6日目 荷物を軽くして輪行大移動!
いよいよ旅も最終日です。
この日は初日と同じく鉄道でひたすら輪行移動です。初日はホテルへのチェックインの時間を考慮して早めに出発しましたが、自宅へ帰るのは時間的制約がありませんので出発もゆっくり目です。朝ご飯を頂いた後に二度寝し、チェックアウト時間ギリギリの10時頃に出発します。
民宿のほぼ目の前に伊予長浜駅があるのでそこから電車に乗ってしまえば手っ取り早いのですが、せっかくなのでまた下灘駅へと戻ることにします。
しかしその前に荷物を軽くしてしまいましょう。
これはキャンプでのロングツーリングの時には必ずやっている作業なのですが、もう使う必要のないキャンプ道具などを自宅へ送ってしまいます。
こんな時は全国どんな小さな街にもある郵便局が便利です。
リアバッグを左右両方送ってしまいますのでキャリアも外します。
これで軽快になりました。
あとは下灘駅へ行って自転車を分解し電車に乗り込むだけなのですが、そろそろお腹が空いてきましたので、腹ごしらえすべく、昨日も行ったラーメン屋さん向かいます。
こうやって同じ店に二日連続で行ったりいたしますと、何となく旅先に馴染みの店が出来たような感じがして悪くないものです。
あとは電車での移動ですので昼からビールなども頂きます。
そして駅まで移動。
自転車を輪行袋に収納します。
この日も昼間から観光客でいっぱいです。
やってきた電車に自転車とともに乗り込み、いよいよ本当に旅も終わりです。
予讃線でまずは松山まで行きますが、なにげに人生初松山駅です。
駅前には今治のゆるキャラ「バリィさん」がいました。
松山からは特急で一気に岡山まで行きますので、これで四国ともお別れです。
瀬戸大橋を渡ると、午後の陽光に照らされた瀬戸内海が光っていました。
岡山からは新幹線で一気に名古屋まで。
これまでの数日間、自転車でジリジリと稼いだ距離の数倍の距離をあっという間に移動してしまいますが、輪行という手段があるからこそ、限られた休日の日数でかなりの遠方でのサイクリングが可能になるわけで、ある意味車やオートバイよりも機動性に富んだ旅の手段とも言えるかもしれません。
夜の8時頃、自宅近くの駅に到着しました。
ここで自転車を組み立て、5分程走って自宅に帰れば全ての行程の終了です。
そして筆者の夏休み・・・もっと言ってしまえば筆者の夏そのものがこれで終了となります。
オートバイや自転車での旅は、四季それぞれの魅力がありますが、やはり夏という季節は特別なものがあります。
これは筆者だけなのかもしれませんが、夏という季節だけが、遠く過ぎ去った少年時代の感覚とシンクロ出来る特別な季節なような気がしていますし、自転車はそのシンクロ率を限りなく高めてくれる乗り物のような気もしています。
いずれにしてもここから先、また来年の夏までカウントダウンがはじまります。
そしてそれは同時に、次の旅への始まりなのかもしれません。
夏という季節と、四国という土地がもたらす魔法
筆者は10年~15年程前、オートバイや自転車で北海道を旅することを夏の恒例行事にしていました。
北海道の魅力を挙げていけばキリがありませんが、日本離れした広大な風景と、旅人を取り巻く一種のお祭り的な空気感が占める割り合いが大きいことは確かでしょう。その魅力にどっぷりと浸かりながら、その一方で筆者は徐々にその対極的な風景に恋焦がれていくようになってきました。
すなわち日本の原風景的な景色です。
緑眩しい里山。稲穂が風に揺れる田園。小さな集落とそこに暮らす人々。とりわけ夏のそんな風景への憧れが年を追うごとに強くなっていきました。
恐らく地元の愛知県でもそういう景色は充分堪能できます。しかし今回旅をして実感しましたが、四国はその風景が何段も「濃い」のです。
照りつける太陽と降りかかるかのような蝉の声の下、狭く曲がりくねった山道を息を切らせながら登っていくと、遥か眼下に信じられないくらい澄んだ渓流が滔々と岩肌を削り、時折鳥が鋭い声を上げる以外に聞こえてくるのは風の音と自分の荒い息づかいだけ・・・
長年夢見ていた光景がここにはありました。
暑さに泣き、延々と続く登り坂に泣き、空腹に泣き、降り続く雨に泣いた旅でしたが、それでもこうして一ヶ月も経って振り返れば、陶然とした記憶がその思い出のほとんどになっています。
それはやはり、夏という季節と、四国という土地がもたらすマジックなのかもしれません。
3話にもわたる長いレポートにお付き合い頂きありがとうございました。