「レモングラス」は、ハーブティーやエスニック料理などによく使われるハーブです。レモングラスを使うだけで、いつもの料理も一気に本格的な味わいになるので「キャンプ飯に変化がほしい!」なんてときには、ぜひ活用してみましょう。今回は、レモングラスの基本的な使い方から、絶品レシピ、さらには「虫除け」や「アロマ」といったキャンプサイトで役立つ活用法までご紹介します。
この記事でわかること
- レモングラスの使い方がわかる
- レモングラスの保存方法がわかる
- レモングラスを使ったレシピがわかる
レモングラスとは?使用時の注意点もチェック!

レモングラスは、レモンに似た爽やかな香りが特徴的なイネ科のハーブです。細長い葉が株立ちになってすっと伸びる姿が特徴的で、その姿はススキによく似ています。
主な産地はインドやタイ、マレーシアといった東南アジアなどの熱帯地域で、主にハーブティーとして世界中で親しまれています。また、トムヤムクンをはじめ、多くのエスニック料理で風味づけにも欠かせない存在です。
清涼感のある香りは、気分をリフレッシュさせてくれるうれしい効果も。キャンプの朝に、一杯のレモングラスティーで目覚めるのも素敵ですね。
注意点・禁忌:妊娠中の使用やアレルギーに要注意
レモングラスは体に良いイメージのあるハーブですが、自分の体質や状況に合わせて正しく使うことが大切です。
まず、レモングラスには子宮を刺激する作用があるとされてます。妊娠中に使用すると流産を引き起こす恐れがあるため、妊娠中の方の使用は避けましょう。
また授乳中の方についても、安全性が十分に確認されていないことから、使用を控えるのが安心です。
さらに、イネ科の植物にアレルギーがある方も注意しましょう。
料理におけるレモングラスの使い方
「レモングラスを料理に使う」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれませんが、実はその使い方はとってもシンプルです。
レモングラスは「生」「乾燥」「パウダー」といったタイプの違いによって、香りや使い方が異なります。
また、「葉」や「茎」といった部位によっても使い方が変わってくるので、それぞれの特徴を知っておくと、料理の幅がぐっと広がりますよ。
ここでは、タイプや部位ごとの違いと、上手に使い分けるコツをご紹介します。
タイプの違い|生は香りが強い、乾燥は長期保存可、パウダーは手軽に使える
レモングラスには、主に「生」「乾燥」「パウダー」の3つのタイプがあります。
最も香りが強く、フレッシュな風味を楽しめるのが「生」のレモングラスです。
茎の部分を包丁の背などで叩いて繊維を潰し、香りを引き出してから、煮込み料理やスープに使うのが基本。キャンプで本格的な味を目指すなら、ぜひ生のレモングラスを試してみましょう。
「乾燥」させたものは、長期保存がきくのが最大のメリットです。
生の風味には少し劣りますが、ハーブティーにしたり、煮込み料理の香りづけに使ったりと、手軽にエスニックな雰囲気を楽しめます。
そして、最も手軽に使えるのが「パウダー」のものです。
肉や魚の下味として使ったり、ドレッシングに混ぜたり、料理の仕上げに一振りしたりと、スパイス感覚で使えるのがうれしいポイントです。
部位の違い|「葉」は香り付け、「茎」は食材に
レモングラスは、葉と茎でそれぞれ使い方が異なります。
細長く、笹の葉にも似た「葉」の部分は、主に香りづけに使われます。
乾燥させてハーブティーにするのが定番で、その爽やかな香りはリラックスタイムにぴったり。
また、生の葉を数本束ねてスープやカレーに入れると、穏やかで優しい香りを料理に移すことができます。また、香りを抽出し終わったら、食べる前に取り出すのが一般的です。
一方、「茎」はそのまま食べることも多く、料理の風味の主役となる部分です。
特に、根元に近い白く太い部分は香りが強く、料理に最適。包丁の背や肉叩きで叩いて潰してから使うと、内部の繊維から香気成分がしっかりと出てきます。
煮込み料理にはそのまま、炒め物や和え物には細かく刻んで使うことが多いです。
葉と茎は代替も可能
レシピに「茎」と書いてあるのに「葉」しか手に入らなかった場合、あるいはその逆の場合でも、心配はいりません。葉と茎は、お互いに代用することが可能です。
ただし、香りの強さに違いがあり、一般的には茎のほうが香りが強く、しっかりとした印象になります。
茎の代わりに葉を使う場合は少し多めに、葉の代わりに茎を使う場合はやや控えめにすることで、香りのバランスがとりやすくなります。
レモングラスの保存方法
生のレモングラスを手に入れたとき、気になるのが保存方法ですよね。
ハーブは香りが飛びやすく繊細なイメージがありますが、いくつかのポイントを押さえるだけで、その爽やかな香りを長く楽しむことができます。
ここでは、レモングラスの保存方法について、冷蔵・冷凍・天日干しの3つに分けて紹介します。
冷蔵保存
生のレモングラスを数日中に使い切るなら、冷蔵保存がおすすめです。冷蔵保存では、およそ1週間ほど新鮮な状態を保つことができます。
冷蔵保存の方法
- 全体を霧吹きなどで湿らせたキッチンペーパーで優しく包む
- 乾燥を防ぐためにポリ袋や保存袋に入れ、口を軽く閉じて冷蔵庫の野菜室で保管する
冷凍保存
すぐに使わない分は、冷凍保存が便利です。冷凍保存では、約1ヶ月程度は香りを損なわずに保存することができます。
冷凍保存の方法
- 使いやすい長さにカットし、1食分ずつラップでぴったりと包む
- 冷凍用保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫で保管する
なお、使う際は、凍ったままスープや煮込み料理に加えられます。
天日干し(乾燥)
たくさんのレモングラスが手に入ったら、天日干しにしてみるのもおすすめです。天日干しの場合、適切に乾燥・保管をすれば、約2年も保存することができます。
天日干しの方法
- レモングラスをきれいに洗う
- キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取ってから、数本ずつ紐で束ねる
- 風通しの良い日陰に吊るして、完全に乾燥するまで待つ
- カラカラに乾いたら、手で細かく砕き、湿気が入らない密閉容器に入れて冷暗所で保存する
乾燥させたレモングラスはスパイスのように使ったり、ハーブティーにしたりするほか、ハーブポプリとしても活用できます。
レモングラスを使ったおすすめのキャンプ飯レシピ
レモングラスの使い方がわかったら、いよいよ料理に挑戦してみましょう。
ここでは、いつものキャンプ飯を格上げしてくれる、本格エスニック料理のレシピを中心に5つご紹介します。ダッチオーブンやスキレットを使えば、アウトドアでも本格的な味を再現できますよ。
1.ほうれん草グリーンカレー

