キャンプの際、自然の中で食べる炊きたてのご飯の味は格別ですよね。でも、「飯ごうで炊いたら芯が残った」「メスティンが焦げ付いてしまった」なんて失敗談もよく聞きます。そこで今回は、キャンプで失敗しないご飯の炊き方を徹底解説!道具選びの基本からアイテム別のコツ、次のキャンプで真似したくなる絶品レシピまで、分かりやすくご紹介します。
この記事でわかること
- キャンプでのご飯の炊き方が道具別にわかる
- キャンプでの炊飯を成功させるコツがわかる
- キャンプで食べたい絶品ご飯レシピがわかる
- キャンプでご飯を炊く前に!まずは基本の道具を知ろう
- キャンプで失敗せずに美味しくご飯を炊くコツ
- 【道具別】炊き方ガイド|メスティン・飯ごう・鍋・ライスクッカー・ダッチオーブン
- もっと美味しく!キャンプで食べたい絶品ご飯レシピ
- 美味しいご飯が、キャンプをもっと楽しくする
キャンプでご飯を炊く前に!まずは基本の道具を知ろう

美味しいご飯を炊くには、まず道具を知ることから始まります。
まずは必要な道具や、炊飯に適したギアの特徴などを確認していきましょう。
炊飯に必要な「基本セット」
まずは、キャンプでの炊飯に最低限必要なアイテムをリストアップしました。
必要な道具
- 米と水:
炊飯の主役です。キャンプ場によっては水道水が飲用不可の場合もありますので、事前に調べておきましょう。 - 炊飯器具:
メスティン、飯ごう、鍋(クッカー)など、好みやキャンプスタイルに合わせたものを選びます。 - 熱源:
シングルバーナー(ガスコンロ)や焚き火、固形燃料などが必要です。 - 軍手・耐熱グローブ:
火にかけた熱い器具を掴んだり、火から下ろしたりする際に使います。火傷を防ぐために必ず用意しましょう。 - タオル:
炊き上がった鍋を包み、「蒸らし」を行うために使います。 - 計量カップ:
米と水の量を正確に測るために重要です。米1合用の計量カップがあると便利です。
このほかにも、吸水時間や炊飯時間を正確に測るための「タイマー」があると、失敗がぐっと減ります。
また、焚き火で炊飯する際には「うちわ」や「火吹き棒」を用意すると、火加減調整に便利ですよ。
道具のメリット・デメリット
ご飯を炊く道具は一つではありません。キャンプでよく使われる代表的な5つのアイテムについて、メリット・デメリットをまとめました。
| アイテム | メリット | デメリット |
| 鍋(クッカー) | ・パスタやスープ、煮物など他の料理にも使い回せる ・キャンプ用のクッカーであれば、軽量で持ち運びにも便利 | ・深さがあるため米が対流しにくい ・深さがある分、メスティンなどに比べるとかさばりやすい |
| 飯ごう | ・タフな作りで、耐久性や保温性に優れている ・4合炊きなど、一度に多く炊ける製品が多い | ・重く、かさばりやすい ・独特の形状で洗いにくい |
| メスティン | ・軽量コンパクトなうえに、他のアイテムとスタッキングもしやすい ・熱伝導が良く早く炊ける ・固形燃料を使えばほったらかしでの炊飯(自動炊飯)ができる | ・アルミ製で焦げ付きやすい ・保温性が低い |
| ライスクッカー | ・炊飯専用のアイテムであるため、失敗が少ない ・吹きこぼれにくい構造になっている | ・他の調理への流用はしづらい ・他の道具に比べて、価格相場が高価な傾向にある |
| ダッチオーブン | ・蓄熱性や保温性に優れ、ふっくら美味しく炊ける ・煮込み料理など、他の調理にも使える | ・非常に重く、かさばる ・シーズニングなど、お手入れの手間がある |
どの道具も違った強み・弱みがあり、一概にどれが良いとは言い切れません。キャンプスタイルや好みにあわせて、最適な道具を選ぶようにしてくださいね。
キャンプで失敗せずに美味しくご飯を炊くコツ

