ダウンシュラフ選びの基本はこれ!
ここまで説明しましたが、FP(フィルパワー)やボックスキルトと言われてもわからないと思うので、「ダウンシュラフの選び方の基本」として、押さえておきたいポイントを説明していきたいと思います。
FP(フィルパワー)とは
まずフィルパワーというのは簡単に言うとダウンが膨らむ力を数値化したものです。
羽毛の隙間に暖かい空気をため込むというのがダウンの仕組みですが、膨らみの力が大きければ大きいほどより多くの空気をため込むことができるので保温性は高まります。
温かい空気は逃げにくくなり、冷気は入って来れなくなるということです。
なので、このフィルパワーという数値は大きければ大きいほどより暖かいとされています。
ボックスキルトとは
ボックスキルトは生地の縫製方法です。
シングルキルトというのはシンプルに表の生地と裏生地をぬい合わせる方法です。
こちら(下画像)はナンガのシングルキルトのモデルですが、ここの縫製部分ですね。
要は、中のダウンが寄ってしまわないようにシュラフには絶対ここに縫い目を入れるんですが、糸の縫い方を表生地と裏生地それぞれの生地を重ねて縫ってしまう方法をシングルキルトといいます。
メリットとしては生産工程が簡略化できるので単純にコストが下がるというところ。
デメリットとしては縫い合わせた部分から冷たい冷気が入ってしまうのでコールドスポットになるという点です。
一方でボックスキルトは、表生地と裏生地の間にメッシュの隔壁をつくって縫い合わせをしません。
そうするとシングルと違って縫製部分が潰されないようになるので、コールドスポットになりにくいという仕組みになっています。
ただ、そのような縫製はもちろんコストがかかるので、単純にシングルキルトのものよりボックスキルトの方が原価が上がってしまうという点と、中にメッシュを入れることによって若干重量が出るというところがデメリットになりますね。
シングルキルト | ボックスキルト | |
---|---|---|
縫製方法 | 表生地と裏生地それぞれの生地を直接重ねて縫ってしまう | 表生地と裏生地の間に「メッシュの隔壁」をつくって表地・裏地をダイレクトに縫い合わせない |
メリット | 生産コストが安く済む | 生産コストが上がる |
デメリット | 縫い合わせた部分から冷たい冷気が入って「コールドスポット」がたくさんできやすいため、ボックスキルトに比べて寒い | 「コールドスポット」ができにくいので暖かい |
価格 | 安め | 高め |
ショルダーウォーマーとは
ショルダーウォーマーというのは寝袋の首元部分です。
首元部分にチューブのようなものが通ってる場合、これをショルダーウォーマーと言います。
寝袋の中でもコールドスポットとされる首元の保温力を上げるために、チューブと中にダウンを入れて通すことで保温力を高めるという構造になっています。
ドラフトチューブとは
ファスナーを開けたときにファスナーの内側にベロが付いていると、これがドラフトチューブになります。
これもショルダーウォーマーと同じでこの中にダウンが入っています。
このファスナー部分から冷気が入ると言われるので、内側のベロで保護することによってコールドスポットをなくすという目的で付けられているものになります。
例えば激安の冬物シュラフがあったとして、それがダウン量1000g で暖かいですよと言っていたとしても、縫製法・ショルダーウォーマー・ドライチューブの製法によっては、ダウン量に対して実際の体感温度は下がってしまうので気をつけてもらった方がいいかなと思います。
以上の点を覚えていただくと、ナンガのシュラフがどんな性能をしているかっていうのは商品名で簡単に見分けがつき、さらにスペックまで一瞬で全部わかります。
これを踏まえて最後にナンガの中でも実際にコスパの良い商品っていうのを紹介していきたいと思います。