レモングラスの香りが食欲をそそる、鮮やかなグリーンカレーです。
材料(2人分)
- 鶏もも肉…1枚
- ほうれん草…1/2束
- パプリカ(赤)…1/4個
- レモングラス(生)…1本
- グリーンカレーペースト…大さじ2
- ココナッツミルク…200ml
- ナンプラー…大さじ1
- 砂糖…小さじ1
- サラダ油…大さじ1
作り方
- 鶏肉は一口大に、パプリカは細切りにする。レモングラスは包丁の背などで叩いて香りを出しておく
- ほうれん草を茹でて、水気をしっかり絞ってから、ペースト状になるまで包丁で細かく刻む
- ダッチオーブンや深めの鍋にサラダ油とグリーンカレーペーストを入れて弱火で熱する
- 香りが立ったら鶏肉を加えて炒め、鶏肉の色が変わったらココナッツミルク、レモングラス、ナンプラー、砂糖を加える
- 煮立ったら弱火で5分ほど煮込む
- 刻んだほうれん草とパプリカを加え、全体を混ぜながらひと煮立ちさせたら完成
2.トムヤム・クン

世界三大スープの一つに数えられることもある、酸味と辛味がやみつきのタイ料理です。
材料(2人分)
- 有頭エビ…4尾
- しめじ…1/2パック
- レモングラス(生)…2本
- しょうが…薄切り3枚
- ローリエ(月桂樹の葉)…1枚 (あればライムの皮のすりおろし少々)
- 鶏ガラスープ…400ml
- ナンプラー…大さじ2
- レモン汁…大さじ2
- ラー油…小さじ1〜2(お好みで)
- 砂糖…小さじ1/2
- パクチー…適量
作り方
- エビは背わたを取る。しめじは石づきを取ってほぐし、レモングラスは斜め切りにする
- クッカー(鍋)に鶏ガラスープ、レモングラス、しょうが、ローリエを入れて火にかけ、香りが立つまで煮る
- エビとしめじを加え、エビの色が変わるまで煮込む
- 火を止め、ナンプラー、レモン汁、ラー油、砂糖を加えてよく混ぜる
- 器に盛り付け、刻んだパクチーを添えれば完成
3.タイ風焼き鳥ガイヤーン

