燻せばいいわけじゃない!? キャンプで「燻製」を色づきよく、おいしく作るコツ

キャンプ飯

2025.01.09 投稿

燻せばいいわけじゃない!? キャンプで「燻製」を色づきよく、おいしく作るコツ

くにぱぐ@燻製&ラーメンキャンパー

くにぱぐ@燻製&ラーメンキャンパー

キャンプならではの料理として楽しいのが「燻製」です。しかし、実際にやってみると難しくて、いくら燻しても色づきが悪く、味もイマイチ…なんてことも。実は「キャンプ場での燻製」は「本来の燻製」とはかなり違いがあるのです。キャンプ場で燻製を美味しく作るために知っておきたいいくつかのポイントについて、今回は整理をしてみたいと思います。

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「煙はついで」ぐらい。キャンプでの燻製は「加熱料理」と考えよう

筆者撮影

燻製にはさまざまな方法があるのですが、キャンプ場で燻製を作ってその場で食べたい場合、「煙を当てる」事よりも「加熱する」ことを重視しましょう。

この方法を「熱燻」(80℃以上での燻製)と言い、非常に重要なポイントになります。

画像は筆者が作成した「燻製チャーシュー」ですが、2時間ほど燻してはいるものの、燻製器の内部は100度を常に超える状態の熱燻で、言ってみれば燻製風味の効いたオーブン料理のようなものです。

生の豚肉ブロックであってもしっかり内部まで火が通るので、燻製らしさも楽しめながら、その日のうちにすぐに食べられるのです。

温度が高いと色づきも良くなる

筆者撮影

熱燻で燻製を作ることには、仕上がりの上でも大きなメリットがあります。

燻製の色は、温度が高いほど明確に変化します。薫香もしっかりまとうようになります。

画像はスモークチーズですが、100℃前後での熱燻を行うことで、このような濃い色がごく短時間でつくのです。

そういう意味でも、意図的に燻製器の温度は上げていきましょう。

加熱はカセットコンロなどを使うと簡単。温度は必ず測ること

筆者撮影

煙を発するスモークウッド。これが燃える熱だけでも、ある程度燻製器の温度は上昇します。とはいえその温度は(燻製器のサイズなどにもよるものの)せいぜい50度くらいです。

これぐらいの温度での燻製は「温燻」(50℃〜70℃ぐらい)になり、通常2〜3時間は燻す必要が生じますし、やはり発色は弱くなります。

早い話、ウッドの熱量のみではキャンプでの燻製には温度が不足しているということです。

キャンプで熱燻を行う場合、カセットコンロなどを用いて燻製器自体、もしくはスモークウッドを加熱すると良いでしょう。もっと言うと、スモークウッドではなく、スモークチップを使えば、燻製器を加熱することで煙が出るので、とても簡単です。

ただし、チーズなどは溶けてしまうこともあるので、温度計を使用し、高温状態を必要以上に長く保たないようにします。

ほとんどの食材は、100℃から時間を測り、5分ごとに様子を見るのが良いです。生肉などそのまま食べられないものは例外で1時間以上熱燻します。

※なお、スモークチップやウッドの種類はさほど気にしなくて大丈夫です。キャンプでの燻製ではそこまで大きな差は出ません。

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温燻→熱燻と丁寧にやれば、より本格的な燻製になる

筆者撮影

「キャンプでの燻製は熱燻が基本」と書きましたが、では一方で「温燻」はどんな場合にやるのかについても少し触れてみます。

あくまでも「本来の燻製では」という意味ですが、燻製で一番重要なのは「脱水」です。食材の水分を乾燥と加熱とで抜き、煙に含まれるフェノール化合物による抗菌作用と抗酸化作用によって食材の保存性を高め、保存食を作るのが「本来の燻製の目的」です。

一方で、熱燻では加熱の時間が短く、水分を十分に抜くことはできません。つまり、それだけではおいしくすることはできても保存性は低いのです。キャンプの場合はその場で食べるので、保存性より熱燻の利便性が重視されるわけです。

ここをよく理解すると、キャンプでの燻製と、本来の燻製とでは、そもそも大きく意味が違うことがわかってきます。

筆者撮影

なお、温燻をじっくりと数時間行い、徐々に温度を上げていくようにすると、その過程で水分も抜け、本格的な燻製が出来上がります。

詳しい方法はこちらに記載していますが、色の入り方もこの方法だとだいぶ違ってきます。画像のように層ができ、色が変わった部分はややパリッとした歯ごたえになります。保存性も増し、冷蔵庫で数か月は備蓄することができるようになります。

これが本来の燻製です。

こんなことはキャンプ場ではやりきれませんし、中途半端な仕上がりになるだけです。キャンプ場では温燻はスッパリとやらないようにするのがいいでしょう。

使い古しの鍋でも。燻製器は絶対に燃えないものを使おう

筆者撮影

熱燻はガンガン火を焚くわけですから、よく見かける段ボール製の燻製器などはまったくおすすめができません。燻製器が燃えてしまう可能性があり、下手をすると火災を起こすことになります。

かと言って、高額な燻製器なども特に購入の必要はありません。蓋さえついていれば使い古しの鍋で問題はないのです。筆者は熱燻をキッチンで行う時はダッチオーブンで行っています。

鍋の場合、蓋に穴があるなど密閉性に疑問を持つかもしれません。

煙を逃がさないほうがいい気がしますよね。しかし実際は、水蒸気として発生する水分を逃がす必要があり、こちらの方が燻製を作る上での重要度は上です。

なので、燻製器は完全に密封されていないほうが良かったりします。

水分は少しだけ気にすればOK! 汁気の多い食材はそもそも使わない

イメージ

燻製における水分の処理は難しく、うまくやらないと味を大きく損なうこともありますが、熱燻の場合はそこまで細かいことを気にしなくても構いません。

気を付けるべきは3点。これだけは覚えておきましょう。

気を付けること3点

1.ナッツなどは完成後すぐは水分が出て湿気ている。湿気を感じたら、燻製後、1〜2時間ほど風に晒してから食すようにする。

2.5分刻みで燻製器を開けて様子を確認する際、食材と、燻製器の蓋の裏側の水分は、キッチンペーパー等で拭っておく。

3.生牡蠣や野菜など水分の多い食材はキャンプでは使用を避ける。

生牡蠣などの海産物や野菜は、ほとんどの場合、一晩程度事前に乾燥させて、表面の水分を抜いてから燻製にする必要があります。そこまでできるならよいのですが、手間的に言うと、キャンプでの燻製としてはあまり適していません。

キャンプで燻製に適しているのは、ナッツ、チーズ、ゆで卵、肉類など、あまり水分の多くないもので、特にタンパク質との相性がよいと感じます。

これらは準備もほとんどいらず、短時間の熱燻で劇的に味が変わります。

燻製は小さい手間でこそ美味しくなるもの。割り切ってやろう

筆者撮影

燻製は、多くのキャンパーが一度や二度はやってみるものの、手間の大きさの割においしく仕上がらないことも多く、それが理由でやめてしまう人が多いように感じます。

筆者は何度も何度も燻製をやってみて、「まず煙を当てる」という考え方に大きな違和感が出てきました。煙ではなく、「温度を上げる」ことを優先して行えば、燻製はもっと簡単に美味しくできるのです。

過去に燻製が面倒だなと思ってしまった人も、難しく考えないで、まずは「温度を上げる」ことを意識してみてください。

今までとは違う燻製の面白さに気づくかもしれませんよ。

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