キャンプでの炊飯は、いくつかのコツを押さえるだけで失敗がぐっと減ります。
「難しそう」と感じて敬遠していた方も、ここからご紹介する5つのコツを覚えて、ぜひ美味しい炊きたてご飯を目指してみてくださいね。
1.米と水の「計量」は正確に行う
炊飯で最も重要なのが計量です。ここで目分量にしてしまうと、芯が残ったり、柔らかくなったりする原因になります。
基本の分量は、米1合(180ml)に対して、水は200mlが基準です。炊飯するお米の量にあわせて、水の量を増減させましょう。
また、もし無洗米を使う場合は、水を少し多め(210ml〜220ml程度)にするのがおすすめです。無洗米は普通の米と違って、研ぐ必要のある「ぬか」の層がないため、同じ1合カップで計っても、ぬかの分だけ米の粒がギュッと多く入っているためです。
メスティンや飯ごうに刻まれている目盛りも便利ですが、最初は計量カップで正確に測るのが、美味しく炊くための一番のコツです。
2.「吸水」を最低30分(冬場は1時間)は行う

米にしっかり水を吸わせることも、ご飯を美味しく炊くための秘訣です。
研いだ米を計量した水に浸したら、最低でも30分は待ちましょう。特に気温が低い冬場や、標高が高い場所では水が浸透しにくいため、1時間から1時間半ほど、じっくり吸水させるのがおすすめです。
なぜ吸水時間が必要かというと、米のデンプンがうまく「糊化(こか)」するための準備時間だからです。
「糊化」とは、簡単に言うと、硬い「生米」が熱と水分を吸って、ふっくらと柔らかく、もっちりとした美味しい「ご飯」に変わること。もし吸水が足りないと、この変化がうまくいかず、米の芯まで火が通らず、ポソポソとした芯が残る原因になってしまいます。
筆者も、キャンプ場についたらテントを設営する前に、まず米を浸水させておくことがあります。設営している間にしっかり吸水できるので、設営後すぐに火にかけられてスムーズですよ。
3.火加減は「沸騰するまで中火 → 沸騰したら弱火」
炊飯の火加減は実はとてもシンプルで、まずは蓋をして中火にかけ、沸騰するのを待ちます。
鍋の隙間から湯気が出てきたり、蓋がカタカタと音をたて始めたら沸騰のサイン。そこから弱火(焚き火なら火から少し遠ざける)にして、10分から15分ほど加熱を続ければOKです。
沸騰のサインさえ見逃さなければ難しいものではありませんが、もし自信がない場合は、メスティン×固形燃料で「ほったらかし炊飯」にチャレンジしてみるのがおすすめです。
▼メスティンでのほったらかし炊飯についてはこちらの記事で紹介しています!
4.炊飯中は「絶対に蓋を開けない」
蓋を開けると鍋の中の温度と圧力が一気に下がってしまい、米にうまく火が通りません。結果として、芯のあるご飯になってしまいます。
昔から「赤子泣いても蓋取るな」と言われる通り、炊飯中はぐっと我慢しましょう。蓋を開けられない代わりに、「音」と「匂い」の変化に注意を向けてみてください。
炊き上がりが近づくと、グツグツという水の音から、「チリチリ」「パチパチ」という水分が飛んだ音に変わってきます。
匂いもとても大切なサインです。筆者の場合、最初は甘く水っぽい匂いがするのですが、それが消えて、香ばしい「炊きたてご飯」の匂い(いつも炊飯器で炊き上がった時にする、あの美味しい匂いです)に変わったら、火を止める目安にしています。
普段からご家庭でご飯が炊き上がった時の匂いを意識してみると、キャンプでも「あ、この匂いだ」と分かりやすくなりますよ。
5.火から下ろしたら「必ず10分以上蒸らす」
火から下ろしたらすぐに蓋を開けず、タオルや保温ケースで器具全体を包んで、上下逆さまにした状態で10分から15分ほど蒸らします。
この蒸らしの時間で、米の芯まで熱と水分が均一に行き渡り、ふっくらとした仕上がりになります。
また、鍋肌にこびりついたご飯も剥がれやすくなるうれしい効果も。焦らず待つこの時間が、美味しいご飯への最後の仕上げです。
【道具別】炊き方ガイド|メスティン・飯ごう・鍋・ライスクッカー・ダッチオーブン
炊飯の基本のコツや流れはどの道具でも同じですが、道具によって少しだけ勝手が違う部分もあります。
ここでは、メスティンや飯ごうなど、代表的な5つのアイテム別に、炊き方の流れと気をつけたいポイントを解説します。
鍋(クッカー)は重しを使うのがポイント

