デザイナー・佐久間亮介(さくぽん)さんに聞くガレージテントの魅力
佐久間亮介(通称:さくぽん)さんは、キャンプブログをよく見る方にはおなじみの、Hyper Camp Creators(旧:住所不定キャンパー)の運営者。キャンプブロガーの第一人者と言っても過言ではないでしょう。
ガレージテント!ついに解禁!
— 佐久間亮介 ガレージテント、12月中旬発売! (@sakumanx) August 17, 2020
なんだかんだで2018年くらいから、構想を練り続けてたテントが世にお披露目になりました。
「ソロを120%楽しむための自分だけの小屋(ロッジ)」
現在最終調整中で、今秋販売開始予定です!
快適に過ごすためのギミックがてんこ盛りで、1年中楽しめるテントですよ!! pic.twitter.com/CVyFMECjIt
さくぽんと相方のヤマケンが日本全国を住所不定に旅しつつ、ついには日本を飛び出し海外でもキャンプ旅をしてきたキャンプ中毒者です。良い意味で。
その活躍はブログなどのライター業だけに留まらず、メディアへの出演やキャンプコーディネート、さらにモデルと多彩に活動しております。
今回は私みーこパパがガレージテントを実際に使って、その上で感じたことや疑問点などをぶつけてきました。
テントの基本設計について
いやーやってくれましたね!ガレージテントを実際に使って何かアラを探してやろうと思っていたのですが、まったく無いじゃないですか!
ありがとうございます(笑)
オリジナルテントを作るに当たって、ロッジ型テントにしようと思った理由を伺えますか。
僕の師匠がロッジ型テントを使っていて、それに触れたのがきっかけです。それまでドームテントやワンポールテントしか使っていなかったので、壁や天井が高くてなんて居住性の良いテントだと。
佐久間さんと言えばMSRのハバNX(軽量でバックパッカーに人気のテント)というイメージがあったので、ちょっと意外でした。
軽量なテントも考えたんです。しかし世界中でトップの人々が技術やギミックを注いでしのぎを削っている分野で、そこに僕が入っていってどうにかなるのかは疑問でした。
そこで視野を広げて、2018年の開発スタート時に流行の兆しがあったソロキャンプに注目。ソロキャンプの楽しみの一つに「自分の好きなキャンプギアに囲まれながら自分だけの時間を楽しむ」ということがあります。
こういったキャンプスタイルを実現させられるテントとして、ソロ用のロッジ型テントを考えました。
テントの素材ですが、スチールフレームとTC素材というのは決まっていたんですか?
フレームには軽量化のためアルミを使うことも考えたんですが、どうしても求める強度が出ないのでスチールになりましたね。
生地の素材(屋根がポリエステル・壁がTC)は使い勝手や風合いといったことを総合的に考えて選びました。
結果として重量が重くなってしまいましたが、強度や耐候性という点では満足いくものができたと思っています。
ちょうど窓のある面に風を直撃で受けている写真ですが、風速5~6mぐらいでは全くビクともしませんでした。テント最大の敵である風に対して、かなり強いテントと言えます。
フレームが頑強で生地の縫製の質が良いということは基本として。テント下部にあるスタンディングテープがフレームの動きを抑えてくれて、強度を増すのに一役買っています。
風の状況に応じて、風を受けるのではなく逃がすようにベンチレーターを開閉することで、テント生地にかかる負荷も軽減できます。
※ 強いテントですが、強風下では過信しすぎずに状況を判断しましょう。
テントの色についての葛藤
テントの色については、いかがでしょう。従来のテントにはあまり無い色ですよね。
色はめちゃめちゃ悩みました。サンドカラーなどが主流の現在、オレンジ色のテントを出して売れるのかと。ただ売れるからといって、安直に選びたくない天邪鬼な気持ちもありまして。
ひと昔前のロッジ型テントですと、カラフルな色も普通にあったのでレトロ感を出したかったのが一つ。
そしてもう一つは、自然の中に溶け込むのではなくあえて目立つ色にすることで、明るくて安心できる家のような空間にしたかったという点ですね。
壁もちょっと変わった色ですよね。ピンクがかったクリーム色のような。
壁も屋根のオレンジと合うような色を、仲間たちとあれこれ相談しながら選びました。
色を決める作業が一番苦労した部分ですね、売れ行きにも関わってくるので相当悩みました。一人では決められなかったと思います(笑)
女性に受けそうな配色ですよね。
女性からは好評をいただいてますね。逆に男性、特におじさまからは様々な意見をいただいております(笑)
ただ最近は他社でもオレンジのテントが出てきていますし、男性でもオレンジを使いこなす方は出てくるんじゃないかなと。
このテントに合うキャンプギアの展開などはいかがですか?
