【設置編】煙突の設置方法を考えよう 薪ストーブをテント内で使用する場合は耐火シート・ガードで断熱など安全対策必須
使いたい薪ストーブ本体が決まりましたら、続いて煙突の設置方法を考えます。煙突とセットで売られている商品でも、何もオプション品を追加せずに使うことはできません。テントからどうやって煙突を外に出すかを考えましょう。
初めに申しますと、燃えにくいコットンテントがおすすめ!などは嘘です。ポリエステルでもコットンでも、火の粉が落ちて燃焼温度に達すれば燃えて穴が空きます。
ポリエステルより穴が空きにくいのは間違いないのですが、コットンが決して火に対して無敵ということはありません。冬キャンプ経験を数年経た方なら、分かって頂けるかと思います。
コットン製テントは結露しにくく、通気性もあり、ポリエステルより熱に強めという特性はありますので、選ぶ意味はございます。燃え広がりにくい難燃加工をしているテントもありまして、こちらは実に薪ストーブ向きです。
ポリエステルのテントでも工夫次第で使うことはできますので、必ずしもテントを買い換える必要はございません。ただし小さいテントでは、火傷しない安全な空間を確保できません。テントの屋根や壁面とストーブが近づくことで発火リスクも高まりますので、ある程度大きいテントが必要になります。
テントの屋根や壁面と、薪ストーブ本体は十分に距離を取る必要があります。ストーブの発熱量や性能にもよりますが、最低でも前後左右に70cm、上方向には120cm以上の空間が欲しいところです。
この安全空間が確保できない場合、熱をガードするための反射板や壁を作ります。おすすめは大型風防として売られている金属板で、ストーブから発生する熱をかなり遮断してくれます。
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床が付いていない、シェルターのようなテントが一番おすすめです。通気性も良く、下が地面なので延焼リスクも少なくなります。
床のあるテントで使う場合、床からの距離を十分に取った上で、防炎のシートを薪ストーブの下に敷いてテントを保護してください。床が無い場合に比べてテントの気密性も高くなるので、換気も意識するようにしましょう。
薪ストーブの煙突の出し方1 テントの上から出す
テントの屋根に煙突ポートが備え付けてあるものや、屋根に開口部があるテントは比較的楽に煙突を出すことができます。煙突を上方向に伸ばし、テントと煙突の接触部分が燃えないように断熱保護するだけです。
ストーブの燃焼効率も良くなり、用意する煙突の本数も少なく済むので、一番理想的な煙突の出し方です。
穴が開いていないテントに、煙突ポートを作る「フラッシングキット」という商品もございます。テントを切って穴を開ける必要がありますので、薪ストーブを使わない時に穴をどう塞ぐかということも考えなくてはいけません。
テントに穴を開けて煙突を使用することが出来ます。フラッシングキットを使用する 場合は、本体から1.5m以上離してフラッシングキットをご使用ください。ストーブ本体に近すぎると 耐熱シリコンにダメージを与える可能性が御座います。 また、本製品をご使用になる場合は自己責任のもと換気を十分に行ってください。
※フラッシングキットはフロンティアプラス専用品ではございません。フロンティアプラスにご使用される場合には煙突の径にあわせてカット...
いっそ夏は別のテントを使い、薪ストーブ専用テントとしてしまうのも良いと思います。ご自宅の収納場所と相談してください。
薪ストーブの煙突の出し方2 テントの横から出す
屋根に煙突ポートや開口部が無いテントで穴開けしたくない場合ですと、出入り口を一つ潰して煙突を横から出す形になります。
出入り口が一つしか無いテントではダメなのか?絶対にダメではないですが、人の動線に高温の物体があることについて、どう思われるでしょう。
出入りの際、ついよろけて触ってしまうことはありませんか。高温の薪ストーブを誤って蹴飛ばして、枯れた芝の上に倒してしまったらどうなりますか。この結果が想像できれば、一つしか無い出入り口が安全に使えるとは思えませんよね。別のテントをご検討ください。
煙突を横から出す方法ですが、まず薪ストーブから煙突を横方向に伸ばし、テントの外で垂直方向に曲げて、上方向に伸ばします。
煙は高い方に抜けますので、垂直部分が必須となります。スムーズに煙を排気するためには、横方向の長さの2倍以上の長さが縦方向に必要となります。横が1mとすると、縦に2m以上。そのために用意すべき煙突の量が、上から出す場合に比べて2倍以上に増えます。
【薪ストーブ設置の注意点】テントと煙突の接触部分を断熱する DODタケノコテント×煙突ガードの設置方法を紹介
