キャンプや災害時の備えにポータブル電源が欲しいけどモバイルバッテリーと何が違うの?
ポータブル電源とはその名の通り、持ち運び可能な電源装置のことを言います。大容量蓄電池を搭載しているため、いつでもどこでも一般家電の起動や充電が可能です。
似たようなアイテムに「モバイルバッテリー」があります。
モバイルバッテリーはバッテリー容量が小さく、出力ポート(差込口)も基本的にUSBなので、用途は主にスマホ充電等の小物類に限られ、家電製品を起動させることはできません。
モバイルバッテリーのメリットとしては、コンパクトで持ち運びしやすく、価格もお手頃なところ。
対してポータブル電源は、バッテリー容量が大きく、USB以外にAC電源(コンセント)やシガーソケットなどが複数付いており、充電はもとよりホットカーペットなどの家電製品の電源として活躍できます。
【ポータブル電源の活躍シーン】
- キャンプや車中泊
- 災害時の緊急用電源として
- DIYや畑仕事などの屋外活動
- ワーケーションやイベント
ポータブル電源は容量に応じて価格や製品サイズは大きくなるものの、モバイルバッテリーと比較すると多様な電化製品に対応する汎用さとパワーが魅力です!
【ポータブル電源の選び方】購入前にチェックしたいポイント9つ
さて、ここからはポータブル電源を選ぶにあたり、知っておきたい知識をお伝えしていきます!
チェックしていくにあたり、ポータブル電源を「どんな場面で、どんな家電製品を使いたいか」イメージしておくと、製品選びがスムーズになりますよ。
ポイント① バッテリーの容量
どのくらいの電気を使えるのかは、「バッテリーの容量(Wh)」で確認します。
Wh(ワットアワー)・・・1時間で消費される消費電力量
例えば、バッテリー容量1000Whのポータブル電源でホットカーペットを6時間使用したい場合、ホットカーペットの消費電力量によっては容量オーバーとなってしまいます。
- 100Wのホットカーペット・・・100W×6時間=600Wh(この機種でOK!)
- 200Wのホットカーペット・・・200W×6時間=1200Wh(1000Whを超えるため、上位機種を検討)
このように、使用したい電化製品の電力消費量(W)と使用時間(h)から総消費電力量(Wh)を導き出し、表記されている数値を超えていないか確認してください。
ポータブル電源のバッテリー容量の目安
- 日帰り〜ソロキャンプ・・・300〜500Wh
- ファミリーキャンプ・・・500〜1000Wh
- 災害対策・・・1000Wh
ポータブル電源は、気温が低い場所での使用で電力の消費が激しくなることも覚えておきましょう!
使い始めると、「あれも!これも!」と使いたいものが増えていくケースもあるので、バッテリー容量はある程度余裕を持たせて選びたいですね。
ポイント② 定格出力と瞬間最大出力
次に確認するのが、定格出力と瞬間最大出力です!
- 定格出力・・・安定して出力し続けられる電力量
- 瞬間最大出力・・・瞬間的に出せる最大の電力量
電化製品を見てみると、定格出力が記載されています。この数値がポータブル電源の定格出力以下であれば問題なく使用できます。
続いて、瞬間最大出力もチェックします。家電製品によっては起動時などに電力量が爆発的に上がることがあり、ポータブル電源が対応できない場合は家電を起動させることができません。
DIYの工具類や高圧洗浄機などは瞬間最大出力が高くなる傾向があります。
購入したのに起動させられなかった……なんて失敗がないよう、事前に確認しておきましょう!
ポイント③ 周波数
日本の家電の周波数(Hz/ヘルツ)は2種類に分類されます。
- 東日本・・・50Hz
- 西日本・・・60Hz
周波数は1秒間に繰り返す電気の波の数のこと。
周波数の合わない家電を使ってしまうと故障などのトラブルの原因になりますので、お住まいの地域の周波数とポータブル電源の周波数が適合するか確認しておきましょう!