テント自体をもっとコンパクトにしたパターンはどうだろうとか、自分の頭の中ではちょっと考えているものもあります。しかしまずは、このガレージテントがいっぱい売れてくれてからですね(笑)
ガレージテントの機能面について
ガレージテントは窓が特徴的ですよね。
窓は付けたかった部分です。内側から開け閉めできるようにしているので、鬱々とした雨の日でも濡れずに外を眺めたり、朝は朝日を取り込んだり。逆にプライバシーを保ちたい時は閉めてもらって。好きに使って頂きたいです。
その他、基本的な機能はカタログなどで散々語られている部分かと思いますが、「カタログには載せていないけどこだわっている部分」というのはございますか?
これまで語っていない部分となりますと「テントの幅」ですね。コットを横向きに置けるのは当たり前として、コットの上に寝袋を置いた時に、頭や足が壁に当たって濡れないサイズにしています。
数字だけでは幅200cmもあればコットが入りますが、寝袋に入った人が中で動くとけっこう頭や足が当たるんですよ。ここは大事なポイントじゃないかと。
レギュラーサイズの寝袋を、インナーテント内でコットの上に置いた写真です。インナーテントの幅は205cm。確かに頭も足も壁面に接触しない、絶妙なサイズです。
あとはソロキャンプ用のテントではあるんですが、実際はデュオぐらいでも使えてしまうんですよね。これはソロキャンプを120%楽しむテントということをコンセプトにしています。
自分1人が好きな趣味の道具やキャンプギアに囲まれながら、贅沢に過ごすのが100%。もう20%は友達や家族を招待して、時には2人でも楽しめるような作りを目指しました。ソロキャンプ向けというコンセプトがあるのであまり大々的には謳っていませんが、出入り口を3箇所も作ったのも、そういった使用方法を考えた結果です。
インナーテントは大人1人と子供1人でピッタリぐらいですので、大人2人ならインナーテントは使わずコットを両端に置いて、真ん中をリビングにするという使い方になるでしょう。
ユーザーのアイディア次第で、いかようにも発展させられる秘密基地です。
私が使ってみて感じた細かいことですと、スカートの長さが絶妙だなと。
キャンプの朝は大体スカートが湿っているので、まずここを乾かすところから撤収作業が始まりますよね。ガレージテントのスカートは少し風があると適度に揺れて、勝手に乾いてくれる長さなんですよね。
これは僕が「スカートはこの長さで」と指定したわけじゃなく、テンマクデザインの中の人の設計ですね。僕が色々と案を出すことに対して、テンマクデザインがこれまでのテント作りで培ったノウハウで、ちょうどいいところに落とし込んでくれた結果です。
スカート以外の部分、ベンチレーターのバックル留めなどもテンマクデザインの案です。
山ほどキャンプをしてきた住所不定キャンパー佐久間さんと、山ほどテントを作ってきたテンマクデザインの合作。細かいところにまでこだわりがあり、本当に死角の無い仕上がりになっています。
設営と撤収に関して
設営についてですが、足のポールは1種類のみ、梁のポールも1種類のみと共通化されている点が、なかなか組み立てやすいと感じました。
昔のロッジ型テントですと設営が分かりにくかったり、けっこう面倒なものもあるのですが、ここは現代風に見直しました。ポールの共通化以外にジョイントの色分けなどで工夫して、分かりやすくしています。
収納状態ですと全てが黒いポールのため、目的のポールが少々見つけにくいです。色分けしたマジックテープなどで、ポールの種類ごとにまとめておくとより設営時間を短縮できそうです。
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大人の夢を叶えるガレージテント
最後に、どんな人にガレージテントを使ってもらいたいと思いますか?
やはり一番は、自分の好きな道具に囲まれながらキャンプがしたいソロキャンパーに使って頂きたいです。
どうしても重さがあるので、車でキャンプに行く人向けにはなってしまいますが。好きな道具と一緒に車に積んで、自分なりの快適空間を作ってほしいですね。余裕を持って作っているので、お好きにカスタムして楽しんでください!
子供の頃に空き地やダンボールハウス、押入れなどで秘密基地を作って遊んで、今は大人になった人たちへ。ガレージテントはアウトドアの道具はもちろん、おもちゃでもマンガでも、テレビやゲームを持ち込んで遊んでも構いません。自分が好きなように使える秘密基地のようなテントですよ。