馬杉 雅喜監督プロフィール
株式会社シネマギッグス代表取締役
1983 年生まれ 京都出身 京都在住
2020 年 6 月 おやじキャンプ飯企画スタート
2020 年 10 月 Youtube ドラマ「おやじキャンプ飯」公開。1ヶ月で 100 万回再生&チャンネル登録 4万人達成
Youtube初のソロキャンプドラマ「おやじキャンプ飯」とは
「おやじキャンプ飯」をまだ見ていない方もいらっしゃるかと思いますので、ストーリー詳細には敢えて触れませんが、馬杉監督へのインタビューを前にドラマの概要をまとめておきます。
15分程度のショートドラマ全6話で構成されている「おやじキャンプ飯」の主人公は、近藤芳正さん演じる、坂本明夫(59歳)。昔気質で自身の経営する中華料理店に全てをささげてきました。
妻とは10年前に愛想をつかされて離婚。店は2020年のコロナショックで閉店。家も失った明夫は、知人のキャンプ場の片隅で生活をしています。
そんな父親を心配する娘、千秋(27才)は 最年少女性宇宙飛行士として宇宙で活躍中。父親にホームレスの生活から抜け出して、真っ当に生きて欲しいと願う中で、時折宇宙から衛生電話を使って明夫と会話をする場面が印象的です。
ずっと下を見て生きてきた父親と、父とは反対に上ばかりを見て生きてきた娘の愛情の交差を描きながら、キャンプ場で明夫が出会うユニークな登場人物たちとの人間ドラマも見どころの一つとなっています。
コロナ禍で沈む映像業界への危機感から「おやじキャンプ飯」制作がスタート
突然YouTube上で公開されたドラマの謎は多く、今回このドラマの仕掛け人である馬杉監督(以下、馬杉)にハピキャン編集部の井上がインタビューさせてもらいました。
「おやじキャンプ飯」制作のきっかけは関西の映像業界への危機感
井上:「おやじキャンプ飯」の制作はどのようなきっかけでスタートしたのでしょうか。
馬杉:実は最初はキャンプではなかったんです。コロナで緊急事態宣言が出て関西の映像業界がすごく沈んでいる時に、何かしなければ、という思いで、最初はリモートでドラマを作るしかないかな、と話ていました。そこから、元々僕がキャンプが好きだったということもあり、この鬱屈とした状況を打破するのに、キャンプのドラマを作ろうと考えました。
中華料理屋元店主の主人公・坂本明夫と娘・千秋はこうして生まれた
井上:主人公が中華料理屋の元店主で独特な存在感を出していますが、キャラクター設定は馬杉監督のアイディアですか。
馬杉:はい。僕の会社の近くに中華料理屋さんがあって、おじいちゃん1人で営業していたのですが、緊急事態宣言が出ている最中に閉店してしまったことが印象的で。当たり前にそこにある日常が奪われることを目の当たりにして、コロナ禍でそういう人たちに何かを届けたいと思ったことが、主人公の人物像に繋がって行きました。
井上:「おやじキャンプ飯」を通して一番伝えたいメッセージはどんなことでしょうか。
馬杉:主人公の坂本明夫は、料理をする時も家にいる時も、ずっと下を向いて生きてきたんです。一方、娘の千秋はずっと空を見上げて生きてきた女の子という設定です。ほとんどの大人は、下を向いて生きているように思うのですが、仕事をしている時や真剣に生きている人たちは大体下を向いているのではないでしょうか。そういう人たちに上を向いて欲しいな、という隠れたメッセージを込めています。
ただ、みんな上を向きましょうよ、と伝えるのは押し付けがましいので、娘が宇宙にいる設定で、娘のことを考える時だけ空を見上げるシーンで伝えられたらいいなと企画していきました。