汚れた水を浄化してくれる、ろ過器。竹筒や石など、自然の材料を使って作ることができるのをご存知でしたか? ハピキャン番組内では、実験したものの見事に失敗していましたね。今回は専門家に失敗の原因をお聞きし、改めて実験してみましたので、その様子をお楽しみください!
番組内でのキャンプで自作ろ過器が大失敗! ろ過材の大きさが原因? 原因を専門家の先生に聞いてみた

Photographer 吉田 達史
まず前提として、自作のろ過器でろ過した水を、飲用水として使うのはおすすめできません! でも、アウトドアアクティビティのひとつとして、汚れた水が透明になるかどうか実験して楽しむのは良いかもしれませんね。
番組でご紹介したろ過器作りは、残念ながら失敗に終わってしまいました(その様子はぜひ番組本編をご覧ください!)。
▼番組ロケ密着記事(ろ過失敗の様子)はこちら!▼
番組でなぜろ過に失敗したのか、まずは専門家の先生に理由を聞いてみました。
今回ろ過器作りについてお伺いしたのは、『ブッシュクラフト〜大人の野遊びマニュアル』の著者である川口拓先生。番組でのろ過器作りの様子を見てもらい、失敗の原因4つを教えていただきました!
【ろ過器作り失敗の原因】
1.炭の砕き方が甘かった
2.各ろ過材の層が薄かった
3.ろ過材を入れる順番が違った
4.ろ過材自体が汚れていた
1つずつ反省点をチェックしましょう。
1.炭の砕き方が甘かった
まずは炭の砕き方が甘かった点です。炭には消臭や脱臭効果があり、炭が細かければそれだけ効果が高まります。粉状になるくらいまで砕き、密度を濃くして竹筒の中に敷き詰めるべきでした。
2.それぞれのろ過材の層が薄かった
次は各ろ過材の層が薄かった点です。竹筒の中にろ過材を入れるのですが、それらの層をもっと厚くすべきでした。竹の上部に水を入れる空間は残しつつ、できるだけ目一杯ろ過材を詰めた方が良さそうです。
3.ろ過材を入れる順番が違った
ろ過材を入れる順番は基本的に「針葉樹の葉(または布)→ 炭→ 砂→針葉樹の葉(または布)→小石」です。特に炭は最後の仕上げ役として重要な役割を担うので、順番を間違えないようにしなければなりません。
4.ろ過材自体が汚れていた
ろ過材が汚れていると、キレイな水になるまでに時間がかかってしまいます。できるだけ早くキレイな水になるよう、ろ過材は洗っておくべきでした。
これらの4つの原因とその対処法を押さえつつ、ろ過器作りに再びチャレンジします。次こそ成功させてみせますよ〜!
【ろ過器の作り方】竹筒を使ったろ過器の下準備と詰め込み方について解説! 是非自分で作ってみよう!

筆者撮影
今回用意した材料は全部で8種類です。
1.竹筒(約30cm)
2.ハンカチ
3.コットン
4.針葉樹の葉
5.炭
6.砂
7.石(小)
8.石(中)
竹筒の下には3mmの穴を空けておきます。ナイフの先端を突き立てて回すようにえぐるとうまくいくでしょう。
今回は針葉樹の葉と同じ働きを期待して、ハンカチとコットンを追加しました。石に関しても小サイズと中サイズを用意して隙間なく埋める作戦です。
それでは、まずは前回の反省を活かして、ろ過材の下準備をしましょう!
ろ過材の下準備
吸着材として重要な役割を担う炭は細かく砕き、吸着性を高めます。

筆者撮影
トンカチで打ち続けること5分。ここまで細かくなれば大丈夫でしょう。

筆者撮影
次はろ過材の汚れを落とすため、「針葉樹の葉」「石」「砂」をそれぞれ洗います。

筆者撮影
針葉樹の葉はそれほど汚れていませんね。ざっと洗う感じで大丈夫そうです。

筆者撮影
石はけっこう汚れていますね。しっかりと汚れを洗い流しましょう。
最後は砂です。

筆者撮影
砂は相当汚れていますね。こんな状態でろ過しても泥水が出てくるだけな気がしてなりません。

筆者撮影
お米を研ぐように洗い流すこと5回。ようやく水が澄んできました。
これでろ過材の下準備が完了です!
ろ過材の詰め込み方
ろ過材の準備が終わったら、竹筒にろ過材を詰め込んでいきます。
【ろ過材を詰め込む順番】
1.ハンカチ&コットン
2.針葉樹の葉
3.炭
4.砂
5.針葉樹の葉
6.石
まずはハンカチからです。

筆者撮影
続いてコットンを詰め込みます。

筆者撮影
そしてその上から針葉樹の葉を入れます。

筆者撮影
細かく砕いた炭を流し込みます。今回のろ過層の中では炭の量を1番多めにしました。

筆者撮影
がんばってキレイにした砂を入れます。

筆者撮影
砂の上に針葉樹の葉を詰めます。

筆者撮影
最後は石です。押し込むようにギュッと詰めていきます。

筆者撮影

筆者撮影
これでろ過器の完成です!
【ろ過器の効果検証】キャンプ中のろ過した水でコーヒーはいつものより美味しかった? 実証しておこう
いよいよろ過器の効果検証です。
ろ過に使用する汚れた水は、筆者の家にある池の水を使うことにしました。

筆者撮影
左が水道水で、右が池の水です。汚れがはっきりとわかります。

筆者撮影
竹筒から溢れないように少しずつ入れていきます。

筆者撮影
すべての水がろ過されるまでには30分ほどかかります。
ろ過されたものがこちら(写真右)です。

筆者撮影
最初より確実にキレイになっていますが、まだうっすらと濁っていますね。
1回目のろ過では、洗い切れなかったろ過材の汚れが出てくるようなので、何回かろ過を試す必要がありそうです。
ろ過には毎回汚れた池の水を汲み直して使用。「1回のろ過で飲めるレベルまでキレイになるのか」をしっかりと検証しました。
そして3回目のろ過が終了。

筆者撮影
色はやや黄色がかっていますが、濁りはまったくありません。いけそうです。飲んでみましょう!※皆さんは絶対に真似しないでくださいね(笑)
そのまま飲むのはさすがに危険なのでしっかりと煮沸します。

筆者撮影
煮沸したろ過水を湯飲みに入れてみます。

筆者撮影
それほど色は気になりません。恐る恐る口に含んでみました。
「ん?普通に美味しい……」
普段飲んでいる水よりもまろやかな気がします。ただ、私の味覚がおかしい可能性もあるので(笑)、念のため妻にも飲んでもらうことにしました。
すると妻も私と同意見で美味しいとのこと。
せっかくなので、ろ過水を使った『ろ過コーヒー』を入れてみました。

筆者撮影
ろ過コーヒーはまろやかでコクがあり、正直とても美味しかったです。まさか池の泥水を使っているだなんて、言わなければ誰もわからないでしょう。
今回はあえて泥水で試してみましたが、川の水などを使用すればもっと短時間で透明な水が作れると思います。
とは言え、飲み水を作るためにろ過器を作るのはおすすめできません! あくまで竹筒で作ったろ過器でろ過できるのかどうか、実験としてお楽しみくださいね。