SOTOのホルス ソロ T/C(HORUS SOLO T/C)を焚き火マイスター・猪野正哉がチェック!
■製品仕様■
【発売日】2023年5月21日(オンラインストア限定)
【価格】99,000円(税込み)
【サイズ】(収納時)幅70cm×奥行30cm×高さ30cm (シェルター使用時)幅300cm×奥行き250cm×高さ160cm
【重量】9.3kg
【材質】●シェルター本体:T/C撥水加工 ●陣幕:T/C撥水加工 ●メインポール:アルミニウム合金 ●サブポール:アルミニウム合金 ●ペグ:スチール
SOTOは、1992年に新富士バーナーが起ち上げたアウトドアブランド。燃焼器具ベンダーとしての知名度は国内随一で、キャンパーのみならず、登山家やクライマーからも絶大な支持を受ける同ブランドが、2023年5月21日にソロテント・ホルス ソロ T/Cの一般発売を開始しました。
満を持して総合アウトドアブランドに名乗りを上げたことは既報の通りです(【SOTO】2023年新作にテント登場!注目のNEWアイテムなど一挙に紹介)。
2023年の新作展示会でお披露目され、瞬く間に話題となったこちらの新製品は、いま業界内でもっとも注目を集めているテントと言っても過言ではありません。
今回は焚き火マイスター・猪野正哉さんをレビュアーとしてお招きし、実際に設営&デイキャンプしてもらったうえで、ホルス ソロT/Cの魅力を教えてもらいました。
私が使って試しました
焚き火マイスター
猪野正哉
日本焚き火協会会長・アウトドアライター・アウトドアコーディネーターなど、数々の肩書を持つアウトドア業界の住人。テントはもちろん幅広いキャンプギアに精通し、デザイン、機能性、実用性など、あらゆる視点からプロダクトの魅力をチェックし、冷静にジャッジできる審美眼を持つ。
付属品をチェックしながら設営したら、早くもSOTOのこだわりが垣間見られた!
展示会ではすでに設営された状態でのお披露目だったので、まずは一度設営してみましょうか。構成パーツの重量やテントの立てやすさも大切な要素だと思いますし。
まず最初に、ホルス ソロ T/Cの収納状態と付属品を見ていきましょう。展示会では見ることができなかった収納状態ですが、実物はコンパクトで軽め。
競合商品としてはいくつかのテントが思い浮かびますが、たとえばテンマクデザインの「サーカスTC ソロ」は、総重量が11.28kg。SOTOの「ホルス ソロ T/C」は、テント本体に加えてマルチに使える陣幕(後述)がセットになったうえで約9.3kgということを考えると、軽めの設計と言えそうですね。
ちなみに重量については、ホルス ソロ T/Cの開発を担当した日置さんいわく「生地のデニールを決める際に、遮光性・保温性とのバランスを細かく確認しながら、できる限り軽くなるように設定した」とのこと。中身を見る前から早くもSOTOのこだわりを実感できます。
続いて収納袋の中身を見ていきましょう。収納袋の中には付属品がすべて収まっています。
収納袋には以下の付属品が入っていました。幕体はもちろんですが、ペグや自在、ガイラインといった軽視されがちな付属パーツも手を抜いた感じはなくて好印象ですね。
【付属品】
・シェルター本体
・陣幕
・メインポール(1本)
・サブポール(2本)
・ペグ(14本)
・1.5mガイドロープ(4本)
・2.5mガイドロープ(6本)
・本体収納袋
・ポール収納袋
・ペグ収納袋
・取扱説明書
ホルス ソロ T/Cは、様々なスタイルにトランスフォームできる点が最大の特徴ですが、まずは一番オーソドックスなパターンの設営を行い、クセの有無などをチェックしてみます。
設営方法は、一般的なワンポールテントとほぼ同じです。設営用のガイドセットやガイドテープは付属しませんが、慣れれば15分くらいで設営できると思います。
ここまでを見ると普通のワンポールテントと変わらない印象ですが、ホルス ソロ T/Cのすごいところは、写真の状態から用途に合わせて張り方のバリエーションを変えられるところ。
ここからは、その充実のアレンジパターンを紹介していきます。
ホルス ソロ T/Cの充実のアレンジパターン6種をチェック!
