キャンプの撤収時、「テントがうまくたためず、収納袋に無理やり押し込んだ」なんて経験はありませんか。実はそれ、たたみ方のコツや事前の準備に原因があるかもしれません。今回は、テントをスムーズにたたむための準備から、たたみ方のコツ、長持ちさせる保管方法までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- テントのたたみ方がわかる
- 種類別のテントのたたみ方がわかる
- テントを自宅で保管する際のポイントがわかる
テントをたたむ前にやるべき4つのこと

キャンプ場のチェックアウト時間は意外と早いもの。「時間に間に合わせなきゃ」と焦って、つい「テントを乾かす」「テント内を掃除する」といった一手間をおろそかにしてしまうことも多いでしょう。
しかし、スムーズな撤収を叶えるには、テントをたたみ始める前の「一手間」が大切です。
ここでは、テントをたたむ前にやるべき4つのことを解説します。
【1】風通しを良くして自然乾燥させる
テントを使った後は、目に見えない湿気がたくさん付着しています。濡れたまま収納すると、カビや悪臭、生地の劣化の原因になるので、しっかり乾燥させるのが大切です。
撤収日の朝は、テントの入り口や窓をすべて開けた状態で自然乾燥させましょう。フライシートの内側など、乾きにくい部分もしっかり風に当てることが大切です。
可能であれば、一度テントをひっくり返して、湿気がこもりやすい底面もしっかり風に当てるのがベスト。
もし自然乾燥をさせる時間がない場合には、乾いたタオルで拭いたり、ブロワーでざっと風を当てたりするだけでも効果があります。
【2】テントの荷物を片付けて掃除する
テントの中に土や砂、芝生、虫の死骸などが残っていると、これもカビや生地の劣化につながります。テントをたたむ前には、シュラフやマットといった荷物を片付けてから、内部をきちんと掃除しましょう。
掃除にはほうきやちりとり、充電式のハンディクリーナーなどがあると便利です。掃除用具を忘れてしまった場合は、テントをひっくり返してゴミをできるだけ外に出すようにしてください。
また、テントの裾やスカート部分についた泥汚れは、濡らして固く絞った雑巾で丁寧に拭き取り、きれいな状態にしておくのが大切です。
【3】ペグやロープを外す
テントの掃除が終わったら、地面に固定しているペグと、それを支えているロープ(張り綱)を外していきます。
ペグは一本ずつ丁寧に抜き、付着した土をきれいに拭き取っておきましょう。土が付いたままだと、サビの原因になります。
曲がってしまったペグは、その場で直しておくか、交換の目印をつけておくと次回使うときに困りません。
また、抜いたペグやロープは、紛失しないようにすぐ専用の袋にまとめておくのがおすすめです。
ロープは手に巻きつけるなどして束ねておくと、次回の設営時に絡まるストレスがなくなりますよ。
【4】フライシートやインナーテントを風通しの良い場所で陰干しする
ペグを抜いて自由になったフライシートやインナーテントは、たたむ前にもう一度干すのが理想です。近くの木の枝にかけたり、車のボディに広げたりして、最後の乾燥をさせましょう。
特に、地面に接していた底面は湿気が残りやすいので、重点的に乾かすのが大切です。
ただし、直射日光に長時間当てると生地の防水性能を劣化させる原因になります。
早く乾かすためには日光に当てたくなってしまうものですが、風通しのいい日陰で干す「陰干し」を心がけてください。
テントのたたみ方とコツ
事前の準備が終われば、いよいよテント本体をたたんでいきます。
ドームテントを例に、きれいにたたむための手順とコツを紹介していきます。
【STEP1】ファスナーを10~20cm開けておく

まずはテントの出入り口やベンチレーションなどのファスナーを、10〜20cmほど開けておきましょう。
ファスナーを開けておくことで、たたむときに中の空気を効率よく逃がすことができ、よりコンパクトにたためるようになります。
大きめのテントの場合は特に、1箇所だけでなく、複数箇所開けておいたほうが空気を逃がしやすくなります。
【STEP2】長方形になるように折りたたむ

次に、テントが長方形になるように、対角線上の角を内側に折り込んでいきます。
このとき、収納袋の「横幅」に合わせてたたむのが最大のポイントです。
先に折りたたんだポールを収納した袋を横に置き、その長さを「ものさし」代わりにすると、幅がぴったり合いますよ。
【STEP3】空気を押し出しながらテントを巻いていく

長方形にしたテントを地面に置き、空気を押し出すようにしながら巻いていきます。
ファスナーを開けておいた部分から巻いてしまうと、段々と空気の逃げ場がなくなってしまいます。そのため、ファスナーを開けた部分とは反対側から巻いていくのがポイントです。
フライシートなどが付属している場合は、同様に、収納袋の幅に合わせてきれいに畳んでから巻いていきましょう。
【STEP4】ポールやペグをまとめる

