ると輪が締まる

筆者撮影 青いロープを引っ張ると輪が締まる

ほどきたいときは、石を抜いて、青いロープを引っ張ると輪が小さくなって結び目がほどけます。

【ロープの種類】用途ごとに紐の素材や太さを選ぼう!

ロープといってもさまざまな種類があります。ロープによって素材や強度、太さが違うため、用途にあった種類のロープを使うことが大切です。

ここでは、アウトドアや日常生活でよく見かける代表的なロープを4種類ご紹介します。

パラコード

画像: 筆者撮影 パラコードで編んだアクセサリー

筆者撮影 パラコードで編んだアクセサリー

「パラコード」は名前の通り、パラシュートに使用されるナイロン製やポリエステル製のロープです。

細くて軽いのが特徴で、中に芯が入っており、芯の本数によって強度が異なります。芯を抜くことで太さが調節できるほか、素材やカラーも豊富なので、さまざまな用途に適しています。

キャンプなどのアウトドアで使用するときは、耐久性と強度に優れたナイロン製のパラコードがおすすめです。テントやタープの張り網として使うときは、耐荷重もチェックしておくと安心ですよ。

ポリエステル製のパラコードは、耐水性があり劣化しにくいため、アクセサリーの素材にもよく使われます。また、夜になると光る蓄光機能のあるパラコードは、夜間の視認性が高く、張り網に最適です。

▼パラコードを使ったアクセサリー作りについてはこちらの記事で紹介しています!

パラコードの編み方は初心者でも簡単!キーホルダー・ストラップなどオリジナルアクセを自作しよう

【ワークマン パラコード】100均のシェラカップを格上げ! 不器用でもできる編み方をレクチャー!

【パラコードブレスレットの編み方】おしゃれで防災グッズにもなるアクセサリー!

細引き(ナイロンロープ)

画像: 123RF

123RF

「細引き」とはナイロンロープのこと。細くて軽い一方で、しっかりとした強度があり、丈夫なのが特徴です。

太さも1mm~8mm程度と幅広く、目的に応じて太さを選べます。

また、カラー展開が豊富で、アウトドアショップでは量り売りされているのもうれしいポイントです。価格は太さにもよりますが、細い物であれば1mにつき100円くらいで売られており、安く買えるので持っておくと便利ですよ。私も家に何本か常備しています!

テントやタープの張り網として利用するなら、強度のある太い物が適しています。カットして使うときは、カットした断面をライターであぶり、ほつれを防止しましょう。

1〜2mmの太さの細引きは、ジャケットやバックパック、テントのジッパー部分に取り付けたり、アクセサリーとして使ったりできますよ。私は山小屋で泊まるときなどに、靴やストックに目印がわりに結んでおくといった使い方もしています。

ポリエチレンロープ

画像: ポリエチレンロープ

「ポリエチレンロープ」は、合成繊維であるポリエチレンでできたロープのこと。軽いのに大きな負荷に耐えられて、水にも強いのが特徴です。

カラーは緑・黄・赤・青・黒・白など原色に近い目立つ色が多く、農業や駐車場のラインロープとしてもよく使用されています。アウトドアではハンモックを吊るすときなどにおすすめです。

かたくて滑りにくいので細かい作業には適していませんが、腐食せず、摩擦にも強いのでアウトドアでもハードに使えます。

綿ロープ

画像: 綿ロープ

「綿ロープ」は綿100%でできたロープのことで、やわらかくて扱いやすいのが特徴です。熱や紫外線、摩耗に強く、静電気も起こりづらいので、キャンプなどのアウトドアでは火に近い場所にロープを張る際に綿ロープを使用するケースが多いです。

水を吸うと重くなったり変質したりするデメリットがありますが、ホームセンターなどで量り売りされており、手軽に購入できます。

ロープの結び方を覚えればアウトドアでも日常生活でも便利!

画像20: 筆者撮影

筆者撮影

難しいと思っていたロープワークも、結び方を知ると案外簡単です。覚えてしまえばさまざまなシーンで活躍するので、キャンプや日常生活が便利になることは間違いなしです。

ただ、すぐに忘れてしまいがちなので、一度に全部覚えるのではなく、ひとつの結び方を日常生活のなかでも繰り返し使ってみるのが習得への近道ですよ。

今回ご紹介した内容を参考に、自分の生活の中で一番使えそうな結び方から覚えてみましょう!

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