(聞き手:ハピキャン編集部 てい えみ)
焚き火の知識の深まりとともにどんどん簡素化。最終的には100均グッズに!?
第1回のゲストは焚き火マイスターの猪野正哉(いの まさや)さんです。そして、愛用遍歴を伺うアイテムは「火吹き棒」。
「焚き火が仕事」という、まさに焚き火のプロが辿り着いたのは一体どんな火吹き棒なのでしょうか?
猪野正哉さんの経歴・愛用ギア遍歴
【初代火吹き棒:竹筒(自作)】
竹筒を使い始めたきっかけを教えて!
小学生の頃からずっと、父親や周りの大人たちが使うのを見ていたので、ごく自然な流れで自分も使っていました。
子どもの頃から焚き火が身近にある環境で育ったんですね。焚き火のプロが幼少期からごく最近までずっと変わらずに愛用してきたのが「竹筒」だったというのは驚きです!
竹筒を使ってみてわかったこと、訪れた変化はある?
大人がやっていた「火に向かって息を吐く」という行為を見様見真似で実践するようになりました。それと同時に「火に空気を送ることで火種の大きさが変わる」ということを、体感的に理解できるようになりましたね。
幼少期の猪野少年にとっては、きっと新鮮な体験だったんでしょうね。
竹筒のお気に入りポイントBEST3を教えて!
1位:壊れたら燃やして処分できる
2位:お金をかけずに手に入れられる
3位:乱雑に扱っても罪悪感がない(笑)
です!
たしかに、わざわざ高価なアイテムを購入しなくても身の回りにあるもので調達できてしまうのはコスパ的にもとっても良いですよね!
【2代目火吹き棒:ファイヤーブラスター(ブッシュクラフト.jp)】
商品特徴
ピンポイントに狙った場所に空気を送り込める、折りたたみ式のファイヤーブラスター(ふいご)。軽量コンパクトでボールペンサイズのため、ポケットに入れて手軽に持ち運ぶことができます。
ファイヤーブラスターを使い始めたきっかけを教えて!
焚き火マイスターとしての活動を開始し、焚き火の主役は「道具」ではなく、あくまでも「火」であるべきという想いが強まっていく中で、必要最低限の機能かつ、コンパクトで持ち歩きやすい点が気に入って使い始めました。
プライベートでの使用はもちろん、イベント用などで複数持ち歩くにも最適だったんです。
伸縮するタイプの製品なので、竹筒に比べるとかなりコンパクトになりますもんね。そして焚き火の主役は「火」であり、道具はあくまでも「脇役」という考え方、すごく刺さりました。
ファイヤーブラスターを使ってみてわかったこと、訪れた変化はある?
プライベートでは火吹き棒を持ち歩かないことも多かったですが、「ファイヤーブラスター」の購入を機にツールボックスに常備するようになりましたね。
ワークショップなどで子どもたちに焚き火を教える際も使うようになって、「火から一定の距離を保てる」「火種をめがけてピンポイントで吹ける」「火吹き棒の先で軽く薪をいじれる」などのメリットを実感するとともに、ワークショップの安全面も向上しました。
道具選びの基準が当事者目線から第三者目線に…焚き火のプロならではの変遷ですね!
ファイヤーブラスターのお気に入りポイントBEST3を教えて!
1位:火を育てている感を味わえる
2位:携帯性が優れている
3位:飽きのこないデザイン
です!
初代の「竹筒」と比べると携帯性、デザイン性、機能性のすべてが優れていて、焚き火マイスターの商売道具としてぴったりですよね。
【3代目火吹き棒:エアーハンドポンプ(ダイソー)】
商品特徴
100均のダイソーで販売されている、コンパクトサイズのエアーポンプ。
押しても引いても空気が入り、風船やビーチボールなどに空気を入れるのに最適です。
エアーハンドポンプを使い始めたきっかけを教えて!
知り合いのアウトドア系カメラマンに教えてもらいました。
長引くコロナ禍のなかで、口をつけて使う火吹き棒にやや抵抗を感じはじめ、大人数でも使い回しができる火吹き棒を探していたところだったので、すぐに購入を決断しました。
一周して辿り着いたのがダイソーの商品というのが面白いですね。「空気入れ」を火吹き棒の代わりに使うというアイデアも新鮮でした!
エアーハンドポンプを使ってみてわかったこと、訪れた変化はある?
押しても引いても空気が出る構造なので、イベントなどで長時間焚き火をする際や、大人数を招いてのワークショップでも疲れなくなりましたね。
ただ、うっかりすると火に近づけすぎて溶けてしまうことも…。そんな理由もあり、この1,2年の間で日本一この商品を購入している人間だという自負があります(笑)
通常の火吹き棒だと煙を吸い込んでしまうような小さな子どもたちにも安心しておすすめできそうですね!
エアーハンドポンプのお気に入りポイントBEST3を教えて!
1位:口を使わないので、仲間内で使い回せる
2位:押しても引いても空気を出せる設計が◎
3位:見た目がダサかっこいい(笑)
です!
決しておしゃれとは言えない見た目がマイナスポイントになるかと思いきや、好きなポイントなんですね(笑)
次に狙っている火吹き棒は?
ダイソーの「エアーハンドポンプ」に行き着いた猪野さんですが、次に気になっている火吹き棒ってありますか?
今は、TOKYO CRAFTSの「マグナブラスター」が気になっています。
太さが竹筒くらいで、携帯時にはコンパクトにして持ち運べる。これまで使ってきた1つ目と2つ目の火吹き棒の良いとこ取りの製品なんです。
今気になっている火吹き棒:TOKYO CRAFTS「マグナブラスター」
あえて太めの筒に設計されているため、周囲の空気を取り込み、大量の空気を炎に送れるのが魅力。口を離して使えるので熱気の逆流を防げます。重さも125gと軽量で、持ち運びに便利なサイズ感です。
逆流の心配なく安全 口を離して使え、熱気の逆流を防げます。
軽量・コンパクトな収納 3ピース構造で収納サイズは20 x φ3.2cm、重量は約125gと軽量です。径が太く、更に分割できるので、すみずみまで手が届きお手入れが簡単です。
使用サイズ 使用時の長さは、口を離して使う事を考慮し、必用十分な50cmとなっています。
結露しにくい 湿度が高い口からの空気だけでなく周囲の空気を一緒に取り込む為、結露が発生しにくいです。また、管が太いので湿気がこもりにくくドライな状態を保ちます。
焚き火マイスターとしての活動を通して辿り着いた「焚き火の主役は火である」という考え
今回、焚き火マイスターの猪野さんにお話を伺って印象的だったのは、「焚き火の主役は火であるべき」という考え。
たしかにそんな猪野さんの火吹き棒遍歴を伺ってみると、驚くほど機能やスペックはシンプルで削ぎ落とされたアイテムばかりでした。
また、「携帯性」や「衛生面」も重視している点は、普段からワークショップ開催など仕事として焚き火を扱っている猪野さんならではのポイント。
「みんなが使っているから」とか「とにかく機能が良くて高価だから」という理由ではなく、「自分にとって必要なポイントは何だろう?」と考えてみることが、キャンプギア選びで大事なことなのかもしれませんね。
次回の『愛用ギア遍歴』にはどんなキャンパーさんとアイテムが登場するのでしょうか?
どうぞ、お楽しみに!
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