ファミリーキャンプや山登りなど、さまざまなシーンで楽しみたいのは、やっぱり「外ごはん」。でも、初めての外ごはんでは、どんな道具を使えばいいのか、どんなレシピが簡単でおいしくできるのかがよくわかりません。そこでアウトドア料理のプロに、それぞれのシーンに適した道具の選び方と簡単なレシピを紹介してもらいましょう。

簡単でおいしい「ファミキャンごはん」を伝授!

おいしいごはん作りのためのアイテム選び

山戸さんに「ファミキャンごはん」のレシピを紹介してもらう前に、ファミリーキャンプ向きアイテムの選び方についてもレクチャーしてもらいましょう。

画像3: 山戸さん

山戸さん

オートキャンプでよく使われるのは「ツーバーナー」。バーナーの火口がふたつあるので、複数の調理を同時に行えます。またゴトクが大きいので、大きめの鍋も載せられます。ガソリンを燃料に使うモデルもありますが、初心者には簡単に着火できて火力調節がしやすい「ガスツーバーナー」がおすすめです。

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画像4: 山戸さん

山戸さん

家庭用カセットこんろにも使用する「CB缶」を使うモデルと、アウトドア用に設計された「OD缶」を使うモデルがありますが、初心者は家庭でも扱い慣れているCB缶のほうが、馴染みがあるかもしれませんね。

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かほさん

好みのモデルの燃料がOD缶なら、OD缶仕様でもかまいませんよね?

画像5: 山戸さん

山戸さん

もちろん! ただ、どちらのバーナーを選ぶにしても確認したいのが、ガスこんろに「PSLPGマーク」が付いているかどうか。

このマークが付いていれば、法律で定められた国の検査に合格したガスこんろという証明になるので、安心して使えます。

画像1: 山で、キャンプで作りたい! プロが教えるシーン別『簡単外ごはん』
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かほさん

このあいだ私も工業会の方から教えてもらって、マークの意味を知りました。すべてのこんろに付いているかと思ったら、インターネットを中心に出まわっている輸入品には、付いていないものも多いんですよね?

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山戸さん

そうなんです。本来「PSLPGマーク」が付いていない製品を日本で販売することはできないんですけど……。ガス器具なので、ちゃんと認証を受けた安心できる製品を使いたいですね。

画像2: おいしいごはん作りのためのアイテム選び

調理器具は、3~4人分の料理が作れる「クッカーセット」がファミリーキャンプのスタンダード。大鍋、小鍋、フライパンなど複数の鍋がセットになっているものが多いですが、すべてが大鍋に収まってしまうので、コンパクトに収納できます。

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BBQの炭や薪の火おこし、料理の仕上げに表面をあぶってこんがり焼き色を付けるのにも便利な「トーチバーナー」も、あると便利なアイテムです。

調理を始める前に確認しておきたいコトとは?

CB缶とOD缶では取り付け方法が若干異なりますが、どちらも簡単に取り付けることができます。

画像1: CB缶タイプ

CB缶タイプ

画像1: OD缶タイプ

OD缶タイプ

※説明のために横向きにしていますが、カートリッジの取付けは各製品の指定通りに行ってください

モデルによっても違いますが、CB缶ならガスカートリッジ(ガス缶)をホルダーにセットして固定。OD缶ならねじ込んでガスカートリッジを固定します。

画像5: かほさん

かほさん

それではガスカートリッジを取り付けておきますね。取り付け前に「Oリング」の確認もちゃんとしておきます!

画像7: 山戸さん

山戸さん

そうですね。急いでいるとつい忘れてしまいますけど、毎回確認しておかないといけませんね。

ガス器具とガスカートリッジを接続させる「Oリング」は、ガス漏れを防ぐためのゴムパッキンです。これって、使用状況や経年劣化でヒビ割れたり、ささくれたりしてしまうんです。

画像3: 山で、キャンプで作りたい! プロが教えるシーン別『簡単外ごはん』
画像4: 山で、キャンプで作りたい! プロが教えるシーン別『簡単外ごはん』
画像6: かほさん

かほさん

もし劣化したまま使用したら、ガスが漏れて炎上してしまうこともありますね。使う前には、必ず目で見て確認しないといけませんね。

画像8: 山戸さん

山戸さん

炙り料理に使うトーチバーナーにも、同じように「Oリング」が付いているので、こちらも確認しておきましょうね。

画像1: 調理を始める前に確認しておきたいコトとは?
画像7: かほさん

かほさん

これは手で持って使うものだから、ガスが漏れて炎上したら怖いですね……

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山戸さん

トーチバーナーとガスカートリッジが正しく取り付けられていないと、隙間からガスが漏れてしまうことがあるので、斜めになったりしないように取り付けることも大事ですよ。

画像2: 調理を始める前に確認しておきたいコトとは?

カンタンだけど本格的!「炙りチキンのスパイス炊き込みご飯」

画像1: カンタンだけど本格的!「炙りチキンのスパイス炊き込みご飯」

準備が整ったところで、さっそく山戸さんに「ファミキャンごはん」を教えてもらいましょう!

