折りたたみ式オーブンの基本情報と構造
「Winnerwell (ウィンナーウェル) 」はキャンプ好きならよく耳にされる方も多いと思われるメーカーです。
実はこのウィンナーウェル、本業はというと、ヨーロッパ向けに鉄やステンレスを中心とした建材の輸出です。まさに「鉄のスペシャリスト集団」なのですが、薪ストーブ事業もここ数年続けており、高品質の薪ストーブとその周辺アイテムは、テンマクデザインブランドとのコラボレーションでよく知られています。
そのウィンナーウェルが「薪ストーブ用」として開発したのが、この「折りたたみ式オーブン」です。その名の通り、折り畳んだ時のサイズはとても小さく、尾上のピザ専用オーブンと比較してもこんなにコンパクト。
これなら、ただでさえ荷物が増えがちな薪ストーブを用いるキャンプであっても、積載をあまり圧迫せずに持ち運べますね。
広げてみると、上下2段のしっかりとしたオーブンになります。
使用時の外径は、奥行270mm x 横幅330mm x 高さ250mmと、ピザのMサイズがギリギリ入るぐらいの大きさです。
素材は薄手のステンレスですが、蓄熱効果は高く、内部温度は300度ぐらいにあっという間に達します。
家庭用の電気オーブンと比較しても、予熱のスピード感は非常に早く、料理に使いやすいと感じました。
温まるのが早い理由は、底面がメッシュになっていることもあります。薪ストーブの熱をダイレクトに取り込むのに、この構造は非常に合理的です。
一方で、こうした構造ですと、ガスコンロや焚き火の上では炎をそのままメッシュが通過させてしまうので、このオーブンは使えない、ということになります。※ただ炎で焼いただけ、となります。
炭火での使用は商品の説明書にも記載があり、炎の出ていないような炭火ならば問題ないと思います。また、後述しますが、灯油ストーブでも使用はできました。
折りたたみ式オーブン、ということで組み立てが生じますが、とはいえ、30秒もあればできてしまう簡単さです。
パーツは本体と天板、あとは網が2枚という内容です。
四方の壁面は、画像のようなラッチで固定します。留め具を回して差し込み口に差し込むだけですね。
中の網2枚と天板は、それぞれ乗せるだけです。
これだけで完成です。
なお、本体前面には内部が覗ける耐熱ガラスがついており、その下には温度計もついています。
オーブンの場合、「250度以上にしてから調理開始」など、「予熱の概念」が生じるので、この温度計の存在はかなりありがたいです。ダッチオーブンなどでは、完全にカンに頼るしかありませんから。
熱源の問題は別として、機能的には家庭でも使えるレベルの本格オーブンだと言えると思います。
実際にウィンナーウェル折りたたみ式オーブンで料理をしてみた!
実際にソロキャンプでウィンナーウェル折りたたみ式オーブンを用い、4品ほど調理をしてみました。
それなりに手間のかかるものから、焼いただけの物まで作りましたが、どれもしっかりと焼きあがりましたし、味も申し分ありませんでした。「オーブンを使うような面倒な料理はちょっと…」という方も、こちらを見て頂けたら欲しくなってしまうかもしれませんよ。
ローストビーフ
オーブン料理の定番といえばローストビーフですね。作り方はこちらの記事の通りです。
ダッチオーブンとの作り方の差異はほぼないのですが、肉汁がこぼれるとオーブンやストーブが汚れてしまうので、アルミホイルで肉を包む際、かなり厳重にしっかりと包む(端などは二重三重に折る)、というのがポイントです。
温度200度の段階から肉をオーブンの下段に入れておき、25分放置します。途中一回上下をひっくり返しました。
温度はどんどん上昇しますが、熱源が薪ストーブである以上コントロールは難しいので、あまり細かくは気にしません。温度が上がりすぎたと感じる場合は、しばらく開口させるといいでしょう。
ダッチオーブンと異なり、温度管理がしやすいので、火の入り方がドンピシャでした。
写真は25分のロースト後、1時間寝かせたローストビーフですが、切り口が綺麗なピンク色に発色していますね。
ラザニア
平打ちのパスタとボローニャソース、ホワイトソースを幾重にも重ねて焼くという、イタリア料理です。
イチから作るとかなり面倒な料理ではあるのですが、今回はお湯でパスタを戻すだけであとはレトルト、というキットを使ってみました。それでもソースを薄く重ねて塗ってラザニアを挟んでいくのはまあまあ大変でしたが…。
今回はソロキャンプなので、2人前を1つのスキレットで焼いてみました。スキレットは調理器具と食器の両方を兼ねるので、グラタンやラザニアにはかなり便利です。
ラザニアの場合は、250度ぐらいで10〜15分もあれば中に熱は通るので、あとは表面のチーズの焼け具合を見ながら取り出すタイミングを見計らいましょう。
冷凍ピザ
キャンプの際、おやつや昼食にピザがあるととても便利です。オーブンで焼けばチルドピザや冷凍ピザでも相当美味しく仕上がりますし、焼くだけなのでとても簡単。
今回はセブンイレブンの「金のマルゲリータ」という冷凍ピザを焼いてみました。
直径は20㎝程度でやや小さめですが、画像のようにオーブン内はかなりの余裕がありますね。スーパーで買えるチルドピザはもう一回り大きいのですが、おそらく問題なく焼けると思います。
ピザの場合、300度ぐらいの高温で、短時間で焼き上げるのがコツ。
ちょっとチーズに焦げ目がつくぐらいまで焼きましょう。
焼き方で驚くぐらい味が変わりますよ。
業務スーパーの冷凍クロワッサン
これは朝食で作ってみたのですが、「焼くだけの状態にしてある生地」という面白い商品です。
業務スーパーで買えますが、結構人気商品みたいですね。
画像のように本格的な仕上がりになりますし、実際かなり美味しかったです。これだけのためにウィンナーウェル折りたたみ式オーブンを買ってもいいぐらいです。
このクロワッサンですが、冷凍されているので、日中は保冷剤代わりにクーラーボックスに入れておき、夜間に自然解凍して、朝オーブンで焼く、という流れです。
なお、この調理だけは朝薪ストーブに火を入れるのが面倒だったため、灯油ストーブのフジカハイペットで行いました。
中央に置いて安定はさせましたが、メッシュ部分だけがストーブの天板に乗るので、若干動く感じはありました。細心の注意は払ったものの、間にステンレスか何かの大きめの板を一枚挟んだほうが安全でしょうね。
あまりこの状態で重たいスキレットなどは入れたくないですが、パンぐらいなら大きな問題なく焼けます。焼きあがる際のバターの香りとサクッとした歯ごたえは感動のレベルでした。