キャンプ用のクッカーはもちろん、普段自宅で使っている鍋でも、美味しいご飯を炊くことができます。
ポイント
鍋は蓋が軽いものが多いため、沸騰してくると蓋が持ち上がって吹きこぼれやすいです。
蓋の上に重しとして清潔な石などを置くと、適度な圧力がかかって上手に炊けます。
炊き方(1合)
- 研いだ米1合と水200mlを鍋に入れ、30分以上吸水させる
- 蓋をして中火にかけ、沸騰したら(蓋がカタカタ鳴り出したら)蓋に重しを乗せる
- すぐに弱火にし、約10分〜12分炊飯する
- チリチリという音や、米の焦げる香りがしてきたら火から下ろす
- タオルで包み、10分〜15分蒸らして完成
飯ごうは蓋で軽量もできるのがポイント

キャンプ炊飯の王道でもある「飯ごう」は独特のそら豆型が特徴のアイテム。熱がうまく対流するように設計されているので、ムラのない炊き上がりになります。
ポイント
伝統的な飯ごうは、中蓋(上皿)と外蓋があり、中蓋で米を、外蓋で水を計量できます(中蓋すりきり2合、外蓋すりきり3合が一般的)。
蒸らす際に飯ごうを逆さまにするのが伝統的な方法で、これは均一に蒸らすための知恵です。
炊き方(2合)
- 中蓋ですりきり1杯(2合)の米を研ぎ、飯ごう本体に入れる
- 本体の内側にある下の線まで水(約400ml)を入れ、30分以上吸水させる
- 外蓋をして中火にかける。沸騰して湯気が出てきたら弱火にする
- 湯気が出なくなり、チリチリ音や香ばしい匂いがしてきたら火から下ろす
- 飯ごうを逆さまにしてタオルで包み、10分〜15分蒸らす
▼飯ごうについてはこちらの記事でも詳しく解説しています!
メスティンは火加減がポイント

炊飯以外の調理にも役立つとして、ソロキャンパーからファミリーまで大人気のメスティン。アルミ製で熱伝導率が非常に高いため、短時間で炊き上がるのが魅力です。
ポイント
熱伝導が良い分、火加減を間違えると焦げ付きやすいので注意が必要です。
火が一点に集中しないよう、バーナーパッドを敷くと焦げ付きを軽減できます。
炊き方(1合)
- 米1合と水200mlをメスティンに入れ、30分以上吸水させる
- 蓋をして中火にかける。沸騰して蓋の隙間から湯気が出てきたら弱火にする
- 約10分炊飯し、チリチリと音が変わってきたら火から下ろす
- タオルで包み、保温ケースなどに入れ、10分〜15分蒸らす
※1合の場合、固形燃料(25g)を使うと、火が消えるまで放置するだけで炊けるので、初心者におすすめです。
ライスクッカーは機能をフル活用するのがポイント