引っ越しが多い方や日本中を旅行している方などは、どちらにも対応する「50Hz/60Hz(ヘルツフリー)」を選ぶと安心です。
ポイント④ 出力波形(正弦波・修正正弦波・矩形波)
出力波形とは、回路の出力端子に現れる波形のこと。難しいのでザックリまとめると、、、
- 正弦波・・・電気の波が滑らかな曲線を描く
- 修正正弦波&矩形波・・・電気の波がカクカクと動く
正弦波のポータブル電源は高額になる傾向がありますが、ほとんどの家電に使用できます。大手メーカーのポータブル電源は大半が正弦波なので安心です。
対して、修正正弦波と矩形波では使用できないものが出てきます。用途がハッキリしている場合はコストも抑えられて良いのですが、「あれも使いたい!」と思った時に使えない場合がありますので注意してください。
ポイント⑤ バッテリーの寿命
長く使うためにも、バッテリーの寿命も確認しましょう!
寿命は蓄電池の種類や、普段の使用方法によって大きく差が生じます。
【ポータブル電源の主な蓄電池】
- リチウムイオン電池
- リチウムポリマー電池
- リン酸鉄リチウム電池
ポータブル電源によく使用されているのがリチウムイオン電池で、一般的なサイクル数(1回の充電から1回の放電が1サイクル)は500〜1,000程度です。
キャンプや非常時に使うにはリチウムイオン電池で事足りますが、使用頻度が高い方や、高い安定性・安全性を求める方には「リン酸鉄リチウム電池」をおすすめします!
リン酸鉄リチウム電池のサイクル数は驚異の2,000回以上と、他の蓄電池との差は歴然です。
リン酸鉄リチウムイオン電池は高額になる傾向がありますので、使用頻度とのバランスを見ながら検討しましょう!
ポイント⑥ 出力ポート(差込口)の種類と数
ポータブル電源の出力ポートの種類を確認して、使用したい家電に対応しているかチェックしましょう!
【出力ポートの種類】
- AC電源(コンセント)
- USB-A端子
- USB-C端子
- シガーソケット
- DCポート
2つの家電製品を同時に使ったり、家族が多い場合はスマホの充電をいくつか同時にすることが予想されます。
どの程度あれば足りるかイメージしながら、製品の条件と照らし合わせてくださいね!
ポイント⑦ 充電方法(ソーラー・カー・高速・パススルー充電)
最近では、ポータブル電源の中にも高速充電に対応しているものが増えています。
加えて、ソーラーパネルを使って太陽光から充電ができたり車に接続して充電ができたりするタイプもあり、それらは災害時に重宝するため、検討する価値があるでしょう。
また、ポータブル電源を充電しながら接続デバイスに放電する「パススルー充電」が可能かどうかも確認しましょう!
パススルー充電は電池の寿命を縮める原因となるため日常的な使用はおすすめしませんが、いざという時に使えると便利な機能です。
ポイント⑧ 安全性や品質
一歩間違えば火災や爆発事故に繋がりかねない、高出力の電気を扱うポータブル電源。やはり安全面は気になりますよね!
ポータブル電源を販売するにあたり義務付けられている認証マークはないものの、以下のマークは安全性を確認するひとつの指標となりますのでぜひチェックしてみてください!
- PESマーク(電気用品安全法)
- 防災防疫製品大賞
- 防災製品等推奨品マーク
また、異常を感知してバッテリーをコントロールするBMS(バッテリーマネージメントシステム)やMCU(制御装置 )を搭載している機種が安心です。
ポイント⑨ その他の機能(ライト・防水・スマホ連動)
最後に、メーカー独自でオリジナリティを出している製品もあります。
例えば、、、
- 停電時やキャンプの時に役立つライト機能
- Bluetoothのスピーカー機能
- 防水・防塵機能
- スマホとペアリング機能
このような多様な機能は、他社製品と比較検討する際に差別化するポイントになるかもしれません。