CAMP.GRAM
「いつか旅に出る日のために。」をテーマに、真似したくなる “旅するキャンプ” を提案するInstagramメディア。2020年4月にスタート。
photographer 猪俣慎吾
キャンプが趣味のフォトグラファー。7年間写真スタジオで働きました。其の後スタジオをかまえ独立。 アウトドア雑誌を中心にフォトグラファーとして活動する傍ら、キャンプコーディネーターとしても仕事をしています。アウトドアパーティーグループ「KIPPIS」を主宰。星空案内人®︎
Art Director サンドウ タカユキ
幼少の頃から地元和歌山県でカブスカウト、ボーイスカウト、シニアスカウトを経験し山の魅力を知る。その後スノーボードのトレーニングで世界の山を周りつつ、キャンピングカーなど海外の旅の魅力を知る。今は都内でデザインの仕事をしつつ次の冒険のプランを考えている。
キャンプは旅のひとつの手段―「CAMP.GRAM」が旅とキャンプをコンセプトにした理由
旅とキャンプに特化したメディア「CAMP.GRAM」を4月に開設されましたが、どのような想いから立ち上げに至ったのでしょうか?
最初のきっかけは、「猪俣くんが撮るキャンプ写真をもっと広めたい」と思ったことでした。猪俣くんとは昔からの知り合いなので、まずは企画を練るよりも先に「Instagramで何か一緒にやらないか」と声をかけてみたんです。
僕はフォトグラファーなので、SNSに関しては、これまでただ単に写真を投稿するだけでした。自分の写真を使ってアートディレクターであるサンドウさんが一緒に発信してくれるなら、今よりももっと広がりが出るなと感じたので、二つ返事でOKしました。
それが4月に入ってすぐだったかな?
たしか、そうですね。
CAMP.GRAMの最初の投稿が4月12日なので、声をかけてからすぐに動き出したんですね……!
はい。新型コロナウイルスの影響で自粛期間中だったこともあり、今だからこそできることがあるんじゃないかと考えたのも大きかったですね。
コンセプトである「旅とキャンプ」は、どのように決まったんですか?
コンセプトは、正直進めながら考えた感じですね。一般的なキャンプメディアであれば、道具や料理などキャンプに特化するものだと思うのですが、猪俣くんの写真を見ていると、キャンプだけに特化するのではなく「旅とキャンプ」をテーマにするのが良いと感じたんです。
僕自身、キャンプはあくまでも手段だと思っているので、そこをくみ取っていただけて嬉しかったです。
「キャンプはあくまでも手段」というと?
例えば、僕は5歳の息子と2人でキャンプをするのですが、子どもと釣りをしに行くとか、好きな電車に乗るとか、ロケットを見に行くといったような目的があって、その宿泊手段としてキャンプをしているんです。そういうキャンプの形を、CAMP.GRAMで提案できたらと思っています。
そういう猪俣くんのスタンスを見ていて、キャンプメインよりも道中も楽しむ ”旅” をコンセプトにしようと思って、旅とキャンプを掛け合わせました。
メディアを立ち上げた4月は多くの人が家での時間を過ごしている時期だったので、今は旅やキャンプには行けないかもしれないけれど、「いつか行きたいな」と想像しながら楽しんで見てもらえたら良いかな、と。
ドラマチックな写真を活かした「CAMP.GRAM」の見せ方
メディアのプラットフォームとしてInstagramを選んだのは、なぜでしょう?
