「それやったらダメらしいよ」の根拠を教えて!
前回「直火に関するアレコレ」をご紹介しましたが、今回は「木炭に関するアレコレ」をご紹介!
「水につけて乾かせば再利用できるよ」ってホント?
「炭は土にかえらないから残しちゃだめだよ!」ってホント?
これらの“アレコレ”について、日本バイオ炭普及会・小澤史弘さんと一般社団法人岩手県木炭協会・藤原勝義さんからエビデンスを頂戴しました。
エビデンス1:Q.炭が土に還らないというのは本当ですか?
土に還る炭も中にはあります。(日本バイオ炭普及会・小澤史弘さん)
土に還らないということはないのですが、ほぼ還らないと言えます。というのは、炭ができあがるメカニズムに関係しているんです。
木は、炭窯の中が240℃になるあたりから急速に水分が抜けて炭化が始まり、400℃を超えるとほぼ炭化するのです。温度が上がるにつれて、炭素の比率が高くなり、純度の高い炭ができあがるのですが、この純度が高いほど土に還りにくくなるのです。
IPCCが示すガイドラインでは、350℃以上で製造された炭はバイオ炭と呼ばれており、100年後まで土中に残るそうです。このことから、高温でしっかりと製造された炭は土に還らないと言っていいでしょう。
ただ一方で、パッと見ると炭のように見えても半炭化物である物もあります。半炭化物というのは、200℃から300℃あたりで蒸し焼きにされたもので、成分も木のまま。野外に放置されると、分解が始ります。
焚き火の燃え残りというのは半炭化物が多いと思われるので、100年とかからずにいずれは土に還りますよ。
エビデンス2:Q.逆に炭を撒くことで地面や地中へのメリットはあるのでしょうか?
畑の土壌改善に効果があります。(日本バイオ炭普及会・小澤史弘さん)
炭を地面に撒くというのは、畑の土をよくする方法として農業ではなじみが深いものなんです。炭には細かな穴が数多く空いていますので、土に撒くことで水はけや通気性がよくなるのです。
最近では、光合成で吸収したCO2を保持したまま長い期間分解されないため、温暖化抑止になるという研究結果もあるんですよ。
エビデンス3:Q.水につけて乾かすことでもう一度使えるようになるって本当ですか?
本当です。(一般社団法人岩手県木炭協会・藤原勝義さん)
木炭といいうのは、水分を吸っても火をつけても、火に当てることで炭に空いているたくさんの細かい穴から水分を放出します。そのため、木炭には乾燥しやすい性質があるのです。
使用途中で水につけた木炭も、乾燥させることで元の品質のまま再利用することができます。
エビデンス4:Q.どんな炭でも再利用することは可能ですか?
乾きやすく硬度のある木炭であれば、可能です。(一般社団法人岩手県木炭協会・藤原勝義さん)
何でも再利用できるというわけではありません。水を吸った炭の乾燥には、炭に空いている細かい穴の多さ(多孔性)が重要なポイントで、この多孔性は原木の種類や製炭方法で変わっていきます。
例えば、海外製の木炭でよくあるマングローブ炭に比べると、ナラ炭の方が多孔性が高いため、再利用向きといえます。
炭というのは製炭方法の違いで、白炭(備長炭)と黒炭(BBQでよく使われる炭)の2つに大きく分類されるのですが、白炭よりも黒炭の方が多孔性が高く乾燥しやすいものの、白炭の方が硬いのです。一定の硬さのある質の高い炭ではなければ、燃焼時に摘み上げた際崩れてしまい、再利用できなくなることがあります。
このことから、炭の再利用というのは、原料の木材/白炭・黒炭/品質=硬さという、複合的な要素で決まっているのです!
エビデンス5:Q. 安い炭は爆ぜるって本当ですか?
本当です。(一般社団法人岩手県木炭協会・藤原勝義さん)
そもそも「爆ぜ」というのは、木炭の中に残っている揮発性のガス成分や水分が温められて膨張し、蒸発する際に逃げ場がなくなって起こる現象なのです。
これらの成分の有無というのは、製炭する際に高い温度でしっかりと炭化しているかどうかが関係してきます。低い温度で作られることが多い安価な木炭は炭化不足になり、ガス成分や水分が多いため、爆ぜやすいのです。
逆に品質の高い木炭は高い温度で炭化されており、ガス成分や水分をしっかりと抜いているため、爆ぜにくくなっていますよ!