この企画連載は、アウトドア業界でご活躍しているメーカー担当者、アウトドア関係者の失敗談を赤裸々に語っていただきます
ベテランキャンパーだって失敗する! テントの張り・火起こしなどアウトドアの失敗談を聞いてみよう
なぜ、このような企画を考えたかと言いますと、
「テントを弛みなく、スムーズに設営できる」
「着火剤なしで、簡単に火起こしができる」
「どんなに重い荷物を背負ってもへばらない」
「最高に美味しい料理を提供してくれる」
「アウトドアのことならなんでも知っている」
などなど、アウトドア熟練者はスーパーマンだと思われがちです。
ところが、私も含め、失敗の積み重ねがあったからこそ、人よりちょっとだけアウトドアスキルが高いだけです。
そこでアウトドアに興味がありつつも失敗を恐れて尻込みしてしまうパパ、ママ、アウトドア初心者に向け、
「プロでもたくさん失敗してるんだから、失敗なんて気にしないで!」
と背中を押せればと思っております。
先輩キャンパー『muraco』代表の村上さんにキャンプの失敗談を聞こう ムラコは黒いテントが有名
記念すべき第1回目は、テントの常識を突き破り、新たな風を吹かせている『muraco』 代表取締役・村上卓也さんです。
猪野「よろしくお願いします。最近、いろんなキャンプ場でメーカーの代名詞でもある黒のテントを良く見かけます」
村上「ありがとうございます。おかげさまで、アウトドアシーンではタブーとされていた黒も認知されるようになりました。発売当初は、様々なご意見をいただいたのですが、ようやくって感じです(笑)」
猪野「私もようやくです。こうやってインタビューできる日が来るとは思ってもいなかったですからね(笑)」
じつは村上さんとはメーカー立ち上げのときからのお付き合いで、私もアウトドア業界に入ったばかりのときでした。ともに苦楽を共にしてきた数少ない同期です。
muraco代表は失敗しない? プロでもギアを活用するので、初心者もどんどん便利なキャンプ道具に頼ろう!
猪野「では、早速、失敗談をお聞かせください」
村上「私、失敗しないので!」
猪野「え?この企画、終わりじゃないですか!なおかつ聞いたことあるセリフだし(笑)」
猪野「………」
村上「いや、本当に失敗しないんですよ。逆に猪野さんが失敗し過ぎなんですよ…」
村上「そんなニガい顔をされても…」
猪野「では、今回はなかったことで(笑)」
村上「わざわざ千葉県から本社がある埼玉県狭山市に来てくださったので、思い出します」
猪野「マジ、よろしくお願いします。例えば火起こしとかは?」
村上「ありました!友達とBBQしたときに『村上さん、アウトドアの仕事してるんですから、火起こしはプロ級っすよね、任せました』と言われ、誰でも簡単に新聞紙1枚で火起こしができるチャコールスターターを使い、その間に料理の下準備を完了させていました。みんなも呼んで、さあ焼くぞーってなり、チャコールスターターの炭をグリル台に移そうと思ったら、カンカンに燃えているはずの炭が…まったく燃えておらず…みんなの視線は炭のように冷たかったですね」
猪野「弱いネタですね…(笑)」
村上「いつもならバーナーや着火剤を使って、一気に着火させちゃうのですが、このときは道具にもこり始めていて、見せびらかしたい気持ちと格好つけちゃいました」
猪野「分かります、その気持ち。なおかつ『わたしは初心者だからすべてお任せします』みたいなこと言われてしまうと、じつはこっちもプレッシャーで、完全にギア頼みなところもあるので、油断しちゃいますよね」
村上「たしかに道具の発達で便利になってきているので、十分、頼って良いと思います。人間って、“もっと早く”“もっと遠くに”“もっと楽に”という、至ってシンプルな欲望から道具を作り、使っているのですからね。そんな便利な道具をアウトドアシーンではあえて使わない選択肢もありますが、みんなでワイワイ楽しむときは変なプライドは持たずにガンガン使って、仲間との貴重な時間を有意義に過ごして欲しいですね」
猪野「なんか、大した失敗談もないのに上手くまとめましたね(笑)」
村上「私、失敗少ないんで(笑)」
猪野「この企画、失敗かも(笑)」