テントをたためたら、ポールやペグなどをまとめていきましょう。
ポールは、中のゴムコードに負担がかからないよう、一本ずつたたんでいきます。まずは真ん中の関節から半分に折り、さらにその半分を折る、というのが正しいたたみ方です。
また、ポールもペグも、泥汚れなどが付いている場合にはしっかり拭き取っておいてくださいね。
【STEP5】収納袋に詰める

最後に、たたんだフライシートやインナーテント、ポール、ペグなどを収納袋に詰めます。
重いポールを中心に置き、その周りにテント生地を詰め込むと、バランス良くきれいに収納できますよ。
なお、テントは付属のストラップや、別途用意したマジックテープ式のバンドで2〜3ヶ所を仮留めするのがおすすめです。こうすることで、生地が膨らんでくるのを防ぎ、焦らずスムーズに収納袋へ入れることができます。
また、袋に入れる際は、片側から少しずつ押し込むようにすると、中で生地が詰まるのを防げますよ。
▼撤収のコツについてはこちらの記事でも紹介しています!
【種類別】テントをたたむときのコツ
基本的なテントのたたみ方は前で紹介したとおりですが、テントの種類によっては、たたみ方が少し異なる場合があります。
ここでは、特にたたみ方が特殊な「ワンタッチテント」と「ポップアップテント」について、たたむ際のコツを解説します。
ワンタッチテント:ロック解除ボタンをしっかり押す

ワンタッチテントは比較的撤収が簡単な種類ですが、脚を縮めてフレームを折りたたむ工程に難しさを感じやすいです。
たたむときのポイントは、フレームの関節部分にある「ロック解除ボタン」をしっかり押し込むこと。ボタンが押し込めていないと、関節がうまく折れ曲がらず、故障の原因になります。
また、関節を折りたたむ際には、テントの生地が挟み込まれていないかも必ず確認しましょう。
無理な力を加えず、一つ一つの関節を丁寧に操作するのが、簡単かつ安全にたたむコツです。
ポップアップテント:形を整えながらうまくひねる

袋から出すだけで広がるポップアップテントは、設営が非常に簡単な一方で、たたみ方が独特で苦戦する方も多いはずです。
たたむ際は、まずテントの上部フレームを手前に引き、大きな二つ折りの状態にします。
次に、折りたたんだ上部をさらに押し込み、円盤が3つ重なるような形に整えましょう。
そして、重なった円盤の左右を掴み、「8の字」を描くように、手首を返すようにひねりながら重ね合わせます。この動きさえマスターすれば、ワイヤーフレームが持つ本来の力で自然に収束し、あっという間に収納袋のサイズになりますよ。
力任せに曲げようとするのではなく、自然と曲がるポイントを探すように動かしてみましょう。
テントを自宅で保管する際の注意点

たたんだテントは正しい方法で保管しないと、「カビが生える」「生地の裏地がベタベタになる」といったトラブルが発生します。
大切なテントを長く使うためにも、自宅での保管方法について確認していきましょう。
たたむ前の掃除と乾燥は徹底的に行う
テントを長持ちさせる保管の基本は、とにかく「汚れ」と「湿気」を完全に除去することです。
キャンプ場での乾燥が不十分だった場合は、帰宅後にもう一度、風通しの良いベランダなどでしっかりと陰干ししましょう。
目に見えない土汚れや結露が残っていると、そこからカビが発生してしまいます。一手間を惜しまないことが、テントの寿命を延ばす一番のコツです。
保管時も高温多湿を避ける
テントの保管場所は、風通しが良く、直射日光が当たらない室内が最適です。クローゼットの上段や、ベッドの下などが良いでしょう。
屋外の物置や車の中での長期保管は、高温と湿気で生地の防水コーティングが化学変化を起こし、ベタつきの原因になるため絶対に避けましょう。
また、収納袋の中に除湿剤を一緒に入れておくと、さらに湿気対策として効果的です。
加えて、年に数回、天気の良い日に中身を取り出して換気を行うのがおすすめ。その際にはポールやペグの状態もチェックしておきましょう。
「ポール内部のショックコード(ゴム紐)が伸びたり、擦り切れたりしていないか」や「ペグにサビや大きな傷がないか」をチェックしておくと、次回のキャンプでのトラブルを防げます。
たたみ方を知れば、撤収はもっと楽になる

テントをたたむ前の少しの準備と、たたみ方のちょっとしたコツ。そして、正しい保管方法。これを意識するだけで、今まで苦労していたテントの収納が驚くほど簡単になり、大切なテントも長持ちします。
最初は難しく感じるかもしれませんが、何度か試すうちに、きっとスムーズに撤収できるようになるはず。
今回の記事を参考に、次回のキャンプではスマートなテント撤収を目指してみてくださいね。