薪ストーブの燃焼中、煙突も高温になります。温度にして100℃以上、特にストーブ本体に近いほど高温になり、200℃を軽く超えます。何も対策せずにテントと煙突が接触すると、布が溶ける、燃え焦げるといったことになります。
実際に私が横出しで煙突を出した時の対策をご紹介します。テントは屋根がポリコットン、壁面ポリエステルのDODタケノコテントです。出入り口は前後にありますが、背面の出入り口を煙突の配管用にしました。
まず煙突のテントと接触する部分に、写真左のパンチングの煙突ガードを巻きます。さらに上からステンレスの板をゆるっと巻いて、放熱される温度を下げます。
その上からさらに円筒状の金網を巻いて、空気層を確保します。この空気層で冷却されます。
テント側には熱に強いスパッタシートをクリップで付けて、熱がポリエステルの壁面に伝わらないようにしました。この部分はストーブが燃えている最中でも、手で触れる程度の温度になります。
もし触っていられないほど熱い場合は、さらに対策が必要です。煙突回りの空気層確保をもっと広くすることが、一番手っ取り早い対策です。
どうやって空間を確保するかですが、私のように金網を使う方法の他には、板を組み合わせて三角形の幕よけを作っている方が多いです。煙突の周りに空気層を作れると同時に、テントの布が煙突に垂れないようにできるのが長所で、風でテントが揺れた場合に接触する危険を低減できます。
この幕よけに木材を使う場合、煙突と木材が接触していると幕よけが発火する危険があります。直接木の部品で煙突を保持するのではなく、金属金具で吊る・支えるなどして空気層のある空間確保に使うようにしてください。
【薪ストーブ火の粉対策】テント内で使用する際には忘れずにしよう! 煙突先端に「火の粉どめ」でガード
薪ストーブの使用中、煙突の先端から火の粉が降ってくることがあります。この火の粉がテントに落ちると穴が空きますので、煙突の出口を金網などで物理的にせき止める対処をします。「スパークアレスター」などと呼ばれます。
金網の目が細かいほど火の粉をせき止める能力も高くなりますが、反面ススで詰まりやすくなってしまいます。燃焼中、目詰まりが起きそうになっていないか確認しましょう。
燃焼炉内部に火の粉どめ(中子-なかご)という部品を備える薪ストーブや、煙突を横方向に伸ばしている場合、火の粉の量も減ります。煙突先端の金網は、多少荒い目のものにしても大丈夫です。
燃焼炉に火の粉どめが無く、煙突をまっすぐ垂直に立ち上げる場合が、一番火の粉の噴出リスクは高くなります。
できるだけ煙突を長く伸ばして、煙突出口とテントの屋根の距離を長く取ることで、火の粉がテントに落ちる前に空気中で冷えてくれることを期待できます。私は屋根から70cmぐらいがベストだと考えておりますが、某ショップでは最低50cmと伺いました。煙突を構成する際の参考にしてください。
【煙突固定方法】テントとの接触部分の断熱が完了したらしっかり固定 強風時は薪ストーブの使用中止も検討しましょう
テントの内側から外側に煙突が出て、テントと煙突の接触部分も十分に断熱できました。続いては、薪ストーブの煙突が倒れないように固定します。
私の場合は鋼製束という金具で下方向から支えて、さらに地面に打ち込んだ異形鉄筋に針金で巻きつけます。
さらに煙突の上の方に金具を付け、ロープで左右から引っ張ってテンションをかけてペグダウンします。
多少の強風でも倒れない状態にしてください。しかしテントが歪んだりするほどの風ですと、煙の逆流が発生しやすくなり薪ストーブを使うことも難しくなってきます。強風時には消火することも視野に入れてください。
キャンプに持ち出す煙突は、組み立て式のものを使う方がほとんどだと思います。煙突同士を連結する箇所に焼付き防止剤というものを薄く塗っておくと、分解の際に噛みこまずに簡単になります。
あるストーブ販売元では、この焼付き防止剤を「タールが溜まって火災が起きる原因」として禁止しています。防止剤自体は昔から売られているものですし、1,000℃の耐火温度があります。
タールが発生した際に、それを放置しておくことが問題となります。面倒でも掃除するようにしましょう。
薪ストーブをテント内で使用する準備は意外と面倒 設置・安全対策をしっかり行なってキャンプで楽しもう
ここまで読んで頂いたほとんどの方は、薪ストーブ超面倒くさいな!という印象をお持ちではないでしょうか。大正解でございます。本来安全確保のためにテント室内での使用は推奨されていないことですから、とっても面倒くさいです。
この面倒くささを乗り越えて設置できる方だけが、テント内で安全に楽しく薪ストーブを楽しめると考えて頂いて結構です。設置方法がまずいと事故に直結しますので、面倒くさくてもしっかりとやって頂くことを強く推奨します。
次回の記事では、燃やし方と片付け方を説明いたします!