シングルウォールとダブルウォールのテントの違いは? 筆者の経験から徹底比較
ここ数年筆者は、オートバイ、自転車、登山、ほぼ全てのキャンプでモンベルのステラリッジ2というテントを使用してきました。
【本体重量】1.23kg(1.43kg) ※本体重量はポール、レインフライ(別売)を含む重量です。( )内はペグ、張り綱、スタッフバッグを含む総重量です。
【カラー】ホワイト(WT)
【構成】テント本体1、本体ポール1組、∅3mm反射材入り張り綱4本、16cmアルミペグ12本、ポール応急補修用パイプ1本
ステラリッジシリーズは元々登山用として設計されているため、かなり軽量コンパクトな設計です。
山岳用軽量テントというのはそれほど居住性に重きを置いた設計はされていないのですが、基本的に筆者は移動式のキャンプスタイルを好みますので居住性に関してもほぼ不満はありませんでした。
しかし今年の夏、四国山間部へのサイクリングに行くにあたって、装備全般のさらなる軽量化を計り、テントもその対象となりました。
そうして選んだのが「ニーモ ホーネットストーム 1P」というわけですが、この結論に至るまでのちょっとした経緯にお付き合いください。
筆者が使っているステラリッジ2というテントは、テント本体の上にフライシートと呼ばれる雨よけの布を装備した二重構造の「ダブルウォールテント」と呼ばれるごくオーソドックスな形状のテントです。
このフライシートは、雨よけだけでなく、テントの前室としての機能も兼ね備えておりますので、これの大きさや形状が快適性を大きく左右します。
そしてこのダブルウォールテントの場合、軽量化を最大限追求した山岳モデル(一人用)でおおよそ1kg強(1kg~1.5kg)の重量が一般的です。
これはもう一昔前から比べれば大幅な軽量化を成し遂げているわけですが、これに対して世の中にはフライシートを装備しない「シングルウォールテント」と呼ばれるジャンルのテントが存在します。
シングルウォールテントには、ツェルトと呼ばれる非常用の簡易テントから、ポールで自立する、パッと見普通のテントと見分けがつかないモデルまで様々なタイプがありますが、その最大のメリットは軽量化で、重量はおおよそ500g~700gと、ダブルウォールテントの約半分です。
収納サイズも、少し大きめのレインスーツ程度で、荷物の省スペース化にも大きく寄与します。
フライシートを装備していないため、テント本体に防水加工が施されているモデルが多いようです。
しかしこのシングルウォールテントに宿命的に付きまとう問題が二点あります。
(1)テント自体が一重構造なため、結露が発生しやすい
(2)構造的に前室を持たないため、荷物や靴の置き場や雨の日の調理スペースなどが確保できない
つまり快適性はある程度犠牲にせざるを得ません。
ダブルウォールなのかシングルウォールなのか?という選択はまさに「快適さを取るのか?」「軽量・コンパクトさを取るのか?」というテント選びの究極の選択とも言えるかもしれません。
超軽量ダブルウォールテントの登場! 軽さと利便性を兼ね備えた「ニーモ ホーネットストーム1P」
そんな中、ここ数年ダブルウォールテントでありながら重量が1kgを割る「超軽量テント」が登場するようになりました。
そしてその「超軽量テント」の世界をリードしているのが、アメリカで生まれたニーモというブランドです。
2002年創業とまだ若いブランドですが、次々と画期的なアウトドアギアを発表して、日本でも注目度の高いブランドの一つとなっています。
そのニーモが、ことさら軽量化に注力して開発したのが「ホーネットストーム1P」というテントです。
前置きが長くなりましたが、購入後、実際に使ってみた感想をお届けいたしましょう。
まずは届いてみて驚いたのがそのコンパクトと軽さです!
比較のためにステラリッジ2と並べてみます。
ちなみにステラリッジの純正収納袋が破れてしまいましたので、現在は汎用の収納袋に入れています。比較としては若干分かりにくいかもしれませんがご了承ください。
見た感じ収納サイズは半分以下ですし、重量も約800gとこちらも半分近く軽くなっています。
これは私にとって大きなアドバンテージです!
超軽量ダブルウォールテント「ニーモ ホーネット ストーム1P」を実際に使ってみた! 設営が簡単!
以下は、今年の四国サイクリングの際、実際にフィールドで一泊したファーストインプレッションとなります。
とにかく軽量化のために薄い生地を使用していますので、グランドシートはマストと言ってもいいでしょう(ニーモの正式呼称は「フットプリント」)。
形状は正方形ではなく、頭に比べて足元側が狭くなった台形状になっています。
ポールはY字構造です。
設営は実に簡単で、一度建てればまず迷うことはないでしょう。
足元側のポールは1本ですので、ポールに吊り下げただけの状態ですと足元は潰れた形状です。
ここはペグダウンすることによってテントに「張り」を生み出す「半自立式」です。(川原でペグが効かないサイトでしたので石を重しにしています)
上部には天井のスペースを広く取るためのパーツが装備されています。
「1P」という商品名だけあって、大きさは完全に一人用で設計されており、大人一人寝られるだけのスペースしかありません(ラインナップには二人用の2Pもあります)。
ちなみに二人用はこちら
足元はこんな感じです。多少荷物を置いておけるスペースもあります。
身長166cmの筆者が足を伸ばしても、枕元にはこの程度の荷物を置けるスペースはあります。
筆者はこれまで居住性優先で、常に二人用のテントを一人で使っており、完全な一人用を使用するのは初めてですので、正直、私にとっては「狭いなぁ」とは思いましたが、今回は軽量化優先ですのでそこはこのテントの責任ではありません(このホーネットストーム1Pは一人用としてはごく標準的なサイズです)。
軽量化のために全体に生地は薄目ですが、フライシートは10D(デニール)と際立って薄く、手が透けて見えるほどです。
また、これも軽量化のためか、フライシートの裾が短めで、下に物を置く時はちゃんと雨に濡れないように置く配慮が必要です。
それでは一晩過ごした感想は如何に?
この日は夜半から雨が降り始めたのですが、(新品ですので当たり前ですが)浸水などは皆無でしたし、結露も発生していません。
ほぼ快適に過ごすことが出来ましたが、一晩過ごした段階での「いいところ」「気になるところ」をまとめてみましょう。