画像10: 山戸さん

山戸さん

この料理のポイントは、トーチバーナーであぶって一気の焦げ目を付けて、香ばしさを出すことです。やってみます?

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かほさん

やりたいです! トーチバーナーは山へ持っていかないので、あまり使ったことがないんです。

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山戸さん

焦げ目を風味にするので、ここでよく焦げ目を付けてくださいね。

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かほさん

めっちゃ香ばしいにおいがしてきました! 焼き鳥みたいでお腹がすいてきた(笑)

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山戸さん

あとはミックスナッツ、タマネギ、キノコを炒めて……

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かほさん

え~、ミックスナッツも入れちゃうんですか!?

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山戸さん

粗く刻むと食感があっておいしいんですよ。材料が炒まって味付けをしたら、あとは炊くだけ。工程が少ないので初心者でもカンタンです!

炙りチキンのスパイス炊き込みご飯

画像2: カンタンだけど本格的!「炙りチキンのスパイス炊き込みご飯」

<<材料>>

【A】
鶏モモ肉(ひと口大に切る)…200g
塩…小さじ1/4
しょう油…小さじ2
酒…小さじ2
きび砂糖…小さじ1
ニンニク(すりおろし)…1かけ

白米…2合
タマネギ(みじん切り)…1/4個
お好きなキノコ…1カップ分
ミックスナッツ(粗く刻む)…大さじ2
オリーブオイル…大さじ1~2
ガラムマサラまたはカレー粉…大さじ1
塩…少々
ブラックペッパー…適宜
パセリ…適宜

<<作り方>>

①あらかじめ自宅で、Aの材料をすべてボウルに入れ、鶏肉に下味をつける(暑い時期は容器に入れて冷凍するとよい)。

②現地で①の鶏肉をバットに並べ、皮目を上にしてトーチでしっかり焼き色が付くまで炙る。

③鍋にオリーブオイルを熱し、ミックスナッツ、タマネギ、キノコをしんなりするまで炒め、白米とガラムマサラ、塩も加えて軽く炒める。

④お米がやや透き通ってきたら水(米の1.3~1.4倍)を加え、②の鶏肉を上に載せてフタをする。

⑤沸騰したら弱火にし、15分ほど炊いて火を止め10分蒸らす。器に盛って、お好みでブラックペッパーやパセリを加えれば完成。

おいしさの秘密は出しの出る食材!

画像: おいしさの秘密は出しの出る食材!
画像11: かほさん

かほさん

おいしい~! 鶏肉をあぶったのが効いていますね。あっ、ナッツの食感もいい!!

画像14: 山戸さん

山戸さん

ミックスナッツだから、いろんな味や食感が楽しめるんです。これ、ほとんどかほさんが作ったんですよ!

画像12: かほさん

かほさん

そう考えるとカンタンですね~(笑) 味付けも塩とガラムマサラだけなのに、ホントにおいしい!

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山戸さん

鶏肉やタマネギ、キノコなど、ダシが出る食材を使っているから、コンソメなどを使わなくても十分おいしいんですよ。

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かほさん

これ、帰ったらもう1回作ってみます! それくらいおいしい!!

テント内での調理は絶対にダメ!

画像: テント内での調理は絶対にダメ!
画像16: 山戸さん

山戸さん

料理をするときに注意をしたいのが、作る場所です。雨が降っていたり、寒かったりすると、テントの中で料理を作りたくなることもあると思いますが、これは絶対にやってはいけません。

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かほさん

そうですよね! ガスを燃焼させるためには酸素が必要ですけど、テントの中では酸素不足になって一酸化炭素中毒を引き起こす可能性がありますからね。

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山戸さん

それにテントは非常に燃えやすいものなので、火が燃え移ったら大変です。火事になってまわりのキャンパーさんも、危険な目に遭わせてしまうかもしれません。

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かほさん

おいしいごはんを食べるためにも、調理は必ず屋外でしなければいけませんね!

簡単なだけじゃない「山ごはん」を食べよう!

山歩きに選びたいアイテムと注意点をチェック!

さて続いては「山ごはん」。先ほどの「ファミキャンごはん」と違って、山歩きで食べるごはんなので、よりコンパクトに、より簡単にという点が重要になってきます。

画像18: 山戸さん

山戸さん

ファミリーキャンプと違って、山歩きはザックを担いで荷物を運ばなければいけないので、アイテムもできるだけ軽くしたいですよね? ですから使うバーナーもコンパクトな「シングルバーナー」を使います。

画像1: 山歩きに選びたいアイテムと注意点をチェック!
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かほさん

これもツーバーナーと同じで、燃料が「CB缶」のモデルと「OD缶」のモデルがありますよね?

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山戸さん

はい! 一般的には、高山にはOD缶が向いていると言われていますが、どちらも簡単に扱えるので、自分の登山道具や好みに合ったモデルを選べばいいと思います。

ガスカートリッジとの接続は、それぞれ方法が異なりますが、どちらも簡単に取り付けられますよ。

画像2: CB缶タイプ

CB缶タイプ

画像2: OD缶タイプ

OD缶タイプ

画像17: かほさん

かほさん

あと大事なのは「PSLPGマーク」ですよね!