焼き鳥といえばキャンプやBBQでも定番のレシピですが、タイ風焼き鳥はレモングラスが香るタレが決め手。病みつきになる味わいで、新定番のレシピになること間違いなしです。
材料(2人分)
- 鶏もも肉…1枚
- A レモングラス(みじん切り)…大さじ1
- A ナンプラー…大さじ2A 砂糖…大さじ1
- A にんにく(すりおろし)…小さじ1
- A パクチーの根(みじん切り)…1本分
- サラダ油…適量
- スイートチリソース…適量
作り方
- 鶏もも肉は厚さを均等にし、フォークで数カ所穴を開けてから一口大に切る
- 保存袋に鶏肉とAの材料をすべて入れ、よく揉み込み、鶏肉をクーラーボックスで30分以上漬け込む
- しっかり漬かったら、タレを軽く拭ってから4~5切れ程度を串に刺す
- グリルや焚き火を使い、鶏肉を皮目から焼く(フライパンでもOK)
- 焼き色がついたら裏返し、じっくり中まで火を通せば完成。お好みでスイートチリソースを付けながら食べる
4.レモン香るエスニック鍋
爽やかな香りが広がる、〆まで美味しいアジアン鍋です。冬キャンプで定番の鍋料理を、一味違ったレシピで楽しみたい方におすすめ。
材料(2人分)
- 豚バラ薄切り肉…150g
- エビ…4尾
- あさり(砂抜き済み)…100g
- きのこ類(しめじ、エリンギなど)…100g
- レモングラス(生)…2本
- 鶏ガラスープ…600ml
- ナンプラー…大さじ2
- レモン(輪切り)…1/2個分
- パクチー…適量
作り方
- レモングラスは叩いて香りを出しておく。きのこは石づきを取ってほぐす。
- 鍋に鶏ガラスープとレモングラスを入れて火にかけ、煮立ったら豚肉、エビ、あさり、きのこを加える
- 具材に火が通ったら、ナンプラーで味を調える火を止める
- 直前にレモンの輪切りを加え、器に盛ってパクチーを添えれば完成。〆はフォーや春雨がおすすめ。
5.レモンジンジャーエール

レモングラスで作る、すっきり大人の自家製ドリンク。キャンプだけでなく、自宅でも楽しみたい一杯です。
材料(2〜3杯分)
- レモングラス(乾燥)…大さじ2
- しょうが(薄切り)…3枚
- 砂糖…大さじ3
- 水…200ml
- 炭酸水…適量
- ミント…お好みで
作り方
- 小鍋に水、砂糖、しょうが、乾燥レモングラスを入れて火にかける
- 煮立ったら弱火にし、5分ほど煮出してシロップを作る
- 火から下ろし、粗熱が取れたら茶こしなどで濾す
- グラスにシロップを好みの量入れ、氷を加えて炭酸水で割る
- お好みでミントを飾って完成
料理以外にも使える!レモングラスの使い方
レモングラスの魅力は、料理だけにとどまりません。
その爽やかな香りは、虫除けスプレーやアロマにも最適で、キャンプなどのアウトドアでも活躍します。
ここからは、レモングラスを料理以外で使う方法について解説します。
虫除けスプレー

レモングラスの香り成分である「シトラール」は、蚊などの虫が嫌う香りの一つです。
「市販の虫除けが苦手」という方は、ぜひレモングラスを使って自作虫除けスプレーを作ってみましょう。
作り方はとても簡単で、無水エタノール5mlにレモングラスの精油を10滴垂らして混ぜます。そこに精製水45mlを加えてよく振れば完成です。
テントの入口や網戸に吹きかけておくと、爽やかな香りとともに虫を寄せつけにくくしてくれます。
香り袋
レモングラスの爽やかな香りは、天然のアロマとしても大活躍します。
一番簡単な使い方は、乾燥させたレモングラスの葉を、お茶パックや小さな布袋に入れるだけで作れる「サシェ(香り袋)」です。これをテントの中に吊るしておけば、扉を開けるたびに爽やかな香りが広がります。
シュラフの中や枕元に置けば、心地よい香りに包まれて、ぐっすりと眠りにつけるでしょう。就寝前のリラックスタイムにぴったりの、手軽な香りアイテムです。
リース

もし、生のレモングラスの葉を数本束ねて円形にし、麻紐などで固定するだけで、ナチュラルでお洒落なリースが完成します。
作ったばかりのフレッシュな香りはもちろん、時間が経ってドライになっていく過程での香りの変化も楽しめます。
テントサイトの飾り付けとして飾れば、見た目も華やかになり、一気にキャンプがお洒落な雰囲気になるでしょう。
自然素材を使ったクラフトは、キャンプの素敵な思い出作りにもなること間違いなしです。
消臭
レモングラスはその爽やかな香りに加え、一部の菌の殺菌作用が期待できるため、消臭グッズとして活用するのもおすすめです。
レモングラスを煮出した後のハーブウォーターをスプレーボトルに入れれば、天然の消臭スプレーになります。
食後のテーブルを拭いたり、クーラーボックスの中を掃除したりする際に使うと、気になる匂いを抑えつつ爽やかな香りを残してくれます。
また、煮出し終わった葉を乾燥させて、匂いがこもりやすいシューズの中に入れておくのも効果的。
自然の力を借りて、キャンプサイトを清潔で快適な空間に保ちましょう。
レモングラスで、いつものキャンプを特別な体験に

レモングラスは、料理はもちろん、アロマや消臭スプレーの便利なグッズとしても使える便利なハーブです。
「ハーブは扱いが難しそう」と感じる方も多いはずですが、使い方や保存のコツを知れば、簡単に扱うことができます。
ぜひ次のキャンプでは、レモングラスの爽やかな香りとともに、いつもよりちょっと贅沢な時間を楽しんでみてください。
























