【通信速度だけは別】格安SIM側の理由によって通信速度低下が起こる
ここまで、「品質が劣る」「エリアが狭い」「電波が弱い」等は格安SIM側の問題ではなく、大手キャリア側の問題だと解説してきましたが、1点だけそこに含まれないものがあります。
『格安SIMは利用者が集中する時間帯には通信速度が低下する』
『格安SIMは時間帯によっては通信速度が遅くて使えない』
といった評判、これはある意味で当たっています。
「エリア」や「電波」といった他の状況と違って、借り受ける回線の量を増やす事で改善できる「通信速度の低下」「通信速度が遅い」という点に関しては、格安SIM側の課題と言えます。
こうした構造によって「格安SIMの通信速度は遅い」と言われているわけで、これはある意味、格安SIMの「宿命」とも言えます。
しかし、格安SIMサービス各社の考え方や資本力など、様々な理由や事情によって対応が異なるため、全ての格安SIMサービスの通信速度は必ずしも同等ではありません。
常に高速通信を提供できるMVNOもあれば、通信速度は重視しないというMVNOもあります。
動画視聴などで一定の通信速度を重視する場合は、評価サイトなどを参考に、「速い格安SIM」を探すとよいでしょう。
【この項のまとめ】
- 格安SIMの「格安」とは大手キャリアより割安という意味、SIMは通信サービスを表している
- 格安SIMは自前の通信回線を持たず、「接続料」を支払って大手キャリアから回線を借り、各社独自の通信サービス(料金プラン等)を提供している
- 使用している回線は大手キャリア回線そのものなので、圏外・電波・エリアなどの苦情は誤解であって、「やっぱり格安SIMは安い分だめだね」は全く当たっていない
- 格安SIMの通信速度低下・通信速度が遅いことに関しては、格安SIM側の問題である。それぞれのMVNOによって通信速度は異なる。
少し長くなりましたが、ここまで格安SIMについて細かく解説してきました。
続いては、その格安SIMをアウトドアユーザー、あるいはキャンパーが利用することのメリットやデメリットをまとめてみたいと思います。
【アウトドアユーザーにとって格安SIMのメリット】圧倒的価格の安さなど
1.料金が割安になる
格安SIMのメリットは、この1点に尽きると言っても過言ではありません。
様々なコストを削ぎ落して実現した格安SIMの割安料金は、大手キャリアで平均5000~7000円程度の月額料金を、1000~2000円程度に圧縮することが可能と言われています。
解説でも述べたように回線自体は大手キャリア回線そのものですので、品質が悪いとか、エリアが狭いといった悪評は、通信速度の件を除けばほとんどがデマだと言えます。
大手キャリア品質の通信を割安料金で利用できることが最大のメリットです。
例えば、家族4人で大手キャリアを利用する月額料金6000円×4人=24000円が、格安SIMに家族全員で乗換えることで、2000円×4人=8000円にできれば、毎月、16000円もの余剰金が生まれます。
キャンプ道具を毎月買い足すこともできますし、毎月、キャンプに出掛けてもお釣りがくるほどです。
2.マルチ・キャリア
マルチ・キャリアとは、1社で複数の通信回線の通信サービスを取り扱う事業者のことで、契約する際に、ドコモ回線とau回線、au回線とSoftbank回線といったように、異なる複数の大手キャリアの回線サービスの中から使用する回線を選択できることは大きなメリットです。
一部には、NTTドコモ・au・Softbankの3社全ての通信回線のサービスを提供するトリプル・キャリアも現れており、自社回線しか取り扱えない大手キャリアに比べ、柔軟性の高いサービスと言えます。
3.低速モードで、音楽聞き放題、動画見放題
大手キャリアにはない「低速モード」というサービスを提供しているMVNOがあります。
これは、データ通信の通信速度を任意で「低速」に設定することで、データ通信料がかからずに通信できるので、音楽や動画のサブスク・サービスなどで通信料がかからず使い放題となるメリットがあります。
低速での通信なので動画は状況によっては途中で停止してしまうケースもありますが、動画ほどの速度を必要としない音楽であれば、朝から晩までキャンプ中ずっと好きな音楽を流しておくことも可能です。
また、一部のサービスでは、低速時の速度で最大1Mbpsを保証しているサービスが登場してきており、この速度であれば、動画も通信料をかけずに視聴することが可能になりそうです。
4.専用アプリから発信すれば通話料が半額になる
大手キャリアも格安SIMでも、通常の通話料金は20円/30秒ですが、大手キャリアにはないMVNO独自のサービスに「半額通話(アプリ)」があります。
MVNO各社が提供しているアプリ経由で発信された通話は、通常の半額の10円/30秒の料金で通話することが可能ですが、特にアプリを使用する上での月額料金等はなく、使用した分の通話料のみの支払いとなります。
【アウトドアユーザーにとって格安SIMのデメリット】自分にあった回線や料金プランが見つけにくい
ここまでで述べたように、格安SIMサービスは、様々なものを切り捨てることで格安料金を実現しているため、大手キャリア並みのサービスを望むユーザーには、デメリットが多いサービスと感じてしまう可能性があります。
「店舗がない(少ない)」、「通信速度が低下する時間帯がある」といったこと以外にも、下記のようなデメリットがあると言われます。
1.サービス内容・料金プランがわかりにくい
メリットで登場した「マルチ・キャリア」は、一部のユーザーにはデメリットになります。
回線を借りる際に支払う「接続料」が、大手キャリア各社で異なる(つまり仕入れ価格が違う)ため、料金プランの月額料金が統一されておらずバラバラな上、数多くのオプションサービスの組み合わせがあり、自分にあった回線・料金プランが見つけにくいというデメリットが生じています。
2. iPhoneを購入できない
Appleは、iPhoneの取扱店には一定の販売数を求めることから、規模が小さなMVNOは単独でiPhone販売の権利を獲得することができません。
一部の大手キャリアの子会社や関連サービスにおいて、旧モデルの購入が可能ですが、通常はMVNOではiPhoneは購入できません。