※ 初めての方は【準備と設置編】を読んでから、こちらをご覧ください。
【薪ストーブに着火する方法】本燃焼までの注意ポイントも解説 手順・着火剤などの使い方は焚き火と同じ
準備と設置編までの工程が終わって、やっと薪ストーブに火を付けられます。長かったですね。
新品の鉄製ストーブを使う場合ですが、錆止め塗装がしてあります。これは臭いので、テントに入れる前に屋外で燃やすことをおすすめします。
焚き火と同じく、最初は小さな木片から。長時間燃えるタイプの着火剤を使うのが簡単です。
こちらはハピキャン放送内でも登場した、8分以上燃えるFIRE LIGHTERS(ファイヤーライターズ)。薪ストーブの炉内は無風ですので、最初から大きな薪に火を着けようとしない限り、まず失敗しないはずです。
薪ストーブの吸気口を開き、細くて短い薪から少しずつ中に入れる薪を大きくしていきます。気密性が低い薪ストーブでは、煙が扉の隙間から多少漏れることがありますが、我慢してそのまま燃やします。この時はテントの入り口なども開けて、換気を十分に行いましょう。
耐えられないほど煙が漏れる時は、排気経路の見直しが必要です。薪ストーブ本体の気密性も不足している機種と考えられますので、テント内での使用は考え直した方が良いです。
煙突が温まってくると、煙突に空気を引き込む上昇気流(ドラフト)が発生して薪ストーブ本体からの煙の漏れも無くなります。煙突上出しだと約3分ほどですが、横出しですと約10分ぐらいかかります。
その後は炉内の温度が上がり、薪を入れると即発火する本燃焼状態になります。
焚き火に慣れ親しんだ方なら、あっけないほど簡単に本燃焼までもっていけるでしょう。薪ストーブの吸気口の開き幅を調整しながら、薪が燃え尽きる前に次の薪を追加していくだけです。
本燃焼まで持っていけない場合、いきなり太い薪を入れすぎているか、煙突の設置方法(縦横比)など排気経路に問題があると思われます。吸気が不足していれば、見た目でも分かりますので。
新品の薪ストーブの場合は、塗装を焼き付け定着させるためにしばらく細めの薪だけで控えめに燃やして、塗装表面から煙を出してください。20分ほどして煙の量が減ってきたら、少しずつ薪を増やし全開運転して塗装を完全に焼き付けます。
30分ぐらい高火力で燃やして、煙が完全に出なくなれば終了です。この時、ついでにお湯でも沸かそうかとヤカンや鍋を置いてしまうと、その形が塗装面に残ります。少しの我慢です。
初回の焼き付けは鉄製薪ストーブの場合だけで、ステンレス製の場合は不要なことがほとんどです。詳しくは購入した薪ストーブの説明書をご覧ください。
【薪ストーブ燃焼中の温度管理】300度前後でテント内はポカポカに 冬キャンプで防寒着を用意している場合は控えめな温度が安全!
薪ストーブによって最適な燃焼温度は変わりますが、必要以上に火力を上げるべきではありません。火の粉の爆発や輻射(ふくしゃ)熱のリスクは、火力を上げるほど高まります。冬キャンプであれば当然防寒着も用意しているでしょうから、寒さを感じない程度に控えめに燃やすのが良いと考えます。
マグネット式の温度計を煙突の根元に貼り付けておくと、温度管理の目安になります。この温度計にある「最適温度270~470℃」は家庭用で使われる鋳鉄製の薪ストーブ用だと思いますので、キャンプ用薪ストーブで400℃を超えるようだと少々危険です。コットンの発火温度も、約400℃ですので。
私も普段、高くても300℃前後で収めるようにしています。それでもテント内は十分に暖かいです。
【使用簡単、高速応答】温度計を対象物に向けてから引き金を引き、0.5秒だけに高精度で瞬時に表面温度を測定でき、何も操作をせず、約20秒後に自動で電源が切れ、省エネです。又は、液晶画面は暗いところでも見やすいバックライト付きです。
【四つのモード切り替え】モードボタンにより、Max/Min/EMS/CALのモードを自由に切り替えます。Max:測定過程中の最高温度を表示し;Mi...
赤外線を使う非接触温度計も、テントに熱が伝わっていないかのチェックに便利です。特に煙突を垂直に屋根から出す場合、屋根と煙突の接触部分が高いのでチェックも大変ですから、この温度計があれば手元で温度が確認できます。
【薪ストーブ燃焼中の注意点】設置編の煙突カバーなどの安全対策+α 一酸化炭素チェッカー&消火器を用意しよう
薪ストーブの一酸化炭素中毒について
冬キャンプの恐怖の象徴として語られる一酸化炭素中毒ですが、薪ストーブの場合は他の燃焼器具に比べますと安全です。燃焼ガスは煙突から排気されますので、テント内には流出しません。もちろん酸素供給が不足すれば一酸化炭素が発生する可能性はありますが、テントで外気流入が遮断された真空状態が発生することはまずありえません。
煙突がススで完全に詰まったり、強風で排気が逆流すると、炉内の酸素が不足し一酸化炭素が発生する可能性があります。
しかし焚き火好きな方ならご存知の通り、薪は酸素が不足すると鎮火してしまいますので、中毒死するほどにもなりません。ただし煙たくて先に喉がやられますので、すぐに窓やドアを開けて換気しましょう。
いずれも正常に煙突での排気が機能しており、換気のためにベンチレーターや隙間を開けていれば、まず起こり得ないものです。酸素が不足しても燃え続けてしまう、炭や灯油の方がずっと危険です。
そうは言っても火を使うわけですから、決して過信せずにお願いします!
もちろん万一に備えて、一酸化炭素警報器を用意することは望ましく、私も冬キャンプでは毎回2個用意して使っています。こと薪ストーブに限っては一酸化炭素よりも、火災の方が怖いですね。
一酸化炭素を検知した際、数値で出してくれる物がおすすめです。「アラームが鳴るほどでもないが、微量に検出している時」でも、数値の上昇で気付けますので。
火気の使用中でも、数値がずっと0の状態が望ましいです。数値が上がるようなら換気量を増やしましょう。正常に動いているかの動作確認は、燃えている炭や自動車の排気ガスで可能です。
▼一酸化炭素チェッカーはこちらの記事でもご紹介中▼
薪ストーブの火災への対策
薪ストーブを使う上での最大のリスクは火災です。設置編でも触れたような薪ストーブ本体と煙突から発生する熱と火の粉の対策、さらに使用中に燃えやすいものを近くに置かないといった対策が必須です。着火にライターやガスバーナーを使っていたら、近くに置きっぱなしにせずに離しておきましょう。
十分な断熱と防火対策をしていても、薪を補充するために扉を開けた瞬間に、火の粉が爆ぜる可能性もあります。可燃性のガスボンベやスプレーはもちろん、燃えやすい枯れ草や衣服、寝具も近づけないようにしましょう。
万一に備えて、緊急消火用の消火スプレーや水を準備しておくことも重要です。特に冬の時期は乾燥しており、思っている以上の速さで炎が燃え広がります。炎が上がってしまったら、テントがコットンだろうと関係ありません。難燃加工をしてあるテントを使っていれば、テントは焦げるぐらいで済むのですが、衣服や身の回りのものすべてに難燃加工することは現実的ではありません。
初期消火に失敗した場合、すぐにテントから外に出て大声で火災発生を周りに知らせてください。火災を起こした本人が逃げおおせても、隣のテントの人が大惨事になることもあります。複数人で協力して消火にあたり、消防への通報も忘れずに。