ご飯を炊くことに特化したライスクッカーは、失敗が最も少ないアイテムです。厚手のアルミやステンレスでできており、熱が均一に伝わるので、炊き上がりも抜群ですよ。
ポイント
最大の特徴は、吹きこぼれにくい構造と、カタカタと音で知らせてくれる蓋の機能です。
水の量も内側の目盛りに合わせるだけで良いものが多いので、もともと備わっている機能をしっかり使いこなすのが成功の秘訣となります。
炊き方(2合)
- 米2合を研ぎ、ライスクッカーの内側の目盛り「2」の線まで水を入れる
- 蓋をして30分以上吸水させる
- 蓋をして中火にかける
- 沸騰して蓋がカタカタと音を立てて持ち上がり始めたら、弱火にする
- 音が止み、湯気が出なくなったら火から下ろす
- 蓋は取らずにそのまま10分〜15分蒸らして完成
ダッチオーブンは蓋の上に炭を置くのがポイント

鋳鉄製のダッチオーブンは、蓄熱性と密閉性が抜群。圧力鍋のように米の芯までふっくらと炊きあがるほか、焚き火との相性が最高で、香ばしいお焦げを作るのも得意です。
ポイント
非常に重く手入れも必要ですが、炊き上がりの美味しさは格別です。
キャンプでは焚き火調理をするのがスタンダードなスタイルで、この際、蓋の上に炭(上火)を置くことで、上下から均一に熱を加えられます。
炊き方(3合)
- 米3合と水600mlを入れ、30分以上吸水させる
- 焚き火の中に入れ、蓋の上にも炭(上火)を置く
- 蓋の隙間から勢いよく湯気が出てきたら、一度火から外し、下火と上火を弱める(炭の量を減らす)
- 再度火にかけ、10分ほど炊飯する
- お焦げの香りがしてきたら火から完全に下ろし、そのまま15分蒸らす
もっと美味しく!キャンプで食べたい絶品ご飯レシピ

白いご飯が上手に炊けるようになったら、次はアレンジレシピに挑戦してみましょう。ここからは、キャンプで真似したい絶品ご飯レシピを紹介します。
缶詰ひとつで味が決まる!超簡単「炊き込みご飯」

キャンプでは、吸水させた米に、規定量の水と缶詰を汁ごと入れて炊飯するだけで、本格的な炊き込みご飯を作ることができます。
缶詰は焼き鳥の缶詰やサバの味噌煮缶など、お好きなものを使えばOK。
また、味付けには「めんつゆ」(2倍濃縮や3倍濃縮など)を使うと、味が決まりやすく荷物も減らせるので、キャンプにはおすすめです。
ただし、缶詰の汁の分だけ、最初に入れる「水」の量を減らす必要がある点には注意してください。例えば、缶詰の汁が大さじ2杯分(30ml)あるなら、水は30ml減らす、といった具合です。
こうして水分量を調整すれば、味が薄まったり、逆にご飯がべちゃべちゃになったりする失敗を防げます。
▼キャンプで作りやすい炊き込みご飯については、以下の記事でも詳しく説明しています!
「お焦げ」も「残りご飯」もごちそうに!翌朝活用レシピ
あえて多めにご飯を炊いて、翌朝に活用するのもキャンプの知恵です。
少し焦げてしまった「お焦げ」がある場合、それは失敗ではなくごちそう。醤油を塗って焚き火や網で炙れば、それだけで香ばしい焼きおにぎりになります。
また、冷やご飯はクッカーに入れ、水とだしの素を加えて火にかければ、体に染みる温かい雑炊に。卵を落として、子どもも喜ぶ簡単で美味しい朝ごはんの完成です。
美味しいご飯が、キャンプをもっと楽しくする

キャンプで、湯気の立つ炊きたてのご飯を頬張る瞬間は、何ものにも代えがたい喜びがありますよね。
最初は芯が残ったり、焦げ付いたりするかもしれません。でも、計量や吸水、蒸らしといった小さなコツを一つずつ守れば、誰でもふっくら美味しいご飯が炊けるようになります。
美味しいご飯があれば、キャンプの思い出もより特別なものになるはず。次のキャンプでは、ぜひ飯ごうやメスティンでの炊飯に挑戦して、最高の「いただきます」を体験してくださいね。























