ランタンの燃料について知ろう! 燃料の基礎知識
ここからは、ランタンの燃料についてお話したいと思います。
ランタンにはそれぞれ専用の燃料が必要になります。メーカーや商品によって表記が異なったり、初心者には「難しい」と思われがち。以下でご紹介する知識を覚えておいてください。
灯油=白灯油=ケロシン
ペトロマックスのHK500に代表されるケロシンランタンには、灯油が必要です。
『ケロシン』とは灯油のことで、『白灯油』とも呼ばれます。
白灯油は、精製度の高い1号灯油を白灯油、精製度の落ちる2号灯油を茶灯油と、精製度の違いによって呼び分けていた名残で使われていますが、現在入手できる灯油はすべて白灯油で、『ケロシン』は灯油の主成分のことです。
ホワイトガソリン≠ガソリン
ホワイトガソリンは純度が高く、すすなどが出ないようになっています。しかしそのため、比較的高価。
ホワイトガソリンにさまざまな物質を混ぜてエンジンを動かすのに適した燃料にしたのが、ガソリンです。
ホワイトガソリンとガソリンは燃焼力や熱量にほとんど違いはありませんが、ホワイトガソリン用のランタンにガソリンを入れてしまうと目詰まりを起こして故障の原因になってしまいますので、絶対に入れないでください。
コールマンのランタンの中には、ガソリンが使用できるタイプのものもあります。
タンクがシルバーの『Unleaded(アンレデッド)』は、ガソリンを使用することもできるランタンで、「バイクツーリングなどに行くときにバイクと燃料を共有したい」と思い、昔購入したものです。
OD缶=ブタン・イソブタン・プロパン
OD缶(アウトドア缶)は用途によって、ブタン・イソブタン・プロパンが調合されて入っています。
ブタンが気化するのは-0.5度、イソブタンは-11.7度、プロパンは-42.0度なので、プロパンの割合が多い方がより低温で気化しやすく、低温化でも炎は安定するということになります。
「それならみんなプロパンにすれば良いのに〜!」と思うかもしれませんが、常温で充填するにはプロパンをより高圧で液化する必要があるため、ボンベをさらに頑丈にしなければならず、このように調合されているのです。
■OD缶=アウトドア缶|CB缶=カセットボンベ缶■
アウトドアを始めるとよく聞く『OD缶』はアウトドア缶のことで、『CB缶』は家庭でよく使われるカセットボンベ缶のことです。
OD缶も、平地用、山用、冬山用など、用途によって充填されているガスが異なります。
同じ250gのガスが入っていても、OD缶はCB缶より頑丈にできており高圧なガスを充填できるため、コンパクトなフォルムにすることができるのです。
家庭で使うCB缶には、ほとんどの場合ブタンが入っています。ブタンは沸点が-0.5度なので、それ以下の温度では液体のままです。冬キャンプでカセットコンロが点火しなかったり火力が弱いと感じるのは、液体のブタンがそのまま出てきてしまうためです。
都市ガスとプロパンガス
自宅のキッチンで使うガスにも、ガス管で供給される『都市ガス』と、ボンベから供給される『プロパンガス』がありますが、都市ガスはメタンを主成分とした液化天然ガス(LNG)で、プロパンガスはプロパン・ブタンなどの液化石油ガス(LPG)です。
「LPガス』と聞いたことがあると思いますが、これがプロパンガスなのです。
都市ガス(メタン)は空気より軽いので、漏れても窓から出ていってくれますが、プロパンガス(プロパン・ブタン)は空気より重いので外に掃き出さないと出てくれません。
■なぜ都市ガスとプロパンガスでガス機器が違うのか■
都市ガスとプロパンガスでは、「都市ガス用」「プロパンガス用」とガス機器が異なります。
都市ガスよりプロパンガスの方が燃えやすく、2倍以上熱量が大きいです。それでは、「都市ガスの方がプロパンガスよりお湯を沸かすのに倍の時間がかかるのか」と言うと、そうではありません。
実は、都市ガス用ガス機器の方が、プロパンガス用より一度に出るガスの量を多くして、沸かす時間が変わらないように調整しているのです。
ですので、プロパン用のガス機器を都市ガスで使うと火が弱く、逆に都市ガス用のガス機器をプロパンガスで使うと大きな炎が出てしまって危険です。
アウトドア用のバーナーの場合、出るガスの量は同じなので、CB缶でお湯を沸かすのとOD缶でお湯を沸かすのでは、沸騰するまでの時間が変わるのです。