他社の肥後守ナイフとスペックを比較します
この肥後守ナイフ、詳しい方はこれを見てどのくらいの物なのかが分かると思いますし、全く知らなかったという方は新鮮味を持って見ていると思うのですが、何となく肥後守を知っている方はこの銀色以外に色々なタイプがあることを少し知っている人も多いと思います。
鞘が黒いものも値段も安く売っていたりして、色が違うだけならカッコいいブラックがいいなみたいに考える人もいると思うのですが、実はナイフ自体のスペックが全然違うんです。
というわけでここからは、Amazonなどで購入した他の肥後守ナイフと比較しながらご紹介していきたいと思います。
比較するのは以下の4種類です。
- 「肥後守クロームナイフ 全鋼・割込」
- 「無印良品 肥後守ナイフ」
- 「肥後守 VG10ステンレス製ナイフ」
- 「肥後守 青紙割込 真鍮」
1.「肥後守クロームナイフ 全鋼・割込」
まずは今回Amazonで新しく購入した黒い肥後守ナイフです。
2本ありますがそれぞれ仕様がちょっと違うんです。
鞘は同じです。
これかっこよくて黒く塗っているというわけではなく、パーカー処理という錆止めの被膜処理をした色なんです。
調べてみると、錆止め効果としてはそこそこあるというレベルです。
おそらくコストが安いんでしょうね。
刃を出してみます。
新品だとこのカシメというつなぎ目が結構強めに締められているので、チキリを押さえるだけで簡単に開くことは出来ないんですね。
結構硬いです。
刃が濡れているのは錆止め油が塗られているからですね。
キッチンペーパーで拭いちゃいます。
こちらの「全鋼」タイプの刃は、そのまま全部炭素鋼で作られています。
もう一方の「割込」タイプの刃は、上部に何か線が入っているのが分かりますでしょうか?
実は「割込」の方は三層構造になっていて、真ん中に硬い炭素鋼が入っていてその両側を柔らかい軟鉄で挟み込んでいるんです。
ですので「全鋼」にはない線のように見えるものは、その素材の境界線なんだと思います。
「割込」タイプには「本割込」と刻印されています。
「全鋼」と「割込」だったらどちらがいいかというところですが、用途によってなんとも言えないところもありますが、「割込」の方が割れや折れに強いと言われています。
以前教えてもらった記憶で「全鋼」タイプは鋼の種類が違うと教わったんですが、やはり「割込」の真ん中に入っている硬い炭素鋼と「全鋼」の炭素鋼は種類が違いました。
「全鋼」はS55Cと呼ばれる工業用の炭素鋼が使われていて、約0.55%の炭素が含まれているという鋼材です。
一方「割込」の真ん中の硬い部分が、SK鋼という家庭用の包丁にも使われている硬さと切れ味とメンテナンスのバランスの良い鋼材が使われているそうです。
なので「割込」の方が基本的に価格が少し高めになっています。
好みは色々だと思いますが、段ボールとか梱包とか紐を切るくらいの軽作業で事足りる方もいるだろうし、より切れ味が欲しいという方は「割込」を選んだ方がいいと思います。
使いはじめはカシメの部分が結構固いんですが、使っているうちにだんだん緩くなってきて終いには傾けると刃が倒れてくるほど緩くなってきてしまいます。
そういう場合はカシメの部分の丸いポッチを下にして、金属板のような硬い物の上に乗せて小さなハンマーでコンコンと叩いてやれば、カシメを締め直すことができます。
あまりガンガンやってしまうとかなり硬くなって戻せなくなるので、具合を見ながらやってあげればいいと思います。
使用の際は、チキリと呼ばれる金具を必ず親指で押さえながら使うようにしてください。
よくある折り畳みナイフに付いているロック機構はありませんので、押さえていないと危険です。
新品の頃は結構固く締められているので押さえていなくても使えそうな気がしますが、だんだん緩くなってきます。
押さえないまま使っていると何かの拍子で握っている指に刃が倒れてきて危ないですので、必ずチキリを押さえて使うようにしてください。
というわけで、「なんだ無印良品のナイフは肥後守ナイフか。肥後守だったら1,000円以下で買えるこいつらをAmazonで買った方がいいじゃないか。」という考え方もできるんですが、無印良品のナイフはもうちょっとグレードが高いんですよね。