※本記事は2022年8月20日に三才ブックスから発売された書籍『ぜんぶ同時に出来上がる! 飯盒2型絶品定食レシピ』の内容に加筆・修正を加え再構成したものです。
▼戦闘飯盒2型の魅力
戦闘飯盒2型は多彩な調理が可能な自衛隊御用達クッカー。扱いやすいサイズ感や機能性も魅力
戦闘飯盒2型は、自衛隊で使われている戦闘飯ごう(「飯ごう ,2形」とも呼ばれる)を、ロスコ・MOOSE ROOM WORKS・エバニューといったアウトドアメーカーが一般向けに製品化し、販売しているものです。
このクッカーは、外蓋・中蓋・本体の3つで構成されていますが、それぞれの形状や特性を生かせば、炊飯だけでなく、煮る、蒸す、焼くといったさまざまな調理を実践できます。
また、林間学校などでよく見かける、4合炊きタイプの「兵式飯盒」よりもコンパクトで持ち運びやすいのも人気のポイントです。
高い機能性や無骨でスタイリッシュな見た目も、多くのキャンパーから支持を集める理由として挙げられています。
水蒸気を利用してお米を炊く「水蒸気炊飯」の仕組みとメリットをチェック
みなさんもご存じの通り、飯盒はお米を炊くための道具です。「本体にお米と水を入れ、火にかけることでホカホカのごはんが仕上がる」というイメージをお持ちの方が多いでしょう。
しかし戦闘飯盒2型は、ひと味違った炊飯ができます。その手法こそが「水蒸気炊飯」。お米を本体ではなく中蓋にセットし、本体から湧き上がる水蒸気を使って、甘くて柔らかいごはんに仕上げる方法です。
「水蒸気炊飯」を可能にする、戦闘飯盒2型の構造上の秘密とは?
中蓋に置いたお米にどうやって水蒸気の熱を伝えるのか。その秘密は、中蓋の側面に施されたスリットにあります。
本体に注いだ水が熱せられることで発生した水蒸気は、このスリットを通り、中蓋全体に充満します。その熱によって、中蓋にセットしたお米と水が温められるという仕組みです。
【水蒸気炊飯のメリット①】お米が焦げず、しっとり炊き上がる
水に浸したお米を火で直接加熱するのではなく、水蒸気で間接的に温めるので、お米の形が崩れたり焦げついたりする心配はありません。
中蓋での水蒸気炊飯は、本体での通常の炊飯に比べてしっとり甘く炊き上がり、ふっくらとした食感を楽しめます。
【水蒸気炊飯のメリット②】同時調理がはかどる
水蒸気炊飯をする際は、水蒸気のもととなる水分が必要ですが、それは必ずしも水である必要はありません。
例えば本体で煮込み料理を作り、その水分で生まれる水蒸気で中蓋を温め、お米を炊くこともできるのです。つまり、煮込み料理の完成と同時にお米が炊き上がる「上下段同時調理」が可能になります。
【水蒸気炊飯のメリット③】少量のお米も失敗なく炊ける
戦闘飯盒2型の中蓋の容量は500mL。ソロキャンプの1食分として最適な、1合のお米を炊くのにちょうどいいサイズです。
中蓋の内面には330mLの目盛り線があり、これがお米1合に対して注ぐ水量の目安。この一点さえ覚えておけば、丁度いい量のごはんを失敗なく炊き上げることができるでしょう。
戦闘飯盒2型を使った「水蒸気炊飯」の手順はシンプル。中蓋にお米と水、本体にも水をセットして火にかけるだけ!
水蒸気炊飯でお米を炊くのに、特別な準備は必要ありません。シンプルかつ手軽な3つのステップで、あっという間に美味しいごはんが仕上がります。
【手順1】中蓋にお米を入れ、浸水させておく
1合のお米を中蓋に入れ、180mL程度の水を注ぎます。その状態で30分ほど浸水させます。
【手順2】本体でお湯を沸かしたのち、中蓋と外蓋をセット
本体に200mL以上の水を入れた状態で強火にかけます。沸いてきたらお米の入った中蓋+外蓋をセットし、弱火に落としてさらに30分ほど火にかけます。
【手順3】通常の飯盒炊飯と同様に蒸らして出来上がり
火から下ろしたらすぐに外蓋を開けず、10分ほどじっくり蒸らします。