ホルス ソロT/Cはパネルの跳ね上げ方や使い方のアレンジがとにかく豊富。実際にどんな張り方のバリエーションがあるのかを見ていきましょう。
こちらは、パネルをすべて閉じた状態です。ホルス ソロT/Cは「正六角形」ではなく、前後非対称型のワンポールテント。前方のリビングスペースと後方の寝室スペースは「2:3」の比率で設計されています。
アシンメトリーなワンポールテントは、きれいに張るのが難しそうなイメージですが、緻密なパネルサイズ設定と適切なループ配置のおかげで設営しやすそうな印象を受けました。
もっともオーソドックスな状態を確認したところで、かゆいところに手が届くアレンジパターンを見ていきましょう。
アレンジパターン1:フロントパネルを跳ね上げるスタイル
まずは付属ポール2本を使ってフロントパネルを跳ね上げるパターンからチェックしていきましょう。
ホルス ソロT/Cは、ファスナーで閉じられたマチを開放し、フロントパネルを跳ね上げると、隣接する2枚のパネルも持ち上がってサイドウォールの役割を果たしてくれる構造になっています。
悪天候時に横からの雨風の侵入を防いでくれるサイドウォールの存在は、やっぱりありがたいですよね。
アレンジパターン2:付属の陣幕を加えてリビングを大きく拡張するスタイル
ホルス ソロT/Cの最大の特徴は、なんといっても「陣幕」(写真左)が付属する点。ホルス ソロT/Cと付属の陣幕を併用してリビングを構築することで、サイトアレンジのバリエーションはさらに広がります。
テントから1.5mほど離した場所に陣幕を立てれば、前室から陣幕までの空間がクローズドなリビングに変身します。
陣幕は、テントと同色・同素材の生地で作られているため一体感があります。社外製の陣幕との組み合わせでは、ここまでスタイリッシュな雰囲気は生み出せないでしょう。
陣幕は両サイドのパネルが三角形になっているので、全体にテンションが掛かりやすく、横から突風が吹いても倒れにくそうな印象を受けました。
アレンジパターン3:陣幕を連結してリビングを少しだけ拡張するスタイル
陣幕をテントに連結させるとこのような形状に。正面から見るとパップテントを彷彿させるフォルムに変身します。
言うまでもなく、テントとのフィット感は申し分なし。跳ね上げたパネルに隙間なく陣幕が結合される状態は美しさすら感じます。
純正の陣幕だけに一切のムダがないですね。本体と陣幕がピッタリとくっつくうえ、連結時の安定感も抜群。陣幕は風に弱いイメージがありますが、ちょっと印象が変わったかも。
アレンジパターン4:フロントパネルを開放したオープンルーフスタイル
続いては、陣幕を連結した状態でテントのフロントパネルのみを巻き上げたオープンルーフなアレンジをチェック。
陣幕の内側から撮影するとこんな感じです。前方の景色は遮られますが、視線を上げると三角形に切り取られたオープンエアを楽しむことができます。
周囲からの視線を遮りつつ、開放感を得たいならこのスタイルがおすすめです。自分のために用意されたプライベートな空を眺めているような感覚になれますよ。
アレンジパターン5:陣幕をキャノピーとして使うスタイル
陣幕のセンターパネルと両サイドのパネルはファスナーで結合されていて、開閉することが可能。そのため、テントと陣幕を連結した状態でさらにサブポール2本(別売り)を追加し陣幕のセンターパネルのみを跳ね上げれば、キャノピーの役割を果たしてくれます。
パッと見で、【アレンジパターン1】との違いは「キャノピーの有無だけ」のように感じられますが、実際はそうではありません。写真をよく見るとわかりますが、陣幕のサイドパネルがテントのフロントパネルの内側にまで入り込み、隙間をしっかり埋めているため、真横から前室に吹き込もうとする風雨を完全にシャットアウトしてくれるのです。
基本のワンポール状態と比べて前室スペースが2倍くらいに拡張され、開放感も抜群なのでとにかく快適です。
アレンジパターン6:テントのフロントと陣幕のセンターパネルを開放した丸見えスタイル
最後は全開放スタイルのこちら。ホルス ソロT/Cは、陣幕にも巻き上げを固定するトグルとループが縫い付けられているため、陣幕のセンターパネルのみを開帳することも可能。
【アレンジパターン5】と同様に、陣幕のサイドパネルはテントの内側に入り込んでいるため、お隣さんの視線を気にせず、目の前に広がる景色を楽しめそうです。
このスタイルを選ぶシチュエーションはわりと限定的な気もしますが、デュオキャンパーにはいいのかも。スカイラウンジのカップルシートっぽさもありますし(笑)
ホルス ソロT/Cで楽しめる実用的な6つのスタイルを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?もちろんこれ以外にも、様々なアレンジ方法があると思うので、自分なりのベストを追求するのも楽しみ方のひとつかもしれません。
後半では、実際にこのテントを使ったからこそわかった「唯一無二の魅力と秀逸な機能性」を掘り下げていきます。