Instagramでおもしろい見せ方が思いついたので、挑戦してみたいという気持ちがありまして。雑誌のような感覚でレイアウトと文字組をしているのが、今のCAMP.GRAMの特徴です。
たしかに、CAMP.GRAMの投稿は、素敵な写真はもちろんですが、雑誌のような読み物感と、他にはないダイナミックなレイアウトが印象的です。
もともと猪俣くんの写真って、ちょっとドラマチックっていうか、物語を感じる写真だと思うんです。「そこに何か会話があるんだろうな」というのが読み取れるので、文字が入ったデザインが合うと思いました。
ちなみに、CAMP.GRAMのコピーも猪俣くんが書いているんですよ。だから、コピーライター兼フォトグラファーなんです。
文章は中学生レベルだから、お恥ずかしいのですが……(笑)。ただ、山東さんが僕の頭の中を言語化しやすくしてくれるので、こうして新しい形に仕上げてもらえるのは本当にありがたいです。
CAMP.GRAMの投稿では、次の写真が見たくなるようなワクワク感を大事にしています。
自分はかっこいいデザインよりも、みんなが見て驚いてくれたり、笑ってくれたりするデザインが好きなんです。旅とキャンプっていう内容と、猪俣くんの写真と、自分の好きな「ワクワクしてもらえるデザイン」がぴったり合うのかなと感じています。
旅とキャンプを楽しむ息子に「目的があるキャンプの良さ」を教わった
これまでの投稿の中で、猪俣さんにとって印象的な「旅とキャンプ」はありますか?
そうですね、息子と一緒にロケットを見るために行った種子島キャンプについては……5月に発売された雑誌『fam_mag』でがっつり掲載されているので……(笑)。
▽猪俣さんのロングインタビューが掲載されている雑誌『fam_mag』
種子島キャンプについて気になる方は、『fam_mag』をぜひ読んでいただきましょう(笑)。
そうですね(笑)。あと、隠岐の島でのキャンプも印象深いですね。息子にとって「初めて」づくしだったんですよ。
隠岐の島キャンプは、CAMP.GRAMの最初の投稿でしたね!どんなキャンプだったんでしょう?
島根県・隠岐諸島の知夫里島(ちふりじま)に行きました。
まず4泊5日の日程は、当時4歳の息子にとって初めて。東京駅から夜行バスに乗ったのですが、それも彼にとっては初体験でした。島根まで11時間程の道のり。
……妻には「4歳児に11時間バス移動は過酷じゃない?」って怒られましたけど(笑)。
大人でも過酷ですもんね……!
そうなんですよ。ただ、僕は眠れなかったんですけど……息子はぐっすり眠ってくれて、全然大丈夫だったみたいです(笑)。
島根に着いたらフェリーに乗って、知夫里島へ。その時は「ハンモックテント」で宿泊するつもりだったのですが……。
……できなかったんですか?
当初キャンプをしようと思っていた木々が生い茂る場所には、角が生えた牛が放牧されていて。
島の観光局の人からも「そこにテントを張るのはやめなさい」と言われてしまいました。
えー!それで、どうしたんですか?
結局、知夫里島から歩いて渡れる無人島の海岸近くでタープ泊をすることに。いわゆる野宿です。これも息子にとっては初体験。
息子さんの反応は、いかがでしたか?
楽しんでましたね~!でもやっぱり衝撃的だったのだろうなと思います。今でもあの時の話を息子がすることがありますから。「牛がたくさんいたよなあ」とか。
息子さんにとっても、思い出深いキャンプになったんですね。
そういう意味では、キャンプってすごく思い出に残りやすいと思うんですよ。そもそも非日常だから、記憶に残りやすいというか。
ちなみに帰りは寝台列車・サンライズ出雲に乗って帰ったのですが、乗り物好きの息子はそれも大喜びで。
あれから何回も「また寝台列車に乗ろう!」って言ってきますよ。
キャンプだけではなく、電車に乗ったとか、夜行バスに乗ったとか、そういう道中も思い出になるのは、まさに「旅とキャンプ」ですね!
そうそう。僕も息子と一緒にキャンプに行くようになってから「目的のあるキャンプって良いな」と気づいたんです。電車に乗るとか、ロケットを見るとか、そういう目的を主体にするのも良いんだなって。
キャンプを始めたばかりの頃は、焚き火をしたり外でご飯を食べたりするのも楽しいけど、その次のステップとして別の目的とキャンプを掛け合わせて楽しむのもアリです。
例えば「流しそうめんをしに、キャンプに行こう」とか、目的はワクワクすれば何でも良いんですよね。