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山戸さん

その通り! シングルバーナーにも「PSLPGマーク」が付いているので、安全に山ごはんを楽しむためにも、購入時には必ず確認してください。

画像5: 山で、キャンプで作りたい! プロが教えるシーン別『簡単外ごはん』
画像6: 山で、キャンプで作りたい! プロが教えるシーン別『簡単外ごはん』
画像18: かほさん

かほさん

ツーバーナーと違って、こんな札に「PSLPGマーク」が付いているんですよね。私が使っているシングルバーナーにも付いています!

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山戸さん

あとはツーバーナー同様、Oリングの確認も忘れないように。ヒビ割れたり、ささくれたりしていないか、きちんとチェックしておきましょう!

画像7: 山で、キャンプで作りたい! プロが教えるシーン別『簡単外ごはん』
画像8: 山で、キャンプで作りたい! プロが教えるシーン別『簡単外ごはん』
画像2: 山歩きに選びたいアイテムと注意点をチェック!

調理をするためのクッカーセットは、持ち運びやすい軽量でコンパクトなモデルがおすすめです。

画像3: 山歩きに選びたいアイテムと注意点をチェック!

コンパクトにパッキングできるように、シングルバーナーと燃料を入れることができるモデルが便利。これなら荷物もかさばりません。

油を使わず調味料は塩だけ!「トマトとチョリソーのクスクススープ」

画像1: 油を使わず調味料は塩だけ!「トマトとチョリソーのクスクススープ」

続いて山戸さんに作ってもらうのは「山ごはん」。インスタントやレトルトもいいですが「ちょっと味気ないな」と思っている人におすすめしたい一品です!

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かほさん

チョリソーとかクスクスとか、なんだかオシャレで山ごはんっぽくないレシピですね?

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山戸さん

でもクスクスって、戻すと2倍ぐらいになるので腹持ちがよく、山向きの食材なんですよ。今回選んだキャベツやタマネギも、山では傷みにくい食材ですし。

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かほさん

山には生野菜を持っていったことがないので、なんだか新鮮です!

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山戸さん

野菜は炒めるんですけど、山に油は持っていきたくないので水で炒めます。

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かほさん

えっ??? 水で炒めるんですか!?

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山戸さん

少ない水で炒めると、早く炒まるんです。でも、水を入れすぎると100℃以上にならないので入れすぎないでくださいね。

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かほさん

クスクスは、火が通るまでに時間がかかったりしないんですか?

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山戸さん

「火を通す」というより「戻す」感じなので、ごはんを炊くほどの時間はかかりませんよ。そんなところも山向きですよね。

トマトとチョリソーのクスクススープ

画像2: 油を使わず調味料は塩だけ!「トマトとチョリソーのクスクススープ」

<<材料(2人分)>>

タマネギ(スライス)…1/4個
キャベツ(ざく切り)…1枚
スライス干し椎茸…4~5枚
チョリソーまたはウィンナー(スライス)…2~3本
濃縮トマトピューレ…1本
マッシュポテトフレーク(あれば)…大さじ1
インスタントクスクス…大さじ2
塩…適量
水…2カップ弱

<<作り方>>

①コッヘルにタマネギと大さじ1の水(分量外)を加えて火にかける。

②キャベツも加えて炒め、野菜がしんなりしてきたらチョリソーも加えて炒め合わせる。

③濃縮トマトピューレと干し椎茸、塩少々と水を加える。

④沸騰したら弱火にして2~3分煮る。

⑤マッシュポテトフレークとクスクスを加えてかき混ぜ、フタをして火を止める。

⑥5分ほど蒸らしてから再度火にかけて温め、塩で味を調えれば完成。

味付けが塩だけとは思えないほどのおいしさ!

画像: 味付けが塩だけとは思えないほどのおいしさ!
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かほさん

野菜やチョリソーの旨味がスゴく出てますね。味付けは塩だけだなんてウソみたいです!

画像26: 山戸さん

山戸さん

チョリソーのスパイシーさが出ているから、味に深みも出るんですよ。もっと腹持ちさせたいと思ったら、クスクスやマッシュポテトフレークを増やすといいですよ。

画像24: かほさん

かほさん

これにパスタを入れてもおいしそう!

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山戸さん

いろいろなアレンジをしてもおいしく食べられるので、いろいろと工夫してみてください!

どんな場合でも車内は火気厳禁!

画像: どんな場合でも車内は火気厳禁!
画像28: 山戸さん

山戸さん

山歩きの場合でも、調理する場所は必ず屋外ということを忘れないでくださいね。テント内はもちろん、山歩きへ出かける前や帰ってきたあと、車内で調理をする人もいるようですが、これもやってはいけません!

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かほさん

一酸化炭素中毒や火災になって、最悪の場合は大事故になってしまうかもしれませんからね。

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山戸さん

車は燃料を積んでいますから、引火したら大爆発です。考えただけで恐ろしいですね……

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かほさん

みなさん! 料理を作るときは絶対に屋外でお願いしますね!

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